※ このブログは、平成30(2018)年12月24日から「さくらのブログ」に掲載し続けている『逃病日記』の直近分をコピペしたものです。

 なお、『逃病日記501』(2023.5.23)  の「『逃病日記』の表題の変更について」に記載したとおり、ブログの表題を『逃病日記 ー妻とともにー 』と変更することにしました。

 

 

(24.5.3.金) 晴れ 

 またまた半年ぶりの嫌な時節がやって来た。

 がん診療部・呼吸器内科の半年毎の経過観察で、今回は来週金曜日に脳MRI、上半身CT撮影と血液・尿検査を受けることになっている。半年前には脳MRIと上半身CT撮影の替わりにPET-CT検査を受検した。血液・尿検査は半年毎に同じ検査項目を受けているが、画像診断検査は、脳MRIと上半身CT撮影とPET-CT検査の3つを半年毎に交互に受けている。

 これらの検査を受けた翌週にこの診断結果に基づいた診察がある。今回は5月17日(金)に診察があるが、この前日なんかは、翌日の診断結果のことを思うとなかなか眠れないことが多い。再発や再発転移は、10年を経過してからでもあり得るため、普段は特に意識をしないで日を過ごしているが、この経過観察診断の前ぐらいになると、ついついあれやこれやと考えてしまう。まして、ヨメさんが「MCI(軽度認知障害)」と診断された以上、私としては「死ぬに死ねない」ようになってしまった。

 5月1日(水)のブログに掲載した記事で、太川陽介さんと蛭子能収さんに関するYouTube『蛭子さんと5年ぶりの再会』を取り上げたが、蛭子さんが「認知症」を公表したのが5年前で、このYouTubeの動画が4月25日の撮影。他にもYouTubeで配信されている蛭子さん関係の動画を見たが、今回の分を除いて、いずれも対談者との会話は成立しているが、過去のことに話が及ぶと記憶から抜け落ちてしまったことが多いようだ。今回の太川さんとの動画は、つい最近、撮影されたのもので、この動画だけを見ていたら気づかなかったが、二、三年前の動画と比べてみると蛭子さんの症状がかなり進行しているような感じがした。

 

(24.5.4.土) 晴れ

 現在の日々の生活は、ほぼ「判で押した」ような日常となっている。私の「気管がん」や「人工膝関節」、ヨメさんの「MCI(軽度認知障害)」などの疾患も、症状も安定しているので、特に記録に残しておくようなトピックも少なくなってきた。こんな時は、荷風の『断腸亭日乗』のように、淡々と事実のみを書き綴ればいいんだろうが、「判で押したような日常」を書き連ねても面白おかしくもないだろう。

 それで、そのような外的活動の少ない日常にこだわらず、内的活動を記録する方法として【今日の読書】【今日の映画】【今日のジャズ】などを考え出したんだが、我ながら名案ではないかと思っている。後日、『ほぼ日刊イトイ新聞』に「今日の〇〇」というコンテンツがいろいろとあるのを知ったが、そこから拝借したタイトルではあらない(村上春樹『騎士団長殺し』に出てくる騎士団長の言い回し)。

 

(24.5.5.日) 晴れ

 最近は、新たに開発した散歩コース  ジャージに着替えるウォーキングとは異なる  として、『恵文社』に行って、その後で北白川のスーパー『ライフ』に立ち寄って帰るコースをよく利用している。

 近くに『洛北阪急スクエア(カナート洛北)』や『イズミヤ』があるのに、なんでわざわざ?というところだが、なぜかこの北白川『ライフ』が気に入っている。私としては散歩を兼ねているので、あまり近すぎる所は適当ではない。この新しいコースなら、ちょっと気が向けば「白川疏水通り」や、その延長で『京大農学部グラウンド』辺りにも足を伸ばすことができる。

 ということで、今日は最近のお気に入りコースで、まず『大垣書店』に立ち寄った。この書店も、最近は全国チェーン展開をしているが、もともとは「烏丸北大路」の『大谷大学』近くの「街の本屋さん」だった。それが現在のように全国展開をするまでになったのは、大きな要因として、店主の、先を読む経営戦略が優れていたからだろう。

 この『大垣書店』は、私がよく立ち寄る「高野店」の選書から判断すると  『吉本隆明全集』なんかも置いているあるんだが  なぜか知的雰囲気というものを感じない。普通なら、『吉本隆明全集』なんかを置いてある本屋なら、他の吉本隆明の著作も何冊か並んでいる。ところが、ここでは配本の都度『吉本隆明全集』が新刊書コーナーに置かれているが、日が経つと、思想関係のコーナーに移り、ポツンと一冊が置かれているだけで、そのうちに書棚から消えてしまう。今回、配本された『吉本隆明全集第34巻』は、消費税込み7810円するので、店にぶらっと立ち寄った一元の客が、書店でパラっと見て買うとは思えない。期日がくれば返本しているのではないだろうか。この店の選書はなんとなく「ミソもクソも一緒」という感じで、書店のポリシーが感じられない。単行本については、一応、ジャンルごとに本が配置されているが、本の著者やテーマがバラバラで、総花的だが一貫性がない印象がある。

 その後に立ち寄った『恵文社』は、毎度お馴染み、私の散歩の定例ポイント。ここの選書のポリシーは、明確で一貫している。特に充実しているように思うのは文学関係だろう。外国文学  もちろん翻訳書だが、欧米を中心に英米文学や仏文学ごとに書棚の一画を当てている充実ぶり  、幻想文学、詩文学などそれぞれ書棚の一区画を占めている。日本文学関係も充実しており、作家別に文庫も単行本も区別なしに並んでいるので、便利ちゃあ便利。特に文庫本は定評のある近・現代文学作家を中心に品揃えしてあり、近代文学関係はかなり以前の出版のものも揃っている。また山田稔などの「京都ローカル」の本なども置かれている。

 文学関係以外にも、建築や芸術関係の書籍が小規模な書店にしては充実しているし、なにより児童書の充実ぶりは目を見張る。それと聞いたことのないような個人出版的な小出版社の本なども平積みで置いてある。私の「読書リストF」に載っている⑩-24『読書の日記』(阿久津隆)や⑩-39『プルーストを読む生活』(柿内正午)は、この平積みで見つけて買ったも。

 この後、『恵文社』を出てからは、店前の「曼殊院通り」から「白川通り」を経て、『ライフ』に立ち寄ってから帰宅した。

 

【今日の読書477※書名頭の数字は当方のブログ『読書リスト』の数字

①-21『吉本隆明代表詩選』

①-25『心的現象論序説』

②-44『明治大正史 下』

③-54『すごい実験』

③-55『ありえない138億年史』

④-9『小林秀雄全集7/歴史と文学・無常ということ』

⑥-25 『文庫の読書』

⑥-27『小説家の四季 2007-2015』

⑦-89『騎士団長殺し3』

⑦-90『フィッツジェラルド10』

⑨-5『自省録』

⑩-39『プルーストを読む生活』

⑩-43-『前人未到』

⑪-9『色川武大・麻田哲也エッセイズ1』

⑫-29『小説の読み書き』

⑬-11『こころ』(Kindle)

コメント:引き続いて、③-52『生命 最初の30億年』から、私が印象に残ってマーカーを引いた箇所を引用しておく。

p.184「鉄鉱層が、太古代初期の大気や海に酸素が乏しかったことを示す地質学的な証拠だと述べた。これを敷衍すれば、およそ一八億年前まで鉄鉱層が存在することから、生物圏は非常に長いあいだ酸素の欠乏した状態だったと言えそうだ。(中略)生命が誕生したころは酸素濃度が低かったのに今では高いのなら、環境変化の証拠を地層に求めるべきだ。」

p.187-188「土壌は岩石と空気の境目でできるものなので、大気の化学組成を反映していると考えられる。」

p.198「光合成だけでは大気の変化を裏付けられないわけを知るには、あなたがこのページを読みながら、待機中の酸素を使った呼吸で有機物から二酸化炭素と水を生成していることを考えてみればいい。酸素を放出する光合成と好気的呼吸は密接に結びつき、片方の代謝産物がもう片方の原材料になる。光合成による酸素の合成と、呼吸による酸素の消費がとが釣り合っているような世界では、それだけ光合成が起きても大気や海洋に酸素はたまらない。」

p.199「大陸の風化や火山ガスとの反応で消費される酸素の割合が減るというプロセスが考えられる。この場合もやはり、地球の炭素循環や酸素循環に地質学が介入することになる。実際には、光合成と呼吸の結びつきは完全に釣り合ってはおらず、光合成で作られた有機物の一部が堆積物中にたまる。この不釣り合いな分を相殺するように、酸素は大陸の岩石や火山ガスと(しばしば細菌の助けを借りて)反応している。」

p.214「進化上の近縁性ではなく収斂進化(引用注:系統の異なる複数の生物が、類似する形質を個別に進化させること)によって形態と環境の対応が説明できるとしたら、分子レベルのデータをもとに構成した系統樹において、ばらばらの枝に、形態の似たシアノバクテリアが現れることもあるはずだ。」

 

今日の映画477】※データは『映画.COM』のサイト等から入手

邦題:『追いつめられて(Amazon Prime Videoで視聴)

原題:No Way Out

製作年:1987年

製作国:アメリカ

監督:ロジャー・ドナルドソン

出演:ケビン・コスナー/ジーン・ハックマン/ショーン・ヤング/ウィル・パットン

ストーリー:海軍将校トム・ファレル(ケヴィン・コスナー)は、国防長官デイヴィッド・ブライス(ジーン・ハックマン)の秘書である友人、スコット・プリチャード(ウィル・パットン)の招きで長官の就任舞踏会に出かけた。その会場で美しい女性スーザン・アットウェル(ショーン・ヤング)と出逢い、恋に落ちる。フィリピンで勇敢に任務を果たしたファレルは、英雄として新聞に載る。任務を終えてワシントンに戻ったファレルは、記事を見た国防長官ブライスの直属のスタッフとなる。その後、スーザンと再会したがスーザンにはファレルと会う以前から愛人がいたが、それは国防長官のブライスだった。ある週末、ファレルとスーザンはドライヴに出かけた。スーザンの部屋に帰った2人は、突然、ブライスの訪問を受け、慌てたファレルは窓から外へ逃れる。ブライスは、逃れた男の影に気付いて嫉妬に狂い、スーザンを2階から突き落とす。混乱するブライスは、プリチャードに助けを求めた。プリチャードは、スーザンはもう1人の恋人に殺されたが、その男はソ連のスパイで、国家安全のため48時間以内に抹殺しなければならない、という筋書きを考え出すが・・・

コメント:評価は5点満点で、映画.COMは3.4、TSUTAYAは3.22、Filmarksは3.5で、私の評価は3.5とした。

 観ているうちに既視感を感じ、途中で観たことのある作品と認識したが、まあ面白かったのでそのまま観続けた。最後のドンデン返しは忘れていた。冒頭部分と繋がりがあるので、そこを巻き戻して観直して納得。

 

【今日のジャズ477※データは『ジャズ資料館』のサイト等から入手

タイトル:Tomorrow Is The Question!

アーティスト:Ornette Coleman

レーベル・品番:Contemporary・S 7569//Fantasy・OJC 342/OJC CD 342-2

録音年月日:1959.1.16/2.23/3.9-10

曲名:①Tomorrow Is The Question/②Tears Inside/③Mind And Time/④Compassion/⑤Giggin'/⑥Rejoicing/⑦Lorraine/⑧Turnaround/⑨Endless

ミュージシャン:Ornette Coleman (as)/Don Cherry (tp)/Red Mitchell (b)/Shelly Manne (ds)/Percy Heath (b)

コメント:オーネット・コールマンの美学が光彩を放つ。既成の概念を打破し、ジャズの新たな時代に向かって動き始めたコールマン。パーシー・ヒュー (b)とスシェリー・マン、およびレッド・ミッチェル (b)とマンで構成されたふたつのリズムセッションを迎え、ドン・チェリーと組んで繰り広げる新時代のジャズ。4ビートながら、そこから逸脱するプレイに個性を息づかせる。ジャズの変換途上で残された重要作。(『レーベルで聴くジャズ名盤1374』から引用)

<YouTubeライブ映像>

Ornette Coleman Quartet - North Sea Jazz 2010

Ornette Coleman - JazzBaltica 2008

Ornette Coleman & Prime Time w Pat Metheny TV Kultura