※ このブログは、平成30(2018)年12月24日から「さくらのブログ」に掲載し続けている『逃病日記』の直近分をコピペしたものです。

 なお、『逃病日記501』(2023.5.23)  の「『逃病日記』の表題の変更について」に記載したとおり、ブログの表題を『逃病日記 ー妻とともにー 』と変更することにしました。

 

 

(24.4.29.月)曇りのち雨

 先日、本ブログで長谷川宏『日本精神史 近代編上下』を取り上げた際に、「『日本精神史 近代編』のサンプルをAmazonで見てみたが、なぜか吉本隆明や鶴見俊輔などが取り上げられていない。なんでだろう?」と書いた。

 このことに関しては、朝日新聞の朝刊で連載が始まった長谷川宏氏の『語る 人生の贈りもの』の今日の記事「大著完成、難航した戦後精神史」の中で言及されていて、「なぜ、鶴見俊輔や吉本隆明がいないの? 全共闘運動を取りあげない理由は?  興味津々という感じで随分聞かれましたね、読書会などを通じ長年つきあってきた友人たちから」とあり、続けて「一貫させたのは、個と共同体のせめぎあいの中、もがき、あらがい、懸命に生きた人に焦点を当てたことです。たとえ地味であっても。あるいは目に見える変化をもたらしえなかったとしても。だから、これは周囲の責任だけど、過剰にカリスマ視される思想家は外しました。」と述べられている。

 まあ、半分は納得できるような回答。「鶴見俊輔や吉本隆明がいないの?」という問いに対する回答は「これは周囲の責任だけど、過剰にカリスマ視される思想家は外しました」というのが主たる理由だろう。しかし、一方で堀田善衛、日高六郎、大江健三郎、中上健次、唐十郎、つげ義春などが取り上げられているのをみると、「全共闘運動を取りあげない理由」と併せ、やや客観性に欠けるという感じがしないでもない。「全共闘運動」が、良きにつけ悪しきにつけ、戦後社会の様々な分野に大きな影響を及ぼしたことに関しては、すでに評価も定まっていると言ってもいいだろう。その意味で、本書で「全共闘運動を取りあげ」なかったということは、「日本精神史」と冠した以上、本書における戦後史にかかる部分において大きな盲点があると言えるのではないか。この点に関しては、今後、この連載の中で明らかにされていくのかもしれない。

 

(24.4.30.火)曇り

 今か今かと待っていたが、今日、『京大生協書籍部ルネ』から『吉本隆明全集第34巻』が入荷した旨の連絡があった。4月28日のブログにも書いたが、『ルネ』に本を受け取りに行った際には、ついでに長谷川宏の『日本精神史 近代編上下』を購入しようと思っている。長谷川宏氏については、朝日新聞の朝刊で連載が始まった同氏の『語る 人生の贈りもの』に関して、昨日、触れたが、先週までは、横尾忠則氏に関して連載されていて、興味深く読み続けた。

 この手の連載物は、目に留まるのが連載の途中からということが多い。その場合、前回の横尾忠則氏や今回の長谷川宏氏なんかの場合は、古紙出し用に積み上げてある過去の新聞を探して最初から読み始めたり、『朝日新聞デジタル』で記事を探し出して読んだりする。この連載は、取り上げられている人物の幼少期から辿って行くため、一般には知られていない逸話なども語られていて、非常に興味深く読み続けられる。横尾忠則氏なんかの場合は、若い頃に『平凡パンチ』でよくイラストが掲載されたり、記事が載っていたが、そのような記述に出会うと、私自身の当時の若い頃に重ね合わせて、懐かしく思い出される。

 

(24.5.1.水)

 最近は、BS-テレ東の太川陽介と蛭子能収のコンビの『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』の再放送を観るのが楽しみになっている。太川陽介と蛭子能収のコンビは、この手の「バス旅」モノでは嚆矢に当たると思うが、このふたりのボケとツッコミがなんとも面白い。

 BS-テレ東では、『フーテンの寅』や『釣りバカ日誌』など、マンネリではあっても、なぜか繰り返し観たくなるような番組の再放送が多い。ヨメさんも『フーテンの寅』や『釣りバカ日誌』の大ファンで、観ながら「こんなシーン覚えてへんなぁ」なんて声をかけてくるので、私も話を合わせて「そやなぁ」てな感じで、和やかな時間が流れる。

 この『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』が終了し、異なった別の出演者による続編なども作られたようだが、やはり太川・蛭子コンビに勝るものはない。その蛭子能収さんは数年前に「認知症」であることを公表したのは知っていたが、先日、スマホのスマート・ニュースで、太川陽介さんが、「認知症」で施設に入っている蛭子能収さんと5年ぶりに施設の外で再会し、それをYouTubeで配信したとのニュースが流れていた。早速、YouTubeを検索した結果、『太川陽介のルイルイちゃんねる』で『蛭子さんと5年ぶりの再会』した様子を撮影した動画が配信されていた。

 再会の瞬間、向こうからやって来る蛭子さんが太川さんを見つけ、帽子を脱いで挨拶らしき動作をしている。太川さんが「覚えてる?」と問いかけると、蛭子さんが「覚えてますよ」と応えている。ふたりの会話で、太川さんが「個展やったでしょう?」と尋ねると、蛭子さんが、絵が描きたくなった動機を答えているので、多少なりとも論理的な話ができている感じがする。

 一緒に入ったレストランでハンバーグ・ランチを頼むんだが、太川さんがサラダを頼むときに分量をMかLを決めかね、「じゃあ、Mをふたつ」と注文すると、蛭子さんの“笑いのツボ”にハマったのか、なぜか笑い転げる。また、蛭子さんがライスかパンかを選ぶのを決めかねていると、太川さんが「じゃあ、両方持って来て」と注文し、太川さんの配慮と優しさが伺える。

 会話の中で、5年前の「バス旅」の話になると、蛭子さんが「僕、出てた?」と言っていて、「認知症」がそれなりに進行しているんだなあ、という印象を持った。全体に、太川さんの優しさと気配りが随所に伺えるような内容だった。特に、太川さんが「一瞬、一瞬が幸せだったらそれでいいよ」と蛭子さんに言葉をかけた場面は、認知症の蛭子さんを理解し、優しさに溢れるいいシーンだった。収録の最後に二人が並んで帰っていく後ろ姿には、ついつい涙ぐんでしまった。

 この「一瞬、一瞬が幸せだったらそれでいいよ」という言葉を常に胸裡に秘めて、今後、ヨメさんと過ごしていければと思う。

 

(24.5.2.木)

 ヨメさんが、『高島屋』で『光と遊ぶ超体験型ミュージアム 魔法の美術館』というイベントをやっているので、S君を連れて行ってやりたいとのことだったので、娘にLINEメールをしたら、4時過ぎに学校から帰って来るらしい。高島屋へ行くのなら、S君が、一旦、川端丸太町宅に帰ってから出かけるのも、時間的にも無駄なので、S君と京阪四条で待ち合わせることにした。高島屋に着いたら、早めの夕食をとってもいいような時間になるので、一緒に、高島屋7階の『京回廊』の『東洋亭』で「百年洋食ハンバーグ」を食べることにした。

 ヨメさんは高島屋で買い物をするので先に出かけ、私が京阪四条でS君と会って高島屋まで連れて行ってヨメさんと合流することにした。

 京阪四条に4時過ぎに着くように自宅を出たが、バス停に着いた途端に乗ろうと思っていた四条河原町行きのバスが出てしまった。15分後の次のバスに乗ったが、S君との待ち合わせの時間に遅れそうだったので、S君の親子携帯に遅れる旨をメールしておいた。平日とはいえGW中なので、四条界隈は外国人観光客で混んでいるだろうと思って「知らん人に声をかけられても付いて行ったらあかんで」とメールしておいた。この四条河原町行きの京都バスは四条河原町の交差点を左折して京阪四条を通るので、四条河原町で降りずにそのまま乗っておいた。そうしたら、川端四条の交差点を左折するときに、バスの中から、S君が四条大橋東詰で手持ち無沙汰に私を待っていてくれるのが、見えた。

 京阪四条でバスを降り、S君と合流して高島屋に向かったが、ヨメさんとは高島屋の一階で出逢ったので、そのままエレベーターで『京回廊』のある7階まで上がった。夕方の4時半という中途半端な時間だったため、東洋亭前には、お客さんが一組だけ順番待ちしていただけだった。

 『東洋亭』では、われわれ夫婦とS君の三人は「ハンバーグランチ」を注文し、別に娘とムコさんとK君の三人分の「ハンバーグ弁当」を頼んだ(娘が「東洋亭のハンバーグ弁当、美味しかったで」と、半ば催促するような感じで言っていた)。娘の話ではデパ地下で買って帰ったそうだが、7階の京回廊の東洋亭でも注文が可能で、最後の支払い時にレジで「弁当」を手渡してくれた。

 食後に、私とS君のふたりで、同じ7階で開催されていた『光と遊ぶ超体験型ミュージアム 魔法の美術館』に入場した。館内は子どもたちが多く、「美術」というよりも、各展示エリアは子供たちの「遊ぶスペース」という感じ。展示エリアの前で体を動かすと正面のスクリーンにその影がデフォルメされて映るのが基本的な動作パターン。動作に合わせて花火の映像が映し出されたり、まさに「光と遊ぶ超体験」といいう感じだったが、内容はどちらかといえば子どもが対象のように思う。

 催物会場を出て、同じフロアの別の催し物を見て回っていたヨメさんど合流し、高島屋を出て、四条河原町から京都バスで川端丸太町まで行き、娘宅に寄って「ハンバーグ弁当」を渡してから帰路についた。

 

【今日の読書476※書名頭の数字は当方のブログ『読書リスト』の数字

①-21『吉本隆明代表詩選』

①-25『心的現象論序説』

②-44『明治大正史 下』

③-54『すごい実験』

③-55『ありえない138億年史』

④-9『小林秀雄全集7/歴史と文学・無常ということ』

⑥-25 『文庫の読書』

⑥-27『小説家の四季 2007-2015』

⑦-89『騎士団長殺し3』

⑦-90『フィッツジェラルド10』

⑧-17『ステパンチコヴァ村とその住人たち』(Kindle)

⑨-5『自省録』

⑩-39『プルーストを読む生活』

⑪-9『色川武大・麻田哲也エッセイズ1』

⑫-29『小説の読み書き』

⑬-11『こころ』(Kindle)

コメント:引き続いて、③-52『生命 最初の30億年』から、私が印象に残ってマーカーを引いた箇所を引用しておく。

p.152-152「RNAは、DNAのように情報を蓄えられたばかりか、タンパク質のように反応の触媒にもなれたのである。(中略)RNAは、自己組織によって形成されるだけでなく、みずからの複製の触媒にもなる、中身の濃い分子だったのである。その後、生命の進化とともに分業が取り入れられ、DNAの二重らせんがより安定性の高いライブラリーをなり、複雑に折り畳まれたタンパク質が触媒機能の大半を引き受けるようになった。」

p.157「初期のRNA分子が自己複製をしたとき、エラーが忍び込み、できた分子にはない変異配列が含まれてしまった。この変異体が初期の地球における化学的な進化の原材料となり、以後の生物進化を促した。」

p.159「有名な物理学者のフリーマン・ダイソンは、生命の起源について深く考え、生命は実は二度発生したのではないかと言った。一度はRNAを経由し、もう一度はタンパク質を経由し、その後、原始生命の融合によって、タンパク質と核酸を相互作用させる細胞が誕生したというわけだ。このアイデアは荒唐無稽ではない。(中略)何かが組み合わさって大変革を遂げるというのは、進化に見られる重要な流れなのだ。」

p159-160「分子のルールのの根底には化学のルールがあるのだろうか?そうであれば、どんなルールなのだろう?遺伝暗号の起源と、それによる複雑な生化学的作用を示す生命の出現は、依然として生物の謎のなかの謎なのである。」

p.168「タンパク質や膜組織や核酸と同じように、代謝でも、自然発生した分子にもとづく単純なものから始まり、生合成経路の進化にともなって発展し、自然選択や遺伝子の重複・水平移動によって複雑な生化学的反応経路が形成されたと考えられる。」

 

今日の映画476】※データは『映画.COM』のサイト等から入手

邦題:『チェイサー(U-NEXTで視聴)

原題:The Chaser

製作年:2008年

製作国:韓国

監督:ナ・ホンジン

出演:キム・ユンソク/ハ・ジョンウ/ソ・ヨンヒ

ストーリー:デリヘルを経営している元刑事のジュンホ(キム・ユンソク)は、店の女の子たちが相次いで失踪する事態に見舞われていた。やがて最後に会ったと思われる客の電話番号が同じ事に気づくジュンホ。そして、その番号は直前に送り出したデリヘル嬢ミジン(ソ・ヨンヒ)の客とも一致していた。ほどなくミジンとの連絡が取れなくなり、心配したジュンホはミジンの行方を追う。そして、偶然にも街中で問題の客を捕まえることに成功したジュンホは、男をそのまま警察に突き出すのだったが・・・

コメント:評価は5点満点で、映画.COMは4.0、TSUTAYAは3.67、Filmarksは3.9で、私の評価は3.5とした。

 風俗店を経営する元刑事と連続猟奇殺人犯との緊迫の攻防を緻密かつダイナミックに描き出す。観てて、ちょっと恐ろしい作品。

 

【今日のジャズ476※データは『ジャズ資料館』のサイト等から入手

タイトル:Sonny Rollins And The Contemporary Leaders

アーティスト:Sonny Rollins

レーベル・品番:Contemporary・M 3546/・S 7564//ビクター音楽産業・VICJ 23563/・VDJ 1552//Fantasy・OJC 340/・OJC CD 340-2

録音年月日:1958.10.20-22

曲名:①I've Told Every Little Star/②Rock-A-Bye Your Baby With A Dixie Melody /③How High The Moon/④You/⑤I've Found A New Baby/⑥Alone Together/⑦In The Chapel In The Moonlight/⑧The Song Is You/You (alt take)/⑨I've Found A New Baby (alt take)/⑩The Song Is You (alt take)

ミュージシャン:Sonny Rollins (ts)/Hampton Hawes (p)/Barney Kessel (g)/Victor Feldman (vib)/Leroy Vinnegar (b)/Shelly Manne (ds)

コメント:ウエスト・コースト・ジャズの全盛期にニューヨーク派のソニー・ロリンズがロサンゼルスに乗り込み、ハンプトン・ホーズ、バニー・ケッセル、シェリー・マンなど、コンテンポラリー・レーベルを代表する人気アーティストと共演。彼らの軽妙なスウィング感を得たことで、豪快なテナー・ブローはそのままに、ロリンズがリラックスした演奏を繰り広げる。中でも〈ハウ・ハイ・ザ・ムーン〉が絶品。(『レーベルで聴くジャズ名盤1374』から引用)

<YouTubeライブ映像>

Sonny Rollins live 65' 68' - Jazz Icons DVD

SONNY ROLLINS LIVE IN TOKYO Mar 30 1988

Sonny Rollins - Jazz à Vienne 2011 - LIVE HD