■個人的に気に入っている観光スポットとしての明洞聖堂! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

「神仙ソルロンタン」から左側に歩いていくと、歴史あるカトリックの明洞聖堂があります。
観光スポットとしても、特別な雰囲気の韓国体験ができて個人的に好きです。



●韓国でカトリックはキリスト教じゃない?


昨日ご紹介した明洞の「神仙ソルロンタン」の前の道を左のほうにさらに進むとあるのが、ここ、明洞聖堂です。にぎやかな繁華街の真ん中に不釣合いな感じもありますが、ここはれっきとした韓国天主教(カトリック)の総本山。私も大好きな場所ですが、何よりも韓国歴史の重要な現場に足を踏み入れる感動があります。


正式名称を、「天主教ソウル大教区主教座聖堂」といい、1892年から1898年にかけて完成したゴシック式煉瓦建築です。


ここに観光客をお連れして私が話すことはいつも二つ。一つは、韓国では極端にいうと「カトリックはキリスト教ではない」ということ。正確にいうと、キリスト教を意味する「基督(キリスト)教」を、韓国ではふつうはプロテスタントに使い、カトリックは「天主教」というのであって、一種、別の宗教のような感覚すら感じるということですよね。


もちろん、大きなくくりでは、その両方でキリスト教であるという概念は皆知っていても、でも口では「基督教(キドッキョ)」というと、「プロテスタント」「改新教」の意味であることが多いということです。国家の元老として、国民から宗派を超えて多大な人気を博していた天主教の金壽煥(キム・スファン)枢機卿も、2009年に亡くなるまで、ときどきテレビで話す時などに、キリスト教全体については、「그리스드교(クリスド教)」というまた別の用語を使っていたものですよね。



●韓国は「神様を自分で連れてきた」国?


私が話すもう一つの話は、韓国では、天主教は歴史に深く根ざした、伝統と民族性の「誇り」を持った宗教だということですよね。何といっても、韓国の天主教には、その出発において、世界で唯一、宣教師を迎える前に、韓国人自らの力で教会を出発させた、いわば「神様を自分で連れてきた」という歴史があるんです。


この明洞聖堂が建っている場所は、かつて「鐘峴」と呼ばれた、天主教出発の地なわけですが、1784年にここで、韓国初の洗礼者である李承薰(イ・スンフン)と、その義理の弟である有名な丁若銓(チョン・ヤクチョン)、丁若鏞(チョン・ヤギョン)、丁若鍾(チョン・ヤクチョン)3兄弟、權哲身(クォン・チョルシン)、權日身(クォン・イルシン)兄弟などというメンバーが集まって集会を開いた所です。


当時の儒教の南人学派の一員であった彼らは、それ以前に、李檗(イ・ビョク)を中心に、イタリアのマテオ・リッチが書いた『天主実義』を研究する学者の集まりとして出発し、本を通して信仰を身につけて、その中から、とうとう李承薰が、直接、中国に赴いて自ら韓国最初の洗礼者となって帰ってきます。


その李承薰を中心に集まりを持ったのがこの場所。彼は仲間たち皆に洗礼を授け、教会を出発して伝道を開始しますが、たいへんな迫害にあって4代が殉教します。それは当然であって、彼らは学者や役人の身分で、いわば儒教の「異端」として、朝鮮王朝の国家理念に対抗したわけですから。しかし、彼らによって独自に出発した天主教会が、やがて韓国を訪れたカトリック宣教師たちを驚かせた「奇跡の証し」であったのもまた間違いがありません。



●日本植民地時代以降に中心となる改新教


それゆえ、20世紀の初めに、米国教会主導で学校を建てたり、英語を教え、西洋文明を教えるのと引き換えに、貧しい庶民層を中心に広がっていった改新教(プロテスタント)とは、その根が違うのだ、と天主教徒たちは考えるわけです。


しかし、その後すぐに韓国が日本によって植民地化されると、今度は改新教こそが、民族自決を唱え、命がけの独立運動を行う中心宗教となっていったのであり、そのため、独立後にも国家の保護を受けて復興に最大の力を発揮したのが改新教なわけです。結果、今や韓国は、宗教的には改新教中心の国家となり、天主教はちょうど仏教や儒教と同じように、過去の歴史を意味する宗教となっているわけですね。


それゆえ、この明洞聖堂も、何か特定の宗教の施設というよりも、文化遺産としての古いお寺を訪ねるような位置にあるわけです。加えて私は個人的にも、母がカトリック教会に通っていたり、父の兄弟にも信者が多かったりしたせいで、何かとても懐かしく落ち着く場であったりもするのでした。(*´▽`)


近年まで民主化運動のとりでとしても、さまざまな歴史の現場であった場所です。



いつも早朝から午前中一杯と、午後4時以降9時過ぎまでは毎時間ごとにミサをやっています。



正確にはミサ時間は毎日、午前は7、9、10、11、12時から。午後は4、5、6、7、9時からです。



【行き方】 明洞通りを入って右に曲がり、さらに先に行くと明洞聖堂があります。




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