■安心と危険の間にたった数個の数字だけの韓国社会の恐怖! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「独り暮らしのワンルーム。見知らぬ男の侵入。やつが私をねらう」

 

 

昨年末に続いて昨年観た映画紹介をいくつか。これは昨年12月半ばくらいに観たものですが、典型的だけど現代の身近な社会問題と絡めながら、単純に怖がれるスリラー映画の佳作でした。夏に『目撃者(목격자)』があったとすれば、冬にこの『ドアロック(도어락)』(イ・グォン監督)があったという感じです。何よりも私は、2001年の『火山高(화산고)』以来のコン・ヒョジンさんの大ファンなので、久しぶりにちゃんと単独主演をやってくれて、それだけで観に行く値がありましたよね。♪ヽ(´▽`)/

 

コン・ヒョジンさんのよさはその不器用さの表現から来る愛らしさですよね。今回もとても誠実だけど要領が悪くて、困ったことに巻き込まれている契約職の銀行員を演じています。ちなみに映画やドラマで韓国の女性たちが最も嫌うタイプのヒロイン像だといえると思います。すなわち、「もどかしい(タプタッパダ)!」という言葉で一蹴され、何かあっても「自業自得だ!」といわれてしまいそうなタイプですよね。私は好きですが。(^ヮ^;)

 

いちおう原作というか、原案は2011年のスペイン映画『スリーピング・タイト(原題:Mientras duermes)』のようです。韓国では2013年に公開されて、私もとても気色悪く思いながら観た記憶があります。そちらは、アパートの管理人が住人の女性の部屋に隠れて一緒に住むという話でしたが、今回の『ドアロック』のほうはそういう異様な状況が持つ恐怖をじっくり味わわせるというより、もっとステレオタイプの残酷シーンやアクションシーンを増やして恐怖を増しています。そのため、たしかにめっちゃ怖かったけれど、平凡な「あるある」スリラーにもなっているいえるでしょう。

 

でも何より、今回の恐怖のテーマは、まさに私たちに韓国に住む者たちにとって最も身近な「ドアロック」です。日本はどうだか知りませんが、韓国はいつの間にか、ほとんどの家が鍵ではなく、ドアロックの解除番号によって開くという形になっています。韓国人はその番号を親戚はもちろん友達などにも平気で教えます。私も義父の家や妻の義姉の家の解除番号はすっかり覚えています。これはとても便利でありながら、考えてみれば、「安全」というものが、ただその何桁かの数字のみにかかっている、ということがとっても恐ろしいことなのだ!と今回の映画で初めて気づきました。実際、そんないくつかの番号などは、ドアの前にカメラをしかけるだけですぐに盗めるわけですからね。

 

どんどん女性の一人暮らし人口が増えている現代の韓国にあって、これは多くの人にけっこうなトラウマを残す社会的問題作かもしれないなあと思いました。そういう意味で夏の『目撃者(목격자)』に続く秀作だったということで、お勧めです!ヾ(≧∇≦)〃♪

 

 

【あらすじ】 オフィステルで独り暮らしをしているキョンミンは、退勤後、家に帰宅した時、家の玄関のドアロックの蓋が開いていることに気づく。不安になったキョンミンはドアロックのパスワードを変える。その日の夜、外でドアロックのキーボタンを押す音が聞こえ、「ピッピッピッピッ、パスワードが違います」というドアロックのアナウンスが聞こえる。不安になったキョンミンは警察に通報するが、警察はたいしたことがないとあまり取り合ってくれない。そして、キョンミンは部屋に誰かが侵入した形跡を見つけ、謎の殺人事件が起き、自分の身も安全ではないと直感する。キョンミンは事件の真相を追い始めるのだが…。開いているドアロックのふた、指紋でいっぱいのキーパッド、玄関の前のタバコの吸殻。一人暮らしのワンルーム。どこかに誰かが隠れている!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


映画『ドアロック(도어락)』(イ・グォン監督)予告編。

 

 

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