ビッグマックが2700円! アメリカで年収680万円以下はマクドナルドにもう行けない | ITCトレンダー・カワピーの気になるブログ‐ゲーム、PC、デジタル機器情報

ITCトレンダー・カワピーの気になるブログ‐ゲーム、PC、デジタル機器情報

ITC関連やゲーム関連のトレンド情報を中心に語っています。
デザインなどクリエイティブな話題も多いですよ。

円安の今、日本人がアメリカで食事する事は、かなり思案しなければならない事かもしれません。


2013年当時5ドルだったビッグマック

アメリカ市民になって初めて食べた食事は、ビッグマックだった。

帰化を祝う催しが開かれていたマンハッタン中心部の裁判所付近にあるマクドナルド。当時の価格は5ドル(約750円)もしなかった。20139月のことだ。

ビッグマックをおいしく頂こうとは思っていなかった。そもそも私が好きなのは脂っこくて味の濃いハンバーガーなのだが、ビックマックはパサパサしていて味気ないと思うからだ。

だが、マクドナルドはすぐ近くにあったし、アメリカらしさを体験する最適な方法は、ハンバーガーを食べることだと思った。

ニューヨークに住んでいたこともあって、値段の高いハンバーガーを選ぶことができた。

ブルームバーグ・オピニオンの同僚で美食家のハワード・チュアイオアン氏から、ハンバーガーが名物のカジュアルレストラン「DBビストロ・モダーン」へ行こうとランチに誘われた時のこと。シェフのダニエル・ブールー氏が提供するバーガーは、カルビとプライムリブのひき肉、フォアグラとほのかなトリュフが入っていた。値段は29ドル(約4350円)だった。


マックは自宅、職場に続く「第3の居場所」

私にとって安いハンバーガーというのは、ブルージーンズとコーラと並んで世界的なソフトパワーの手段とも言える。まさにかつてはアメリカ料理の真髄だった。

もちろんアメリカ人の大好物でもあって、その年間消費量は推定500億個。そのほとんどをお手頃価格のマクドナルドやバーガーキングといったチェーン店が作っている。

ハンバーガー・チェーン店での食事を外食と考える数百万人のアメリカ人にとって、ここは「第3の居場所」(サード・プレイス)と言える。

これは社会学者のレイ・オールデンバーグ氏が提唱した言葉で、「自宅と職場に次いでもっとも長い時間を過ごし得る場所」という社会環境を表現したものだ。

大都市の住民にとって、これは驚くべきことかもしれない。公園やカフェなど「第3の居場所」は他にもあって、マクドナルドは持ち帰りの食事の受け取り地点でしかないと考えるからだ。

だが、貧困層や中所得層が暮らす小さな町では、マクドナルドはリアルな社会的ネットワークを構築・促進するための「コミュニティーセンター」としての役割もある。

ソーシャルメディア(SNS)のバブルから解放され、より幅広いアイデアに出会える公共の場でもあるのだ。


ビッグマックの価格が10年前の3倍に

だからこそ、価格の高騰で、アメリカ人が好きな場所で好きな物を食べることができなくなった時には、注意を払うべきなのだ。

20237月、コネチカット州ダリエンにあるマクドナルドで撮影された画像が、物議を醸した。

ビッグマックのセットメニューの価格が18ドル(約2700円)もしたからだ。

11月には、アイダホ州ポストフォールズのマクドナルドで、スモーキーなダブルクォーターパウンダーBLT、ポテト(Lサイズ)、スプライト(Lサイズ)がセットで16ドル(約2400円)したというレシート動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」に投稿され、再び物議を醸した。

なお、店によってハンバーガーの値段に大きな差があることを指摘しておきたい。

地域経済研究評議会(the Council for Community and Economic Research)によると、昨夏のマクドナルドのクォーターパウンダーの小売価格は、アイオワ州シーダーフォールズの3.79ドル(約570円)から、モンタナ州ビリングスの8.09ドル(約1210円)までと幅があった。


年収680万円以下の客にとってマックは高い

ただ、おまけや肉が多少ジューシーになったぐらいでは、流れを変えることはできないだろう。


アメリカのハンバーガーが象徴的な地位にあり続けている理由は、とりわけその安さにある。

マクドナルドのクリス・ケンプチンスキー最高経営責任者(CEOは、2月上旬の決算説明会で、年収45000ドル(約680万円)以下の客は、マックの価格を高い感じていると認めた上で次にように述べた。


「業界的な視点で見ると、実際、直近の四半期でそうした客の割合が減っていることが窺えた。特に家庭での食事がより手頃になったからではないか」

さらにケプチンスキーCEOは、今後数か月は一時的なお得感よりも、「手頃な価格」と「絶対的な価格帯」に焦点を当てると語った。

解決策が必要なのは、レストランの利益率だけではない。


「第3の居場所」に足を運ぶアメリカ人が減れば、社会全体にも影響が及ぶ。

その一つは、政治的な分断の深刻化だ。特に選挙の年である今年はそうした政治的分断がより深刻化している。

そんな時代だからこそ、我々はこれまで以上に「第3の場所」を必要としているのかもしれない。