元証券会社社員が解説
タワーマンションに住んでいたり、高級車を乗り回していたり……贅沢で豪快な暮らしをしているイメージを持つ方も、いるかもしれません。
元証券会社の職員であった筆者がこれまでに関わってきた資産家に対して、そういった印象を抱くことは意外にもほとんどありませんでした。
個人的に共通して感じたことはお金の使いどころがはっきりしており、無駄だと感じたところにはびた一文使わない、という点。では、その共通点はなんなのでしょうか。
今回は、富裕層が節約する意外なポイントや、そもそも「富裕層」の概念について確認していきます。
年収関係なく意識しやすい? 富裕層の節約するポイント3つ
富裕層はお金を自由に使うイメージがあるかもしれませんが、以外にも「節約家」の一面をもつ人もいます。
そこで、ここからは富裕層が節約する意外なポイントを3つ紹介します。
1. 省エネなど「エコ」を心がける
富裕層の中には「エコ」を心がける方が少なくありません。初期投資が必要なケースもありますが、結果的に節約につながる部分があります。
たとえば、LED照明を利用すれば省エネ効果を高められ、生活を維持するために毎月必ずかかる「光熱費」を抑えることもできます。
省エネなどに対するアンテナを高く広くもっている姿勢を、富裕層の方から見受けられました。
2. ATM、各種支払い…細かい手数料にこだわる
コンビニエンスストアなどで気軽に利用できるATM。しかし、原則かかってくる手数料がネックになりがちです。
一度の金額は小さくても、回数をかさねるとその分だけ大きな金額になります。富裕層のなかには、こうした支払いの際になるべく手数料がかからないようにこだわる方もいました。
手数料が一定回数までかからない金融機関を選んだり、一定以上の預け入れをしてランクを上げて「手数料無料」回数を増やしたりなど、細かいところで工夫しています。
少額でも無駄なお金を使わないという強い気持ちが重要といえるでしょう。
3. ブランドにこだわらない! ファッションは「長持ち」を意識する
富裕層ときくと、高級品やブランド品を所有しているイメージがある人も多いでしょう。
もちろん好みなどもあるかと思いますが、それらを長く使うことで買い替えの費用を削減し、無駄な出費を減らす目的の人もいるようでした。
質のいいものを長く使うことで、買い替えを減らして定期的なクリーニングやメンテナンスによって、長持ちさせることも可能でしょう。壊れた場合には修理して長く使うこともあります。
また、流行に左右されず、機能性・着心地・素材のよさなどを重視している人もいました。
「富裕層」の定義:日本に存在する富裕層は約149万世帯
2023年3月1日に公表された野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」によると、野村総合研究所は世帯の純金融資産保有額1億円以上5億円未満を「富裕層」と定義しています。
一方、厚生労働省「2019年国民生活基礎調査の概況」によると、1985年から2018年の相対的貧困率(貧困線に満たない世帯員の割合)の推移をみると増加傾向にあります。
2018年の相対的貧困率は15.4%となり、日本人の約6人に1人が該当します。
2012年以降は減少しているものの、富裕層が増加していることを考えると、格差があることがわかりますね。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、貧困線は直近の2021年に127万円だった。相対的貧困率は15.4%で、30年前より1.9ポイント高い。経済協力開発機構(OECD)によると、米国は21年に15.1%、英国は20年に11.2%だった。日本は米英と比べると国内の経済格差がやや大きい状況といえる。
日本で子どもの相対的貧困率はピークの12年に16.3%と、おおよそ6人に1人の割合だった。21年は11.5%まで下がった。子どもがいる世帯で大人が一人だけの場合は44.5%と、大人が二人以上いる場合の8.6%を大きく上回る。ひとり親世帯などが経済的に苦しい傾向にあることを示している。
富裕層のマインドを参考に資産を増やしていきたい!
富裕層に共通する「お金持ちマインド」について共通点を洗い出してみましたが、意外にも「節約家」「倹約家」の一面がありました。
これは年収の大小関係なく参考にできる方法であり、考え方ではないでしょうか。
また、現在の日本は銀行にお金を預けても資産を大きく増える可能性が高いと言い切れない「低金利時代」です。それに加え毎年の物価の上昇も将来の不安な材料になるでしょう。
節約は貯金だけでは「不安・心配」という方は資産運用を視野に入れることも大切かもしれません。多岐にわたる資産運用、ご自身のライフスタイルや価値観に合わせた手段を選んでいきましょう。