※ このブログは、平成30(2018)年12月24日から「さくらのブログ」に掲載し続けている『逃病日記』の直近分をコピペしたものです。

 なお、『逃病日記501』(2023.5.23)  の「『逃病日記』の表題の変更について」に記載したとおり、ブログの表題を『逃病日記 ー妻とともにー 』と変更することにしました。

 

 

(23.12.15.金) 曇り

 今朝、大谷選手のドジャース入団の記者会見があった。

 左肘の術後のリハビリや、ドジャースの戦力などを勘案するとベストの選択だったんじゃないだろうか。

 投手成績としては、もう「なおエ」なんてこともないだろうから、勝ち星も増え、登板の翌日などに週一ぐらいの間隔で休日を取ることも可能になるだろうから、身体への負担も軽減し、肘への負担も減りパフォーマンスも向上するだろう。

 打者成績としても、戦力の整ったチームなので、敬遠される機会も減って、結果、ホームラン数も増え、またランナーが出ている場面で打席を迎えるので打点も増えることだろう。

 これらのこと等から、ドジャーズ入団は、大谷選手にとってまさにいい事づくめと言っていい感じで、不安材料は見当たらないようだ。「好事魔多し」という格言というか慣用句だけが気にかかると言えば気にかかるが……。

 来シーズンのテレビ観戦が楽しみだ。

 

(23.12.16.土) 曇り時々雨

 5年前のこの時期は、K大病院に入院中で、放射線治療と抗癌剤の投与を受けていたが、気管閉塞で窒息しかけ、コードブルーで駆けつけてくれた耳鼻咽喉科の医師による気管切開で一命を取り留めたものの、主病の〈気管癌〉に関しては、先行きが不透明な時期だった。

 その頃に思いを馳せると、免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダによる〈免疫療法〉により  この療法が私の身体に適合していたのだろう  5年後の現在、なんとか「逃病」することができて今に至っている。

 この間、何人かの著名人が癌で亡くなられたと言う報道に接している。パッと思いつくのは、阪神タイガースの優勝とオーバーラップして報道されていた横田慎太郎選手だろうか。死因は脳腫瘍とのことだったが、多分、転移性の脳腫瘍で癌の一種だったんだろう。これら著名人の死は、癌患者全体からすると氷山の一角だろうが、彼(=癌で亡くなった人)と(逃病できた)私との違いは、果たしてなんだったんだろうか?

 

(23.12.17.日) 晴れ

 今日は、『どうする家康』が最終回だった。

 今年のNHKの大河ドラマ『どうする家康』は、個人的にはなかなか面白かったと思うが、視聴率的には「ワースト2」とのこと、なんでだろう?

 確かに、最初の頃は、「どうする」というネーミング上、無理やりに「どうする」と言わざるを得ないような危機に瀕した場面を設け、松本潤に「どうする」と言わせていたが、やや不自然な感じがあったのは否めない。

 しかし、後半、特に晩年の家康に関しては、シミやシワなどが非常に巧みにメークされ、高齢になった家康像を主演の松本潤が自然な感じで演じていたのではないだろうか。

 今日の最終回は、家康の波乱に富んだ一生を振り返るシーンが多用されていた。私自身の一生を準えるなどということはおこがましいが、「人の一生」というものの儚さとその価値というものに対して、改めて思いを馳せる機会にはなったようだ。

 

【今日の読書437※書名頭の数字は当方のブログ『読書リスト』の数字

①-21『吉本隆明代表詩選』

①-25『心的現象論序説』

②-43『明治大正史 上』

③-51『重力とは何か』

③-52『生命 最初の30億年』

③-53『すごい宇宙講義』

④-8『小林秀雄全集6/ドストエフスキイの生活』

⑥-25 『文庫の読書』

⑦-85街とその不確かな壁』

⑦-88『グレート・ギャツビー』

⑧-16『白夜/おかしな人間の夢』(Kindle)

⑨-5『自省録』

⑩-39『プルーストを読む生活』

⑪-8『ひるは映画館、よるは酒』

⑫-26『文章読本』

⑫-27『本の読み方』

⑬-10『彼岸過迄』(Kindle)

コメント:今回も丸谷才一の⑫-26『文章読本』から、印象に残った文章を抜粋しておく。本文は旧仮名遣い表記だが、引用する際のワープロ変換が、結構、じゃまくさいので、現代仮名遣い表記で引用している。

p.371「一番害が甚だしいのはやはり『である』だろう。『である』『である』とやたらに書きつづけ、はなはだしきに至っては『であるのである』などとやらかす態度はつとに永井荷風の慢罵するするところだが、われわれはあの『である』づくめを即刻やめなければならない。あれは下手な候文に似ていて、しかも伝統がないだけもっと醜い。『である』をべたべた貼りつけて何となく立派な文章を書いたつもりになっている態度を改めれば、それだけでも、日本の文章の水準はずいぶん向上するのではなかろうか。次に望ましいのは、従属節や条件節(「……だけれど」や「……なのに」や「……のだから」)で、結ぶ手を、あれやこれやと試みることだ。これは奇策に過ぎると嫌われそうだが、まるで歩調を取って歩くような千篇一律の足どりを避けるためには、こんな工夫も必要だろう。それはまた、文首から文末に至って素直に意味が流れていくだけの、あまりにも直線的な現代日本文に、多少の旋回と曲折を与えることになるかもしれない。体言止めや文語体、うんと砕けた口語的な口調の混用だって、そう馬鹿にしたものではないので、意外に効果がありそうな気がする。」

p.372「前にもさんざん語ったレトリックというもの。あれはなんのことはない、言いまわしの型なのだが、一般にこの型という物を総合すれば様式となり、そして藝術を社会とは様式によって結びつく  ちょうど和歌と王朝の社会とが七五調と四季と恋と歌枕によって結びつくように。そのへんの消息は、ほとんど、様式とはすなわち文明の外的な形態を言うと要約しても差し支えないくらいだろう。」

p.373-374「様式が嫌われ、軽蔑されるところでは、レトリックはどうも使いにくい。もし使えば、たいていの場合、鼻もちならない嫌味なものになるだろうし、すくなくともそう受取られがちだろう。それでもかまわない。気障は承知の上と開き直る手はあるにしても、そういう度胸のよさはごく一部の人にしか望めない。当然のことだ。われわれは普通、世の反感を買おうとして演説したり文書を書いたりするのではなく、むしろその反対に、好感をもって迎えられたいと願って言葉をあやつるのだから。それゆえ近代日本の文章はとかく地味なものになりがちで、派手な言いまわし、趣向のある表現、綾に富んだ言葉は何かにつけてしりぞけられた。まづ雅文系および漢文系のレトリックがすこしずつ嫌われだし(これが明治大正)、次に西洋ふうのレトリックがうわべだけほんのすこししか取入れられず(これが昭和)、そして最後に和漢のそれが決定的に放逐され(これが戦後)、こうして、よく言えば素直で簡素、悪く言えば味も素気もない言葉づかいのはびこることになったのが、この百年のレトリックの歴史だった。」

 

今日の映画437】※データは『映画.COM』のサイト等から入手

邦題:『アンフィニッシュ・ライフ(U-NEXTで視聴)

原題:An Unfinished Life

製作年:2005年

製作国:アメリカ

監督:ラッセ・ハルストレム

出演:ジェニファー・ロペス/ ロバート・レッドフォード/モーガン・フリーマン/ジョシュ・ルーカス/ダミアン・ルイス/ベッカ・ガードナ

ストーリー:ジーン(ジェニファー・ロペス)は恋人ゲイリー(ダミアン・ルイス)の暴力に耐え切れず、11歳の一人娘グリフ(ベッカ・ガードナ)を連れて家を出る。ゲイリーの追跡を逃れてたどり着いたワイオミング州の小さな村には、グリフの父であり今は亡きグリフィンの老父アイナー( ロバート・レッドフォード)が、怪我で体の不自由な親友ミッチ(モーガン・フリーマン)とともに暮らす牧場があった。しかし、ジーンと義父アイナーは不仲で、グリフィンの葬儀以来ずっと会っていなかった。グリフィンはグリフがジーンのお腹にいるときに自動車事故で亡くなっており、アイナーはそれがジーンのせいだとしてジーンを許していなかった。1ヶ月だけという約束でジーンとグリフはアイナーの牧場で暮らす許しを得る。そんな平和な村に大熊が出現する。この熊は1年前、アイナーの牛を襲っているところをミッチに見つかり、ミッチに瀕死の重傷を負わせた凶暴な熊だった。熊は捕獲されたが・・・

コメント:評価は5点満点で、映画.COMは3.5、TSUTAYAは3.46、Filmarksは3.6で、私の評価は3.7とした。

『サイダーハウス・ルール』『ギルバート・グレイプ』のラッセ・ハルストレム監督が、ロバート・レッドフォード、ジェニファー・ロペス、モーガン・フリーマンの豪華キャストを迎えて製作した感動のヒューマン・ドラマ。雄大なワイオミングの自然を背景に、心に傷を抱えた人々の再生への道のりを優しい眼差しで綴る。

 個人的には、高齢になってからのロバート・レッドフォード主演の作品では、いちばん自然で出来栄えのいい作品のように思う。

 

【今日のジャズ437※データは『ジャズ資料館』のサイト等から入手

タイトル:Dial J. J. 5

アーティスト:J. J. Johnson

レーベル・品番:Columbia・CL 1084/ソニーミュージックエンタテインメント・SRCS 7130/ソニーレコード・32DP 594

録音年月日:1957.1.29/1957.5.14

曲名:①Tea Pot/②Barbados/③In A Little Provincial Town/④Cette Chose/⑤Blue Haze/⑥Joey Joey JoeyOur Love Is Here To Stay/⑦So Sorry Please/⑧It Could Happen To You/⑨Bird Song/⑩Old Devil Moon

ミュージシャン:J. J. Johnson (tb)/Bobby Jaspar (ts,fl)/Tommy Flanagan (p)/Wilbur Little (b)/Elvin Jones (ds)

コメント:超絶テクニックでジャズ・トロンボーン界をリードしたJ .J.ジョンソンの最高傑作。カイ・ウィンディングと組んだ2トロンボーン・チームも評判がいいが、ジョンソンのプレイが堪能したければ、まずはこの作品から。ボビー・ジャスパー (ts,fl)、の参加が興味深いし、トミー・フラナガン (p)、ウィルバー・リトル (b)、エリヴィン・ジョーンズ (ds)のリズム陣が最高のサポートでジョンソンの至芸を盛り上げる。(『レーベルで聴くジャズ名盤1374』から引用)

<YouTubeライブ映像>

J.J. Johnson Sextet, S. Stitt, Bird Lives! In Memoriam Charlie Parker, Berlin, September 26, 1964

J. J. JOHNSON 1991 - trombone, complete show.

Jazz 625 Sonny Stitt, Howard McGhee, JJ Johnson, Walter Bishop, Tommy Potter, Kenny Clarke