■ユチョン君のお父さんのご冥福を祈りながら | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!
ここに漂う悲しみを少しでも知って心に寄り添えるように韓国の文化の一端を紹介してみました。



●南米ツアー大成功の光と影


南米ツアーで南米大陸を熱狂させ、地球の裏側に幸せの歌声を届けたJYJですが、なんと、彼らが韓国に戻る機上にいる昨日朝、ユチョン君のお父さん(50歳)が持病によって急死され、彼はその事実を知るすべもないまま空の上にいる、という悲痛なニュースが報道されました。


韓国の文化では、父親は息子、特に長男を自らの分身のように感じるのが普通のようです。韓国の男性と話をすると、よく、日本人のことが理解できない理由に、私たちの父親との関係の薄さを挙げる人がいます。彼らにとっては、親、特に父親は、まさに生きる支えそのものであり、また父親にとっても息子がそういう意味を持つ、というのです。もちろん、日本人が表現が苦手なだけで、心の絆は同じだと思いますが、いっぽうで、そのような韓国人をファザコンだのマザコンだというのは、やはり、彼らの親孝行の心が理解できないからだろうと思います。


そのような観点から推測すれば、ユチョン君は今、まさに26歳の若さにして人生の大きな転換点を迎えているといって過言ではないでしょう。


その後は、帰国後、空港から殯所(棺安置所)に向かう車で涙を流すユチョン君の姿、JYJメンバーのコメント等が一斉に報道されてましたが、昨夜はメンバーと共に同じ事務所のソン・ジヒョさんらが一緒に通夜を明かし、アレックス、ジュノ、KARAミコル、『屋根裏部屋の皇太子』出演者らが弔問に訪れたそうです。


関係者によれば、「最近の私生ファン物議でメンバー皆の気苦労が多く、複雑な心境を収めて南米ツアーを終わらせること自体たいへんだったのに、さらに予期せぬ悲報に接して、衝撃が言葉にできないほどだ。ツアー中も、ステージに立つまで、何日も食事も睡眠もまともに取れなかったのに、肉体的精神的に無理がたたらないか心配だ」ということでした。



●「三年喪」と「心喪三年」


先ほども、関係者の「ユチョンは喪主であるため、まともに食べることも寝ることもできないまま殯所を守っている。弟のユファンは少しずつ休ませているが、彼は喪主としての役割を果たしている。まだ若い年齢に傷心が大きいようだ」とのコメントが報道されていました。


実際、ひと昔前なら、喪主である長男は、父の死後3年間は、「侍墓(シミョ)」といって父親の墓の横に天幕を張って暮らし、朝晩、墓前で親の死を悼むという「三年喪」を行っていた韓国です。数えで3年(※実質丸2年)のその期間は、24時間荒い麻服を着て、酒も肉も魚も断ち、罪人のように太陽も見上げなかった、ということです。


これは実は、孔子の教えによる儒教の伝統なわけですが、儒教国の中でもこの国ほど長い間、この伝統をそのごとく守っていた国もないでしょう。


なぜ一家の大黒柱の長男が、3年もの間、何もせず喪に服さねばならないのか、と問われて孔子は、「親は自分の子供が立派に成長し、自分で生きていけるようになるまで、何年もの間、自由を奪われ、自らを制限して生きる。たった3年でも、そのような自由を奪われた立場に立って生きてみて、初めて親のありがたみが分かるのだ」と答えたといわれています。


まさに今、夜を徹して不自由な立場に身を置きながら、ユチョン君は、そのように自分を愛し、育ててくれたお父さんの愛を追体験しているのだろうと思います。


もちろん、韓国でも現代では、「三年喪」を文字通り行うのではなく、「心喪三年」といって、そのような心で3年間を喪に服す、ということになっています。


ドラマ『屋根裏部屋の皇太子』が3/21から放送であり、3/19からの撮影はやむを得ず行わねばならないようですが、心境的には本当にたいへんだろうと思います。社会の責任が親子関係よりも絶対的に上にある日本ならば、むしろ心の整理もしやすいでしょうが、韓国にはそんな割り切り方はありません。


この国では、かつて、国を守るために戦闘中の将軍も、父母の死にはすべてを投げ出して故郷に帰って喪に服してこそ、人間として正しいことをしたといわれたほどなのです。そういう、親の死を悼む心のほうが仕事に優先されるという文化の中で、それを背負って彼は闘っていかなければならないということを思うと、さらにつらいばかりですが、せめて私たちがそのような彼の心に寄り添うことが大事かと思って、書いてみました。



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