■SBS『大物』、感動のエピローグ! | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

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昨日、SBSドラマ『大物(テムル)』が24話で終了、期待を裏切らない感動のエピローグで満足でした。


一児の母としておばさんアナウンサーで、幼稚園番組の歌のお姉さんだったソ・ヘリム(コ・ヒョンジョン扮)が、夫を失ったことから国会議員となり、政界を改変して、韓国初の女性大統領になるというドラマ。


すごいのが、主人公が最初は「自分はただのアジュンマで、政治のことは何も分からない」といっていたのに、ただ「国民の生活を守りたい」という信念一つで、むしろ誰もできなかった、勇気ある決断をどんどん推し進めていくというところ。


彼女に対抗する宿敵、カン・テサン(チャ・インピョ扮)は、まさに男性的な競争と対立によるパワーの政治家なのですが、彼女はまったく反対に、政治の世界に女性の世界、お母さんの視点を持ち込んで、それによって和合と共生、国民との疎通の政治を実現していきます。


●“現代版史劇”の感動の構造


その過程は、まさに“現代版史劇”。物語の構図がまさに韓国の史劇とよく似ていて、彼女が政界に入った時の大統領は善い老国王の位置、当時の与党代表は悪の大権力者、国会議員は党派に分かれて権力争いをしている家臣たち、という状況。


そこに一庶民の位置から上がって、彼らに打たれながら試練を克服し、やがて女王(女性大統領)になるなんて、考えてみれば『ソンドク女王』とそっくりですよね。ソンドク女王でミシル役を演じたコ・ヒョンジョンが、今度は善側のソンドク女王役を演じた、というわけです。(^^;)


何より汚れた政治の世界の描写がものすごくリアルで、そこに是々非々だけで真っ向から対抗していく庶民代表のヒロインの姿は感動。実際、政治の汚い世界に嫌気がさして背を向けている多くの有志たちに、もう一度、希望と夢を持たせる内容ではなかったかと思います。


●韓国史劇に共通の儒教思想


さて、韓国の史劇が人々に感動を与えるのは、何といってもその背後の儒教的な思想だといえます。すなわち、「真っ直ぐな道徳」と「純粋な愛(=仁)」。それらが、どんなに悪い敵の恨みをも、その上から包み込んで、それを溶かして一つにするまで貫かれる。


それこそが、『ホジュン』にしても、『チャングムの誓い』にしても、『ソンドク女王』にしても、多くの韓国史劇に共通の明確なテーマであり、『フンブ伝』をはじめとする韓国の昔話からのテーマでもあります。私も最初、韓国の史劇を見た時にその思想に驚いたものですが、それは日本で見てきた時代劇や昔話が、皆、「勧善懲悪」や忠臣蔵的な「敵討ち」が典型だったのと対照的な印象でした。(もちろん日本のすべての時代劇がそうではないでしょうが^^;)


現代版“擬似史劇”『大物』の終わりも、やはりその例にもれない、感動の終幕で、胸が熱くなったというわけです。


●ファンタジーか現実の希望か


ただ一つ惜しい点があったとすれば、それはまさにソンドク女王との違いだといえます。つまり、ソンドク女王の場合、ソンドク女王がミシルに勝てたのは、ただ善なる意志と愛だけじゃなくて、策略とカリスマにおいても悪側を凌駕したからでした。その強力なパワーにおいても敵を圧倒し、完全に屈服させた上で、許しと友愛の手を差し伸べたからこそ、その最後のくだりに説得力があったわけです。


『大物』のヒロインの真っ直ぐなだけの政治は、確かに理想的ではあるけれど、それが可能だったのは、あくまでも彼女を愛するハ・ドヤ検事(クォン・サンウ扮)の命がけの守りと、敵のカン・テサン議員が彼女を利用しようとして当初、全面的に彼女の側に立ったというドラマの流れがあったためなので、それがなければ、「やっぱり正直さだけの信念ではダメだ」ということの証明にもなってしまいます。


彼女が最後に国民に訴えたように、観ている視聴者が本当に現実の政治に関心を持って、希望を感じられるようにするためには、最後までドラマとしてのファンタジーではなく、現実的な手腕で勝つヒロイン、ソ・ヘリム大統領の強かな姿が見たかった、というのが率直な感想でした。(^^;)




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