それはカレーが食べたいから始まった | 家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

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なれない環境でまさにパプアニューギニアに来ている感じです。
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「カレーが食べたい。」妻が朝から突然の告白である。

お前はイチローか?

「猛打賞でも狙ってるんですか?」そう言うと妻はゴミを集めながら言った。

「今じゃないわよ。お昼からでいいから食べたい。」

「カレーですか・・・あなたから言ってくるなんて珍しいですね」

我が家ではカレーは私が作ることになっている。

なにしろ私が作るカレーは東京で一番おいしいと豪語しているからである。

カレーは種類がかなり多く、好みも様々ですが

私と妻のカレーの好みが一致していたということなのでしょう。

この我が家のカレーはあの中村屋よりもおいしいと妻に評判ではあるが

ただ非常にお金がかかる。

以前に食材を買い揃えたレシートを見て妻は激怒。

「旦那さんなにこの数字?ありえない。」

妻よ美味しいものは高いのです。

ただ言い訳として10食分以上はあるので原価率からすると1食は300円ほどとなる。

あのカレーマルシェよりも高い。

よってマルシェより美味しく作らなくてはならないプレッシャーはある。

絶対失敗は許されないのである。

万全を喫するため専用の鍋も通販で購入済みだ。

私がカレーを作るタイミングは自身の腕を確認するために定期的に作っているのだが

今まで妻からオーダーを受けたことがない。初めてのことだ。

これって予算の認可を受けたということでもある。

そうならと妻が喜ぶならと腕を振るう気持ちになった。

まず冷蔵庫を確認する。

食材と調味料を確認。不足しているものを把握する。

そして冷蔵庫を漁る上で出てくる我が家の問題がある。

妻、なんでも冷蔵庫に入れる問題である。

妻は基本食いしん坊ではあるが少食でもある、

よって食べたいものを食べると半分食べて冷蔵庫にしまい、

また違うものを食べ、冷蔵庫にしまう。

妻は物を捨てられない性格でもあった、

なのでそれらを片付けるとき大体私の胃袋にしまうのである。

時に2種類のアイスを半分ずつ食べるのは結構きついものである。

しかし私の性分から捨てたい欲望がそれを突き動かすのである。

隊長、例の袋に入ったあずきバー丘を制圧いたしました。

後はカップに半分入ったハーゲンダッツ平原が残されたいます。

軍曹、行けるかね?まだ士気は残っています。まだいきます。

じゃあ一気にいくぞ!

そんな感じである。

そして食材もそうだが調味料もかなりの数を使うため、狭いキッチンに

並べる必要がある、それは順番と入れ忘れ防止のためである。

そのためキッチンを整理する必要がある。

シンクのものを片付け、流しにたまったものを洗いシンクに上げる。

買い物から帰ってくるころには水が切れているので片付けられるはずである。

そうして準備を整え、いざスーパーへ。

下ごしらえ含め2時間かけてカレーが完成。

このままでも食べれるのですが

私のカレーはこのあとが真骨頂、本来の目指すカレーの味になるのは

この先である。

よって半分はそのためにとっておき、半分は今用として食べることにする。

「できました」という言葉に誘われて妻がリビングに姿を現した。

「思った通りにね」

「そうでしょう。いい香りでしょう」

私はそう言うと妻はなぜか冷蔵庫の中を覗いた。

「綺麗になってるわね」キッチン周りも眺めながら席に着き、

用意されたカレーを食べるのであった。

その顔は釈迦の笑顔を浮かべていた。