学校や保育園 クラス全員検査 濃厚接触者特定やめた沖縄県 | 子どもたちもお年よりも笑顔あふれる街へ

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行動制限 最小限に 濃厚接触者特定やめた沖縄県

沖縄県立中部病院医師 県政策参与 高山義浩さんに聞く

2022年4月22日【くらし】

学校や保育園…クラス全員検査

 新型コロナのオミクロン株の流行にともない、従来の対策に変化が生じています。職場では濃厚接触者の特定をやめたり、同居家族でも抗原検査で陰性確認をすれば隔離期間を短くしたりしています。沖縄県ではデータに基づき、保育園や幼稚園、学校で濃厚接触者の特定をやめました(表参照)。県立中部病院医師で県政策参与の高山義浩さんに聞きました。(染矢ゆう子)

 オミクロン株の流行となってからは、濃厚接触者以外での感染頻度が高まりました。

濃厚接触でない感染者が増えた

 沖縄県では昨年5月から保育園や幼稚園、学童クラブ、学校などで感染者が一人でも出た場合、同じクラスの子ども全員にPCR検査を行ってきました。県が民間会社に委託している事業です。

 昨年は、同じクラスであっても濃厚接触者以外であれば、感染者は0・7%とほとんどいませんでした。ただし、濃厚接触者でも感染者は1・5%に過ぎず、結果的に98%以上は出席停止の必要がなかったことが分かりました。

 さらに、今年1月からオミクロン株の流行になって、濃厚接触者(3・4%)とその他の接触者(1・8%)の差は縮小し、濃厚接触者以外での感染者が増えました。もはや、濃厚接触者のみを自宅待機とする妥当性は失われた、と判断したのです。

そのため3月24日から、濃厚接触者の特定をやめ、引き続き同じクラスの子ども全員にPCR検査を行って、陽性者のみを出席停止とする方針にしています。

 今年1月以降の疫学調査によると、学校内で感染者が発生しても、その後、2次感染を認めるのは30%未満であり、5人以上の集団感染となるのは5%未満にすぎません。

 学校では、教室での授業というより、放課後を含めた友だち同士の交流等で感染が広がっている、と考えています。そのため保育園・幼稚園、学童クラブ、マスクを着用しない部活動など、感染者とリスクが高い接触があった人は、PCR検査で陰性を確認するまで自宅待機を推奨しています。それ以外の人については登校を認めて、検査結果を待っていただきます。ただし、結果が出るまでは感染対策を心がけ、合唱や集団スポーツなど、リスクの高い活動を避ける工夫を学校にお願いしています。

 クラス内で感染者を複数認めている場合などでは、今後も学級閉鎖が感染拡大防止の選択肢となりえます。確かに、インフルエンザ対策では一定の成果を認めていました。ただ、いまはマスク着用など学校内での感染対策が徹底されるようになり、感染リスクの高い活動を避ければ、あえて教育機会を止める必要はなくなってきたと思います。そして、保育園や学校では「症状が出たら休む」ことが、感染を広げないためには大切です。

沖縄県では、春休みに部活やスポーツクラブなどでのイベントで、集団感染が重なりました。合宿など長時間の接触がある場合には、参加者の検査陰性を確認いただければと思います。

 職場環境は多様なので、保健所による濃厚接触者の特定は困難です。職場ごとに感染リスクのチェックをお願いしています。そして、締め切った場所での会議や長時間の車での移動など、感染者との濃厚な接触があった場合には、職場それぞれの判断で自宅待機を求めたり、PCR検査による陰性確認をお勧めしたりしています。沖縄県では、県の接触者PCR検査センターが設置されており、自己申告のみで無料検査が受けられます。

検査結果を早く 改善にとりくむ

 課題は、流行が拡大したときにPCR検査の結果が出るまで、数日と時間がかかるようになることです。できるだけ翌日には結果をお伝えできるよう、改善にとりくんでいます。

 コロナの流行は続くでしょうが、社会経済活動への影響を最小限にすることが必要です。感染者の外出自粛は引き続き必要ですが、濃厚接触者の行動制限は同居家族など妥当な範囲へと絞り込む必要があります。ただし、接触の心当たりのある方が、希望すれば無料で検査が受けられるよう体制を維持することで、学校や職場、家庭での感染拡大を予防していく必要があります。