9日に迫る民間初の衛星打ち上げ 新興「スペースワン」の強みとは | ITCトレンダー・カワピーの気になるブログ‐ゲーム、PC、デジタル機器情報

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ハイペースと言える年間約20機打ち上げる計画をしているという、宇宙開発に与えるインパクトは大きいです。



宇宙ベンチャー「スペースワン」(東京都)が9日、和歌山県串本町の民間ロケット発射場から小型ロケット「カイロス」初号機を発射し、人工衛星を打ち上げる。
民間単独で衛星を打ち上げるのは国内初。
初号機にして政府の安全保障に関わる衛星を軌道投入する重責を担う。成功すれば日本の宇宙開発に与えるインパクトは大きく、地元の期待も日増しに高まっている。

実績あるメーカーが後押し

 日本の宇宙輸送の手段は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を主導した大型ロケットの「H2A」や「H3」、小型の「イプシロン」に限られている。民間では、実業家の堀江貴文さんが創業した「インターステラテクノロジズ」(北海道)の小型ロケットがあるが、宇宙空間への到達は果たしたものの、まだ人工衛星を軌道に乗せたことはない。

 カイロスは全長約18メートル、重量約23トンで、イプシロンの4分の1ほどの大きさ。初号機は内閣官房の情報収集衛星の代替機能を持つ衛星(重さ約100キロ)を搭載し、地上から約500キロの地球周回軌道に投入する。

スペースワンは、キヤノン電子やロケットメーカーのIHIエアロスペース(IA)などが出資して2018年に設立された。IAはイプシロンなど固体燃料ロケットの開発で実績があり、スペースワンにはIAから多数のエンジニアが出向してカイロスの開発に携わった。部品調達もIAやキヤノン電子から行い「強み」を発揮。設立から6年で衛星打ち上げにこぎ着けた。

 近年は小型衛星の打ち上げ需要が高まっており、スペースワンは「宇宙宅配便」を掲げて商機を狙う。海外からも受注して年間20機を打ち上げる計画だ。すでに海外や民間企業など、衛星を打ち上げたい顧客からカイロス3号機まで受注しているといい、同社の豊田正和社長は「宇宙事業はこれまで『官』が主導してきたが、『民』が主導するきっかけにしたい」と意気込む。

カイロスが飛び立つのは、和歌山県串本町の太平洋に面した山あいに同社が整備した民間初のロケット発射場「スペースポート紀伊」だ。



 打ち上げ当日には南西約2キロの田原海水浴場(同町)と、北東約2キロの旧浦神小学校(那智勝浦町)に有料の公式見学場が設けられ、各2500人が打ち上げを見守る。1月29日に販売開始したチケットは、わずか2日で完売した。

 串本町内の宿泊施設も“ロケット特需”に沸く。約30ある南紀串本観光協会加盟のホテルや旅館、民宿では、打ち上げ日程が決まった直後から予約が入り、この時期には珍しく、8、9日はほぼ満室となっている。

 観光協会の宇井晋介事務局長は「チケットが買えなかった全国の人から、『ロケットを見られるスポットはないのか』と問い合わせが殺到している」と言う。このため和歌山市のJR和歌山駅前や商業施設などで、パブリックビューイングが催されることになった。当日は周辺で渋滞が予想されており、串本町は約100人、那智勝浦町は約50人の職員を出して、渋滞対策や来場者の誘導に当たる。

 ロケット発射場は鹿児島県・種子島や肝付町、北海道大樹町に整備されているが、本州では初めて。岸本周平知事は2月5日の記者会見で「串本を中心にロケット産業の集積地となる大きな流れの第一歩になると非常にうれしく思っている」と述べた。