2024年8月にセイコー プロスペックスから登場するソーラークロノグラフの新カラー。
1969年にセイコーが発売した世界初の垂直クラッチ搭載自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」の意匠を受け継ぎつつ、初代スピードタイマーに実在した個性的なカラーからインスパイアされたカラーリングが特徴です。
レッドとブルーの2色を使ったベゼルと、ブライトイエローのダイヤルカラーというアイキャッチなカラーリングです。ボリュームのあるケースと太めのタキメーターベゼルとあいまって、存在感たっぷりのクロノグラフに仕上がっています。
元になったカラーの「ファイブスポーツスピードタイマー」は、米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士、ウィリアム・ポーグ氏が宇宙ステーション「スカイラブ4号」の滞在中に身に付けていたという逸話があるアイコニックなモデルです。
ケースサイズ:45.9(縦)×41.4(横)×13.0(厚さ)mm
重量:164g
ムーブメント:クオーツ(ソーラー)
ケース:ステンレス
ガラス:カーブサファイア(内面無反射コーティング)
主な機能・特徴:日常生活用強化防水(10気圧)、ストップウォッチ機能(1/5秒計測 60分計)、タキメーター、スクリューバック、日付表示、夜光(針、インデックス)
1973年11月16日、NASA宇宙飛行士のウィリアム・ポーグ氏がサターンロケットに乗り込む際、宇宙服のズボンのポケットに入れていたのはセイコーの腕時計でした。
その時計は、セイコーが1969年の春から販売を開始した世界初の自動巻クロノグラフ、キャリバー6139セイコー『ファイブスポーツスピードタイマー』シリーズのひとつ。ポーグ氏が空軍基地内売店にて当時71ドルで買ったものでした。
セイコーの時計はNASA公認ではありませんでした。しかし、フライト訓練が始まった時点では、まだ公認時計が宇宙飛行士らに支給されていなかったため、ポーグ氏はセイコーをつけてフライト訓練をしていました。「回転ベゼルを使ってロケットエンジンの燃焼時間などを計る時、このセイコーがとても便利だということがわかった」ポーグ氏は「宇宙でもセイコーを使ってみたい」と考え、個人の私物としてミッションのお供にすることを決めたそうです。そして実際の宇宙ステーション内では、右手首にはNASA公認腕時計(OMEGA MoonWatch Speedmaster)、左手首にはセイコーをつけて任務にあたりました。
このキャリバー6139は巻き上げ効率が良いので、手巻き機構が付いていません。そして宇宙環境下に耐えうるためのスペックなどなかったにもかかわらず、腕を動かせば回転錘がまわり、無重力空間でも時刻を正確に示したそうです。
ポーグ氏が選んだ腕時計は鮮やかな黄色のダイヤル、発売から50年近く経ってもヴィヴィッドなデザインは古さを感じさせず、今でもなお魅力的に輝いています。
ポーグ氏はこのスカイラブ4のミッションで地球を1214周し、当時の宇宙滞在最長記録84日間にわたる宇宙ステーションの任務を無事に果たしました。ポーグ氏は宇宙服を脱いだ後も長い間この腕時計を愛用していましたが、2008年、時計をオークションに出すことを決めました。そして落札金の全額を宇宙飛行士育成のための財団(Astronaut Scholarship Foundation)に贈りました。