イスラム教徒というのは
皆同じように見えると思います。
イスラム教の人は
男は白、女は黒のイスラム服を着て
酒は飲まず、豚を食べず
キリスト教とやや対立している
くらいのイメージだと思います。
しかしながら
最近のアフガニスタンの混乱を見て
イスラム教にもいろいろあるんだなと
感じた人も多いのではないかと思います。
そこで今日は
イスラム教の勢力図について
大まかに解説いたします。
まず、イスラム教には
スンニ派とシーア派という2大派閥があり
この2つは昔から対立しています。
スンニ派のボスは
イスラム教の聖地メッカを擁する
サウジアラビアで
世界のほとんどのイスラム教国は
スンニ派であり
イスラム教徒の9割がスンニ派です。
イスラム国、タリバン、アルカイダ
ムスリム同胞団といった
テロ組織扱いされている団体も
スンニ派であります。
一方、シーア派のボスはイランで
イラクやイエメン、レバノンの一部が
シーア派であります。
次に、スンニ派、シーア派関係なく
保守的であるか、革新的であるかで
最近グループが分かれていまして
カタールとサウジアラビアを中心に
二分している状況です。
イスラム教の教えを厳格に
守ろうとしているのはカタールであり
カタールはタリバンやムスリム同胞団も
肯定し支援しています。
スンニ派シーア派という
宗派を超えてカタールは
イランとも親しくなっています。
また、最近では
トルコ、マレーシアといった
酒も豚も出回る緩すぎるイスラム教国も
原点回帰を目指し
カタール派になっています。
一方、世界の流れに合わせて
新しいイスラム教に変化している革新派が
サウジアラビアであり
エジプト、UAE、バーレーンは
常にサウジアラビアに合わせています。
2017年には、この2つのグループが衝突し
カタールと、サウジアラビア
エジプト、UAE、バーレーンは断交して
国境封鎖、直行便も廃止になりました。
2021年に中立的な立場である
クウェートが仲介して
カタールとサウジアラビア他3か国は
一部国交回復したようですが
まだまだ溝は深いです。
日本から見ると仲良さそうに見えますが
かなり深刻な対立なのです。
そして、さらにややこしいのが
アメリカとの関係で
アメリカ軍は
カタールにもサウジアラビアにも
駐屯しています。
イスラム教国とアメリカは
思想的には相容れないのですが
金と軍事力のために
同盟を結んでいる感じです。
アフガニスタンについては
タリバンではなく政府軍が
アメリカと組んでいたのですが
アメリカが手を引いたら崩壊しました。
シリアとイラクとレバノンは
もっと混乱している状況で
地域により実質的な支配者が異なり
国家勢力と、クルド人勢力と
アメリカ軍と、イスラム国勢力で
支配地域を奪い合っている状況です。
リビアは、政府軍と、革命軍が
対立して内戦状態なのですが
カタールは政府軍支援
UAEとエジプトは革命軍支援中です。
というわけで
アメリカ傘下の日本の報道を見ると
タリバンというのは
極悪組織のように見えるのですが
カタールやトルコとは外交関係があり
だからこそ空港運営などを
現在依頼している状況であります。
アメリカ軍は避難民を
カタールのアメリカ軍基地に輸送し
タリバンはカタールと組んで
国づくりをしようとしているのは
何とも不思議なものですが
これが現実であります。
中東は、思想対立と
実利を求めあう同盟関係が交錯しあい
とても複雑になっておりまして
まだまだ衝突が起こりそうですね。
そして、タリバンや
ムスリム同胞団を支援しつつも
アメリカやイランに文句を言わせず
トルコやマレーシアも味方につける
カタールの外交力は凄いので
今後の中東のパワーバランスは
また変わっていくことでしょう。
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