「税金を払えるようになりたい」

そう言って

深く頭を下げた 

ある若い女性の言葉が忘れられません。

以前勤めていた

税金関係の職場での話です。


窓口ではいわゆる

「所得がありません」

という申告 

いわゆる『ゼロ申告』を

受けることがあります。

会社を辞めたかたや

事情があって

収入がないかたにとっては

申告をしないと『 未申告』

という扱いになってしまいます。

確定申告をするかたは良いのですが

確定申告の必要のないかたも

たくさんいらっしゃいます。

もし未申告になると

非課税の証明書などが

取れなかったり

非課税の方がもらえる

給付金などにも

影響が出てしまったりします。


ですから 

収入がゼロであっても

「ありません」と

申告していただくことは

とても大切でした。


ある日 

若い女性のかたが 

窓口に来られました。

話を聞くと

職場での出来事がきっかけで

体調を崩し 

しばらく休職した後 

退職されたとのこと。

まだ

次の仕事を

考えられる状態では

ないようでした。

『ゼロ申告』の

手続きを進めながら

『まずは体を大事にしてくださいね 』

そんな言葉を

少しだけおかけしました。

申告が終わり

そのかたは 

帰って行かれました。


その時です。

数歩進んだところで

突然

こちらに戻って来られ 

深々と私にお辞儀をして

こう言われたのです。


『 私、また税金が

払えるように頑張ります。

必ず払えるようになります。

ありがとうございました。』


その言葉に思わず

胸が熱くなりました。

「税金がかからなくてよかった」

「非課税で得をした 」

そんな風に言われることが

多い中で

税金を払えないことに

悔しさや寂しさを

感じているかたもいるのだと

改めて気づかされました。


税金を払うということは

ただの負担ではなく

自分が働いた証で

あるのかもしれません。


あの女性が

今では穏やかに 

自分のペースで

働き出せているといいなあ、と

時々

思い出すことがあります。