■加瀬亮さんがホン・サンス・ワールドに来てくれて嬉しい! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「自由の丘」という意味の原題ですが、劇中のカフェの名前が日本語で「自由が丘」です。



●不思議な「空気」は黒沢清監督のネアカ版


日本でもすでに公開された2014年の作品ですが、ケーブルテレビでつい最近観た『自由が丘で(자유의 언덕)』(ホン・サンス監督)です!(→日本のホームページ)ヾ(≧∇≦)〃♪


世界で数々の大賞に輝き、「鬼才」といわれるホン・サンス監督と、監督のファンを自称する加瀬亮さんが、2012年の対談をきっかけとしてタッグを組んだということですが、二人の人気ゆえに、第71回ヴェネチア国際映画祭はじめ世界の数多くの晴れ舞台で大きな注目を浴びました。韓国内では、主演の加瀬亮さんはこの映画によって同年、韓国の映画専門誌『cine21』が選ぶ「今年の俳優」となり、作品自体も同じく『2014年韓国映画第1位』に選ばれています。


私的にホン・サンス監督は、独特な「空気」を撮る監督です。それはちょっとフランス映画のとぼけたコメディにありそうな「空気」なのですが、日本ではその同じような不思議な「空気」を撮る監督は、最近、『クリーピー』が日韓両国で公開されてヒットを飛ばした黒沢清監督であると思います。ただジャンルが違っていて、黒沢監督は異常に不気味でネクラなサイコホラーを得意としていますが、ホン・サンス監督はとてもしつこくて気まずいネアカな恋愛映画を得意としています。


両監督とも、俳優が変わっても、話が変わっても、その「空気」だけはいつも同じものが流れていて、時にその「空気」があまりにも鼻につくと、すでに観た作品をまた観ているかのようにも思われて一気に飽きることになります。実際、黒沢清監督にも、ホン・サンス監督にも、そういう私自身がすっかり飽きてしまった時期がありました。(^ヮ^;)


でも時が経つとまた観たくなってしまいます。そして、そのたびに新しい要素を発見するのがとても嬉しい経験になります。黒沢清監督でいうと、2013年の『REAL』や昨年の『クリーピー』は、出演俳優たちがトレンディであって、すっかり一見メジャー路線っぽくなっていて、でも実際はおなじみの黒沢監督の暗い世界であるという、そのアンバランスがよかったです。



●これこそ表現主義であり、これこそ映画!


ホン・サンス監督のこの『自由が丘で』は、日本の私も大好きな俳優・加瀬亮さんが出ていて、ほとんどの会話がとっても聞きやすい東洋人の英語でなされている、ということが本当に新鮮でよかったです。加瀬亮さんは、私自身、ドラマ『SPEC』シリーズや映画『ナイスの森〜The First Contact〜』での演技が大好きで、本当に人間的でいい俳優さんだなあと思っていましたが、この『自由が丘で』では「はっきりいってこれって演技していないのでは」と思えるくらいの加瀬亮さん自身がそこにいて感動しました。誠実さが感じられるご本人をますます好きになってしまいました。


話自体はひたすらホン・サンス・ワールドそのものです。特に、ふつうあり得ないような真横からの無造作な定点撮影による長回し、意味ありげでまったく意味不明のカメラのズーム、下手なピアノのBGM、そして異様なくらいテンポがおかしい空回りの会話と、そこからの突然の仲違いや突然の意気投合、突然の同衾という展開です。それらが、観るマトモな私たちにはスリリングであり、同時に居心地が悪く、そして気まずさに当惑しながら、最後にはなぜか癒されます。


それがホン・サンス・ワールドであるということを分かって観ないと、「なんだこれは!」と腹が立つ可能性もありますが、その世界が分かってみると、これこそ表現主義であり、これこそ映画であり、これこそ監督である、という思いを持たれるのではないかと思います。もう多くの方がご覧になっているのかもしれませんが、私からもお勧めです!ヾ(≧∇≦)〃♪



【あらすじ】 年上の韓国人女性クォン(ソ・ヨンファ)に好意を抱くモリ(加瀬亮)は、彼女を追って、かつて日本語講師をしていたソウルを数年ぶりに訪れるが、彼女はどこにもおらず、日記に似た彼女への手紙を書くことに。クォンはどこにいるのかと考えながらソウルの街を歩き回る中、同じゲストハウスに泊まっているアメリカ帰りの男で、宿の主人の甥であるサンウォン(キム・ウィソン)と親しくなり、毎晩のように酒を酌み交わす。また迷子の犬を見つけたことで、カフェ「自由が丘」の女主人ヨンソン(ムン・ソリ)とも親密になっていき、共にワインを飲んで急接近する。迷路のような路地の中で迷路のような時間が交差する中、モリは果たしてクォンと出会うことができるのか。























映画『自由が丘で(자유의 언덕)』(ホン・サンス監督)予告編。

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