こんばんは
今日の担当は、不動産鑑定士の塚田です。
相続税・贈与税の申告において、評価対象の土地が広大地に該当すると、評価額が大きく下がります。
広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為(※1)を行うとした場合に公共公益的施設用地(※2)の負担が必要と認められるものをいいます。ただし、大規模工場用地(※3)に該当するもの及び中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの(※4)は除きます。
(※)注
(1) 都市計画法第4条第12項に規定する開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいいます。
(2) 公共公益的施設用地とは、道路、公園等の公共施設の用に供される土地及び教育施設、医療施設等の公益的施設の用に供される土地をいいます。
(3) 大規模工場用地とは、一団の工場用地の地積が5万平方メートル以上のものをいいます(ただし、路線価地域においては、大工場地区として定められた地域に所在するものに限ります。)。
(4) 中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているものとは、その宅地について経済的に最も合理的であると認められる開発行為が中高層の集合住宅等を建築することを目的とするものであると認められるものをいいます。
ここで、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」(中高層の集合住宅等の敷地用地として使用するのが最有効使用(※)と認められるもの)かどうかの判断については、その宅地の存する地域の標準的使用の状況を参考とすることになります。
(※)最有効使用は、2月29日のブログhttp://ameblo.jp/kizunanokai/entry-11178478379.html でも書きましたが、その不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用のことです。
しかし、戸建住宅と中高層の集合住宅等が混在する地域(主に都市計画により指定された容積率(指定容積率)が200%以下の地域)にある場合には、最有効使用の判定が困難な場合もあります。
そこで、例えば、次のように「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」に該当すると判断できる場合を除いて、「中高層の集合住宅等の敷地用地に適しているもの」には該当しないこととして差し支えありません、としています。
(1) その地域における用途地域・建ぺい率・容積率や地方公共団体の開発規制等が厳しくなく、交通、教育、医療等の公的施設や商業地への接近性(社会的・経済的・行政的見地)から判断して中高層の集合住宅等の敷地用地に適していると認められる場合
(2) その地域に現に中高層の集合住宅等が建てられており、また、現在も建築工事中のものが多数ある場合、つまり、中高層の集合住宅等の敷地としての利用に地域が移行しつつある状態で、しかもその移行の程度が相当進んでいる場合
国税庁により、こうした基準が示されているものの、対象不動産の最有効使用が何であるか、地域の標準的使用が何であるか、の判断の基準は、用途地域、容積率や開発規制の有無だけで判断できるものではなく、その土地が戸建用地として売られたのか、マンション用地として売られたのかを、近隣の同じような規模の土地の取引事例を調査・分析したり、マンションの需要がある地域なのかを、近隣のマンションの分譲事例から判断することが重要になります。
これらの事例の収集、分析や、最有効使用の判断は、不動産の専門家である不動産鑑定士でないと難しいため、不動産鑑定士が意見書を作成して、広大地かどうかの判定をすることが多いです。
広大地の価額は、広大地が路線価地域に所在する場合には、
広大地の価額=広大地の面する路線の路線価×広大地補正率(※)×地積
(※)広大地補正率=0.6-0.05×広大地の地積/1000m2
この式に当てはめて広大地補正率を計算すると、路線価の約半分の評価額になりますので、相続財産で規模の大きな土地が広大地に該当するかどうかはとても重要です。