■考えなければならない材料提供するリアルな戦争映画! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


「英国にいる指揮官、米国にいるドローン操縦士、ケニヤにいるテロリスト、上空を飛ぶ監視者」


●戦争の現実に正しい感覚を持つため


反戦的な意識によるリアルな戦争映画というものは、今も世界のどこかで現実に起こっている戦争に対する感覚、拒否感や痛みを維持するためにも必ず観ておくべきだというのが私の持論ですが、今回、公開を待って初日の昨日、さっそく観て来たのが、これ、大女優ヘレン・ミレン主演のイギリス映画『Eye in the Sky』(ギャヴィン・フッド監督)です。『ハリー・ポッター』のスネイプ先生(アラン・リックマン)も出ています。


ここ数年、意識して毎年、リアルな戦争映画を観るようにしていますが、そう思うようになったのが、2008年の『The Hurt Locker』を観た時でした。その後、『Act of Valor』(2011)、『Zero Dark Thirty』(2012)、『Lone Survivor』(2013)、『American Sniper』(2014)、『Sicario』(2015)と、毎年1本ずつ、実にリアルで悲惨で胸痛い戦争映画を意識して観てきました。


この『Eye in the Sky』は、ケニアのテロリスト集団「アルシャバーブ」に対抗する英米の連合作戦を描いたものです。題名の「空にある目」というのは、軍事衛星からの映像であり、空中を自動で旋回している飛行機型ドローン、そして家を外から見張る鳥型ドローン、家の中に入る虫型のドローンなどからの映像のことです。それらの技術はすべて実践で行われているとおりに描かれています。



●命同士を天秤に掛ける恐ろしい現場


何といっても102分の上映時間は、そのままリアルタイムとして起こる102分の出来事を映す形になっており、唯一のテーマは、その無人のドローン攻撃によってテロリストを殺す時に、無辜の民間人(映画の中では少女)もやむなく巻き添えになる。それをどのように受け止めてそのミサイルのスイッチを押すのか、今ではない未来にそのテロリストによって殺される人の命の予想数と、今彼らと共に殺される無辜の民間人の命との、いわば命同士を天秤に掛けるという、恐るべき判断の現場が体感されます。


その天秤掛けは、現実に今、テロ攻撃が増えている中で、日々、世界中で無数に行われ、そのスイッチが毎回誰かの手によって押され続けているということを思った時、その重い事実と、犯罪や不法と紙一重の判断に関する「正義とは何なのか?」を考えざるを得ません。まさにマイケル・サンデル教授の正義論の授業の現実版だということができます。


そこに関わる政治家の表情、司令官、軍人の表情、判断の材料を提供しなければならない分析官、法務官の表情、それら一つひとつが心に迫りますが、何よりショッキングなのが、そのスイッチを押すアメリカ空軍の若いドローンパイロットの葛藤です。彼は冒頭で会話する中で、「大学の学費ローンを保障してもらうために軍で4年間働いて」いるだけなのだと分かります。



●なぜこんなことが起こっているのか?


彼に感情移入する中、彼がまさに、目の前に映っている少女を殺すスイッチを、目をつぶって押さざるを得ないという葛藤は、すべて私たち自身が、人類自身が背負っている葛藤であると思わざるを得ませんでした。まったくなんでこんなことが起こってしまっているんでしょうか。


ちょっと他の作品ですが、今年の初めに観たディズニーの『ズートピア』。あれでは肉食動物の一部が突如発病して凶暴性を持つという現象が起こって、肉食動物たちが皆、「遺伝子的」に差別を受けるというくだりがありました。まさにイスラム教徒やアラブ人が、その宗教や人種ゆえに皆、テロリストと勘違いされる、という内容に警告を発したものだったわけですが、その凶暴性の原因は、後に別の原因が発見されます。


何がいいたいかというと、まさに、この今のテロリズムもたとえば「病気」としての原因が発見されないものだろうか、と思ってしまいます。「この病気は、主に世間知らずのお坊ちゃんとして育てられた若者が、インターネットを通して一知半解の歪んだ正義感を植え付けられた結果、かかる病気であって、その一種の熱病の予防と治療はこれである」ということにならないものだろうかと思ってしまいます。


ということで、話が横道に逸れてしまいましたが、かなりの重さと痛みを伴うけれど、私たちが考えなければならない材料を提供してくれる、ドキュメンタリーのようなリアルな戦争映画として、『Eye in the Sky』、日本でも来年公開されるようですが、お勧めです!



























映画『Eye in the Sky』(ギャヴィン・フッド監督)予告編。

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