ノー・ヒーロー・・・ | オン・サイド・プレイヤーのブログ

ノー・ヒーロー・・・

■8月15日(金)~17日(日)の3日間、「国立阿蘇青少年交流の家」で、ラグビーマガジン杯(第35回九州ラグビー交歓会)が開催され、鹿児島Jr. の6年生が参加しました。我がジュニアは、「Bブロック」にエントリーし(レベル別の4ブロック制)、1勝1引分の成績で(予定の3試合のうち1試合が、雷雨により「サスペンディッド」)、見事な「準優勝」。この大会に照準を合わせ、厳しい練習を重ねてきた子供たちの、熱く、ストイックな「短い夏」は、「ノー・サイドのホイッスル」を合図に終わりを告げました。

『本大会のドキュメント』

【大会初日第1戦 VS玄海ジュニアラグビークラブ】

 どちらかといえば「スロー・スターター」の鹿児島ジュニアが、「優勝」という目標を達成すべく、開始早々の連続トライでリードを奪う。幸先のいいスタートに「確かな手ごたえ」を感じる。
 しかし、そこは相手も「九州ラグビーのメッカ 福岡」のクラブチーム。そう簡単には引き下がらない。その後は「一進一退」の攻防が続く。前半は2トライ差リードのまま終了。
 後半中盤、相手のスピードとディフェンスの「すき間」を突いてくる攻撃に、少しずつ後手に回ってしまうシーンが増えていく。チームカラーはジュニアとよく似た「展開ラグビー」、加えて「試合巧者」という印象。
 ジュニアの各選手も、ディフェンスの裏に入られた相手を「必死のタックル」でくい止める。ワントライ差に追い上げられながらも、「何とか勝てる」・・・・そう思った瞬間の「悪夢」。ハーフウェイ付近から、スルスルっと中央を抜けてきた相手選手に、そのまま走られてしまう。最後はパスをつながれ、「まさかの同点トライ」。そして、「ノーサイド」・・・「一体何が起こったのか」、しばらく子供たちには理解できない様子、「放心状態」。しかし、それは「変えられない現実」・・・
《試合結果》
 鹿児島Jr.24<引き分け>24玄海ジュニアRC

【大会2日目第2戦 VS長崎中央ラグビースクール】

 前日の「悪夢のドロー」を引きずってないか。試合前のアップ・・・「気を取り直して」、「気合を前面に出して」という表情は、あまり見て取れない。いつもと変わらぬ「ポーカー・フェイス」。「目標を見失ったのでは・・・」という不安がよぎる。
  いよいよ試合開始・・・「継之助」の絶妙のキックオフに「直登」が鋭くキツいプレッシャーで応える。いきなりの「相手ゴール前スクラム」。願ってもないチャンスにも選手に気負いは感じられない。やはり、ここでも「ポーカー・フェイス」。そこから、サインプレーを中心とした連続攻撃を何度か仕掛けるが、細かなミスが続き、なかなか得点には至らない。大人たちは、「焦り」を禁じえない。しかし、子供たちは「あきらめない」。それどころか、徐々に当たりが強くなる。ディフェンスの出足が早くなる。フォワードの「明杜」が、「由紀恵」が、「陸」が、ラックで相手を激しくめくり上げる。公式戦初出場の「龍之介」が積極的に相手キックにチャージする。皆が手を緩めない。「幹太」が正確なパスワークでバックスにボールを供給する。「侑利」がそのボールを忠実に展開する。「里嵯子」が地を這うような低いタックルで相手選手の足をすくい上げる。大会前に負傷し、試合には出られない「ダブルりょう(亮と涼)」も声を嗄らして応援する。
 応援に駆けつけ、デッドゴールライン沿に陣取ったお母さんたち。そのすぐ目の前で、皆がトライを重ね始める。「継之助」が、「龍之介」が、「明杜」が・・・次々とゴールラインに飛び込んでくる。まさしく「リングサイドの迫力」を堪能させてくれる。お母さんたちには、間近に見る「ポーカー・フェイスの子供たち」の姿が、きっといつになく「大きく」見えたことだろう。
 ほとんど自陣に押し込まれることなく、「前半」が終了。
 「後半」も、ジュニアの「縦横無尽の攻撃」は止まらない。コーチ陣の檄が飛ぶ。それに全員がフレキシブルに反応する。シナリオどおりの展開。大会直前に選手登録した、サッカー出身のリザーブ「友規」も「試合に出たいです。」と、自らコーチに出場を志願する。そして、交代してグランドに入った直後、その「友規」にボールが回ってくる・・・物怖じすることなく、ゴール左のコーナーめがけて突っ走る。まさに「神がかり」的な試合展開である。
 攻め続けたジュニアは、結局、相手を「完封」。最高の結果で、大会最終日を締めくくった。
ポーカー・フェイス・・・


★★あるギャラリーの独り言★★

 今年のチームには、抜きん出た選手はいません。それでも、こんな素晴らしい戦いができるのです。フォワード・バックス一体となった「ボール支配」と「パスワーク」。「オーソドックス」なラグビーを忠実にやることの大切さを改めて感じました。きっとそれが、「ラグビーの本質」なのでしょう。それを証明してくれたのが、「ポーカー・フェイスの子供たち」です。
*「ヒーローなどいらない。信頼できる仲間がそろってさえいれば、それが最強!」*
《試合結果》
 鹿児島Jr.○37-0●長崎中央RS