東芝〝100年後のために4000人をクビ〟島田社長の「渾身プラン」 来年のことさえわからないのに | ITCトレンダー・カワピーの気になるブログ‐ゲーム、PC、デジタル機器情報

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上場企業ではなくなった東芝。

銀行団、関連企業からの融資で存続は出来たが、経営再建出来るかどうかは、まだ未知数。

トップが「人員削減は会社を100年後に残すため…」と言ってますが、これは苦し紛れな言い訳で直近維持するためでしょう。そして、リストラは今回だけで終わるはずはないでしょう。



東芝は先日、今後3年間の中期経営計画を発表した。業績低迷が続く東芝は、昨年末に非上場化し、投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)を中心とする国内連合の傘下に入った。今回の計画は、JIPと連携して作った初めてのもの。


その中身は、2025年9月末までに本社を東京都港区から事業部門や研究開発部門がある川崎市へ移転・集約、国内従業員を最大4000人削減するなどコストカットを進め、捻出した資金をデジタル事業、エネルギー事業、半導体事業など成長事業に振り向けるというもの。

島田太郎社長は会見で「人員削減は会社を100年後に残すための苦渋の決断。光り輝く東芝の再興を実現するための渾身のプランだ」と意気込んでいた。私はこの会見をずっと聞いていて、ちょっと待ってくれと言いたくなった。


「100年後の東芝のために4000人クビにします」って、来年のことさえわからない東芝が100年後のことを言っている場合か。4000人というと、国内従業員約6万6000人の6%に相当する。


とりあえず、島田さんには、26日のラグビーリーグワンのプレーオフトーナメントで、東芝ブレイブルーパス東京が勝利し、トップリーグ時代を含めて14シーズンぶりの優勝に「おめでとうございます」と言いたいが、こちらの話は全然、的を射ていない。


来年、再来年ならいざ知らず、「100年後のために」なんてことを言い出すのは、経営者としては素人もいいところだ。東芝というのは元々ランプの会社だからといって、かつての会社のフレーズをもじって「光り輝く100年後の東芝」と言うのも理屈が違っている。ここは余計なことは言わず、「経営再建を確実にするために、若干人員を削らせてもらいます」とだけ言っておけばよかった。


東芝の2024年3月期の連結業績は、売上高が前期比2・2%減の3兆2858億円、営業利益も63・8%減の399億円と縮んだ。営業利益率はわずか1・2%。中期経営計画では、27年3月期の売上高を14%増の3兆7500億円と見込み、営業利益率は現状を大きく超える10・1%に設定した。実現するのはかなり難しいと思われる。


東芝は医療機器を扱う「東芝メディカル」のような超優良企業をキヤノンにわずか6000億円で売ってしまった。マッキンゼー時代に私が提案した「東芝の強みである液晶と小型化を生かしたラップトップのパソコン」を実現した「ダイナブック」ブランドも、一時世界でトップシェアを誇ったが、シャープに売ってしまった。そのシャープも引っくり返ってしまったが。

さらに、空調会社の「東芝キヤリア」も元々合弁していた米国のキヤリアに1000億円で売却した。で、残ったものでやっていこうということになった。


量子技術については東芝はいいものを持っていて、IoTソリューションはよさそうだが、まだまだ金がかかりそうだ。残るのはエネルギー、上下水道などのインフラシステム、鉄道交通関連、エレベーターなどのビル・ソリューション、電池事業などだが、いずれも激戦区。激しい競争に勝ち残れるかは不透明。


非上場化の際に銀行団が融資した1兆4000億円の返済もある。エネルギーや半導体は巨額投資も必要だ。

ということで、かつて電気機器業界の売上高ランキングで日立と並び称された東芝だが、投資銀行任せの再編作業でいいものを売ってしまった禍根のツケは大きい。