【'24年版】日本の女性長者番付 ユニクロ・柳井会長の妻から小林製薬創業家の娘まで、保有時価総額 | ITCトレンダー・カワピーの気になるブログ‐ゲーム、PC、デジタル機器情報

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かつて「億万長者」と言えば男性のイメージだったが、令和の世になってその景色は一変した。驚くほどの富を築いた女性たちは、どんな家に生まれ、どんなビジネスを成したのか。



ダービーオーナーから「ご祝儀をもらった」

 東京商工リサーチの調査(7月30日時点)によると、2024年3月期決算の企業で1億円以上の役員報酬を得た人数は過去最多の800人超だが、女性は12人しかいない。

 いまだ日本が男性優位社会であることを示唆するデータだが、一方で「保有資産」に目を向けると、女性の億万長者は少なくない。『経済界』編集局長の関慎夫氏が言う。

「公開情報から富裕層の資産を追いかけるうえでは、『保有株数×株価』を見るのが世界でも一般的です。折からの株高もあり、日本でも株長者の女性が増えています。大きく分けて『創業者一族』か『起業家』が多い」

 本誌は上場企業の決算書や大株主の情報などを分析・検索する企業価値検索サービス「Ullet(ユーレット)」の協力のもと、有価証券報告書の記載などをもとに「女性大株主」の保有時価総額トップ100をランキングした。

 上位は大企業の「経営者の妻」が目立つ。1位はユニクロを展開するファーストリテイリング・柳井正会長の妻・柳井照代氏。柳井氏と交流があるジーンズメイト創業者の西脇健司氏は言う。


「いつもニコニコしている朗らかな人で、社員への挨拶で来社することもあるそう。幹部のなかには『奥さんのために会社に尽くしたい』と話す人もいるほどです」

 2位は楽天グループ・三木谷浩史会長の妻、三木谷晴子氏。2001年までは楽天副社長として夫を支えた。近年は文化・芸術分野に進出し、2021年まで一般財団法人牧阿佐美バレヱ団の理事長を務めた。同時期に理事だった出川博一氏(アートオブセッション代表取締役)が言う。

「娘さんがバレエをやられている縁で、理事長就任を依頼しました。楽天時代の経験や人脈を駆使して尽力され、資金面だけでなく動員にも力を尽くされた。2021年に牧さんが亡くなられると理事長職を退かれましたが、現在は橘バレヱ学校の理事長に就任されています」

 6位の野田みづき氏は、夫でシステムインテグレータのオービック会長・順弘氏とともに「馬主」として有名だ。競馬評論家の阿部幸太郎氏が言う。

「今年の日本ダービーでは順弘さんが所有するダノンデサイルが優勝してダービーオーナーに。セレモニーでは夫婦で馬車に乗り、手を振って喜んでいた。みづきさんも『ミッキー』の冠名の馬を多く所有、今年は2頭が重賞を制覇し絶好調です」

 ホースコラボレーターの細江純子氏はダービーの日の様子をこう語る。


「あの日、周囲の馬主さん方も自分のことのように喜び、偶然、その場に居合わせた私にまでご祝儀をくださいました」

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2人で食事する時は「1円単位まで割り勘」

 4位のパーソルホールディングス名誉会長の篠原欣子氏は女性起業家の先駆け。米『フォーブス』誌が選ぶ「世界最強の女性経営者」に12年連続で選出されたこともある。

 親交が深い心理学者の佐藤綾子氏(ハリウッド大学院大学教授)が言う。

「悩みや愚痴を電話で言い合うこともある親友で、2人で食事する時は1円単位まで割り勘にするほど(笑)、何も飾らない間柄です。篠原さんが服やアクセサリー、住宅などで贅沢する様子は見たことがありません。『相続はどうするの?』と聞いた時も、『死んじゃったら何も見えないんだから心配してもしょうがないわよ』と。潔い方ですよ」

 13位のディー・エヌ・エー代表取締役会長、南場智子氏は、米大手コンサル企業マッキンゼー出身。1999年に創業後、スマホゲーム事業で成功し、2021年には女性初の経団連副会長に就任した。元部下の星良孝氏(ステラ・メディックス代表)が語る。

「南場さんは葉山に別荘を持っていて、よく社員を呼んで飲み会をしています。私が会社を辞めて1年ほどして、有志で飲み会をやることになり、ダメ元で南場さんを誘ったら『面白そうだから』とわざわざ足を運んでくださった。そういう人間性が大事なんだなと教えていただきました」


14位の野村絢氏は何社もの大株主として名を連ねる人物だ。カブ知恵代表の藤井英敏氏が言う。

「“モノ言う株主”として知られた村上ファンドの村上世彰氏の長女で、ここ数年で投資家として頭角を現わしました。大量保有報告書に彼女の名前があると即買いする投資家もいるほどです。シンガポールが拠点で2児を育てる母親でもある。難病の子供の育児を支援するNPOの活動に関わるなど、社会貢献活動にも注力しています」

 紅麹の問題で世間を騒がせている小林製薬の株主の名前もある。26位の井植由佳子氏はそのセレブな生活ぶりが女性誌で取り上げられるほど。取材では愛車の高級外車レンジローバーやブランド品を披露している。

「小林製薬の5代目社長・豊氏(故人)の娘で、2011年にパナソニックに経営統合された三洋電機の創業者一族、井植家に嫁いだ人物です。2014年に伝統芸能を支援する衆我財団を立ち上げ、理事長を務めています」(製薬業界関係者)

元ソニー副社長から「総理大臣にしたい」の評

 南場氏のような「外資系出身」社長が増えているのも特徴だ。求人情報サイトを運営する20位のウォンテッドリーCEO・仲暁子氏、コンサル企業のビザスク社長・端羽英子氏(54位)、アミューズメント施設やカラオケ運営のGENDA代表・申真衣氏(94位)はいずれも米ゴールドマンサックス出身。


27位のゲーム会社、コーエーテクモホールディングス会長・襟川恵子氏、同執行役員・芽衣氏(40位)、亜衣氏(42位)は「母娘」でランクイン。

 恵子氏は1978年、夫で社長の陽一氏と光栄(現コーエーテクモゲームス)を設立。夫がゲームを作る一方、妻は売るための仕事を引き受け、『信長の野望』『三國志』などの大ヒット作を世に送り出してきた。


 恵子氏に誘われて光栄に入社し、常務取締役を務めた伊藤通宏氏が言う。

「恵子さんが事業を拡大できたのは、経営能力と外部との折衝能力の2つがあったからだと思います。ソニーが『プレイステーション』を世に出す時、当時はどのゲームメーカーも1強だった任天堂の顔色を窺っているなか、真っ先に手を挙げたのはコーエーでした。プレステの開発担当だった元ソニー副社長の久夛良木健さんは『日本の政治家はだらしない。襟川恵子を総理大臣にしたい』と言ったこともある」

 恵子氏は「投資の天才」としても知られ、「孫ちゃん」と呼ぶ旧知の孫正義氏に請われて2021年からソフトバンクグループの社外取締役も務めている。

「ゲームの販売が落ち込んでも無借金経営が続けられるのは恵子さんの株式投資の手腕があってのこと。2人の娘さんとも仕事で何度も顔を合わせていました。長女の芽衣さんは現在、女性向けゲーム関連の総合プロデュースに邁進し、ソフト開発能力を持っていた次女の亜衣さんは現在、2人のお子さんの育児が忙しいようです」(同前)


令和の日本経済は女性長者たちが動かしはじめている。

※週刊ポスト2024年8月16・23日号