米アンソロピック社が今年4月に発表した生成AIモデル「Claude Mythos」(クロード・ミュトス)に、世界中が震え上がっている。
既存のモデルをはるかに凌ぐ性能を誇るミュトスは「サイバー攻撃の能力が高すぎる」との理由から、一般公開が見送られることに。攻撃を防ぐ目的でのみ、大手IT企業などで使用されることになった。
ミュトスは多段階のサイバー攻撃シミュレーションで大幅な進歩を見せており、脆弱なネットワークへの多段階攻撃や、脆弱性の自律的な悪用の可能性を確認したと、イギリスの研究機関が公表している。
世界中の金融機関やインフラに対する攻撃の危惧が高まる中、4月21日には、公開されていないはずのミュトスにハッカーがアクセスしたと報じられ、一気に「世界の崩壊」が現実味を帯び始めている。
5月12日には、日本政府がミュトスを防衛目的で使用できるよう、アクセス権の提供を求めていることが判明。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクが、2週間程度でミュトスへのアクセス権を得る見通しだという。
中国の開発企業やオープンソース勢のAIがミュトスに追いつく
ところがこれにITジャーナリストは、
「本当に怖いのはミュトスそのものではなく、ミュトス級AIの拡散です」
と指摘して、次のように警告するのだ。
「世界的に熾烈な競争が繰り広げられているAI業界の現状を見るに、各社横並びで安全性に配慮するとは思えません。アンソロピックのダリオ・アモデイCEOは、中国の開発企業やオープンソース勢のAIが、半年から1年でミュトスに追いつく可能性に言及している。つまり半年もすれば、ミュトスと同等かそれ以上の攻撃性能を持つモデルが一般提供されてもおかしくないのです」
防御側がミュトスで穴を塞ぐ前に、同等のAIが攻撃側に回る「最悪のシナリオ」が待ち受けているというのだ。
「AI企業だけでなく、技術力を誇示したい個人開発者がミュトスと同水準のモデルを公開すれば、言うまでもなく悪意を持ったハッカーの手に渡る。守る側の準備が、明らかに間に合っていないんです。超高性能AIの規制を設ける国際的な動きも進んでおらず、このままでは防御の決壊が避けられない状況です」(前出・ITジャーナリスト)
ミュトスは恐怖の序章にすぎないのだ。
