■韓国人にとって牛肉スープが持つ意味 | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

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我が家の食卓に上がった牛肉たっぷりのカルビタン。



韓国は、口蹄疫の被害が本当にたいへんでした。


最初は私も、日本での対応と比較して、韓国の対処が甘かったように伝える韓国内の批判的報道を聞きながら、「そうなのか」などと思っていたのですが、先週のあるニュースに接してそのような思いを抱いた自分を反省しました。今回の口蹄疫の対処で、無理な徹夜を繰り返して脳出血や心筋梗塞で亡くなったり、大雪の中で防疫作業をして車が横転して死亡したりという公務員の犠牲者が8人にも上り、非公務員まで入れると9人になるというのです。それほどの犠牲を払って最善を尽くしていたのだということですよね。


●「肉のスープさえ食べられるなら」


太古の昔からそれを食べてきた韓国人にとって、豚や牛の肉は、日本人以上に特別な意味を持っていると思います。それらを明治まで口にしなかった日本人にとっての「魚」と同じような感覚でしょうか。韓国で、人の最低限の幸福を象徴する言葉として、「『흰 쌀밥에 고깃국(白いコメのご飯に肉のスープ)』を食べる」という言葉があります。


たとえば北朝鮮でも、脱北者がいうという言葉には、「北朝鮮住民が求める生活水準はそれほど高いものではない。『흰 쌀밥에 고깃국(白いコメのご飯に肉のスープ)』さえ食べられるなら、誰が権力を握っても忠誠を尽くすだろう」などというものがあります。


実際、去年、金正日国防委員長自身がそれを守れなかったと自らの口で自認したといわれる「首領様(金日成主席)の遺訓」というのも、「人民たちに『흰 쌀밥에 고깃국(白いコメのご飯に肉のスープ)』を食べさせなければならない」というものでしたし、現在掲げる「2012年強盛大国建設」というスローガンの内容も「経済と人民生活のレベルを、肉のスープにご飯を入れて食べられるレベルにまで引き上げる」というわけです。


つまり、そのように韓国民族にとって、「肉のスープ」とは特別な意味を持っており、そして、この時の「肉」とは、基本的に牛肉をさしているんですね。韓国料理のベースは、基本的に「肉水(ユクス)」という牛肉スープ。日本には日本人の好きなとんこつスープというものがありますが、済州島を除いて、韓国人は豚のスープはあまり好みません。唯一、「カムジャタン」のような例外料理があるくらいです。


●なぜ豚ではなくて牛のスープなのか


ということで、いろいろな韓国料理に頻繁に登場するため、我が家の台所にも牛肉スープの素が大きな器に入って置かれているし、冷蔵庫には、ミヨッククやユッケジャンに使う牛肉がいつも入っています。口蹄疫のことを考えれば、申し訳ないような感じですが、三日前にもカルビがいっぱい入ったカルビタンを食べましたし、今日の夕食も実はユッケジャンでした。牛肉の入ったミヨッククも、誕生日じゃなくても味噌汁的な感覚でよく出てきます。牛骨のスープである「ソルロンタン」もよく妻が煮込んでいます。


それでは、韓国人はなぜ、豚のスープよりも牛のスープをこんなに好むのか?


日本のとんこつラーメンを食べると、もちろん慣れると好きになる韓国人もけっこう多いのですが、初めて食べた時などに眉をしかめる多くの韓国人のいう言葉は、「ヌッキヘ(脂っこい)」です。我が家でも私が日本のとんこつインスタントラーメンをつくってあげると、息子と娘は喜びますが、妻は基本的に「ヌッキヘ(脂っこい)」といって好みません。韓国では、同じように白いスープのラーメンとは皆、オットゥギ「사골곰탕면」だ、農心「사리곰탕면」だという具合に、「牛肉」と「牛骨」からダシを取ったコムタン麺であり、それなら喜んで食べるわけです。


多くの韓国人は、そのような牛のダシがきいたスープを飲むと、美味しそうに「シウォーナダ!」だといいます。これは「涼しい」などとも訳しますが、この場合は「胃の中がすっきりする」というような美味しさを表現しています。辛いスープの時にもよくいいますが、それと共に、ソルロンタンやカルビタンの牛のスープの時にもよく聞く言葉です。ところが、「カムジャタン」の時にはあまりこれを聞かないような気がするんです。どうも、日本人にはあまり区別ができないんですが、豚にはない、牛の持つ「さわやかさ」のようなものを、韓国人は好んでいるようなのでした!(*´▽`)




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