せっかく面白かったのでお勧めしておきます!昨日観た『シンデレラ』(ケネス・ブラナー監督)で、日本では4/25から公開のようです。私としては当初、完全におつき合いモードだったのですが、結果は観てとってもよかったのでした!決して子供向けというものでもありませんでした。(*´▽`)
まったく事前情報のない中で観に行ったのですが、まず驚いたのは、一言で「オーセンティック」!正統派そのものの真正シンデレラであったことですよね。ストーリーが膨らんでたり、つくり変えられた部分がまったくなく、そのまま描かれたこと、それでいながらとっても新しく豊かに深められた表現に感動しました。(途中、クライマックス付近でシンデレラと継母の対決のような雰囲気になった時に、「お、これは予定外の方向に揺らぐのか?」と思ったのですが、そうならないで逆にホッとしましたね)
何が新しかったかというと、何といっても、登場人物の心理の深化ですよね。文学論、文化論であらゆる解釈が試みられ、噛み終わったガムのようになっている「シンデレラ」を、もう一度、リアルな人間の豊かな感情に描き直したことが秀逸です。私自身も文化論に染まりすぎている口ですから、あらゆる展開や小道具が、「象徴」として意味付けされて、ほとんど記号のように無味乾燥なものになりかねないところなのですが、ぜんぜんそうはならず生きて感じられたのが、人物の描かれ方のリアリティでした。
それはどの登場人物にも少しずついえるのですが、中でも何より、ケイト・ブランシェットさんの演技によって再解釈された「継母」の悲哀ですよね。ケイトさんは多くの作品で女王様を演じる、いわば“女王様俳優”なわけですが、一昨年の『ブルージャスミン』(ウッディ・アレン監督)で、落ちぶれたセレブ役を最高に悲しくおかしく演じたことで、特に個人的にも注目していました。その「ジャスミン」から来る流れが今回の役作りにも影響していたように思えます。
つまり作品自体は、何の変化球もない、オーセンティックで完璧なつくりであるにもかかわらず、とりわけケイトさんの演技力によって、継母自身の視点に立った心理がきちんと描かれることで、ほんの少しの思い入れによっては、継母が主人公でシンデレラが敵役に解釈することだって可能な作品となっているわけですよね。
ちょっとはっとさせられるような継母さんの台詞やシーンが再解釈といえば再解釈であり、見ものでした。まさに一言で、シンデレラの“再深化”という作品ではないかと思います。お勧めです!ヾ(≧∇≦)〃♪
※P.S ところでまったく蛇足の話ですが、韓国には昔から誰もが知っている韓国人の愛唱童謡『シンデレラ』があります。我が妻も、娘が赤ちゃんだった頃、あやすために最も多く歌っていた、かつての娘のテーマソングなのですが、その歌詞がとっても不思議で、こんな感じです。
「シンデレラは幼くしてお父さん、お母さん(※原文は父母様)を失って/継母とお姉さんたちにイジメを受けたんですって/シャバシャバ・アイ・シャバ/どれほど泣いただろうか/シャバシャバ・アイ・シャバ/1980年生まれ」♪
なぜか伝聞調で、なぜか推測調なのはまだしも、いまだに解けない謎が、最後の「1980年生まれ」ですよね。妻をはじめどの韓国人に聞いても答えられる人はいません。たぶん、この歌が出た頃の子供たちが1980年生まれくらいだったのかなあ、と推測するのですが、いずれにせよ、突然、シンデレラが現代人になってしまうのでした。(^^;)
『シンデレラ』(ケネス・ブラナー監督)予告編。
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