こんにちは。

今回は行政書士の植松和宏が担当です。

2011311日に発生した東日本大震災からもうすぐ1年が経過しようとしています。

被災地では今でも大変な状況が続いていますが、

今回はこれに関連して、被災動物(犬・猫)の話題について書こうと思います。

以前このブログで、ペットの相続について触れました。

ペットは法律上「モノ」ですので、そのペットが相続することはできません。

法的裏技でペットに財産を残すことも可能ですが、

この方法はバックナンバーを見て下さいね。

さて、被災した動物の推定数は、推定で数万匹といわれています。

リードにつながれたまま命を落とした犬。

飼い主を亡くしてしまった猫。

強制的に非難した飼い主と離れ離れになってしまったペット。

仮設住宅で一緒に住めなくなってしまった犬や猫。

そのほか、色々なかたちでペットたちも被災しました。

これだけの大災害では、優先されるべきは人命であり、

法律上はモノであるペットは後回しにされても仕方ありません。

だけど、割り切れるものではありません。

なにか出来ることはないか。いろいろ考えさせられました。

現在、

公益社団法人日本愛玩動物協会

財団法人日本動物愛護協会

社団法人日本動物福祉協会

という3つの公益法人と、社団法人日本獣医師会の4団体によって、

緊急災害時動物救援本部が設置されています。

こうした団体が中心となって、動物たちの保護とその後の対応について活動しています。

けど、飼い主(所有者)がいなくなってしまった動物たちは、どうなるのでしょうか。

ちょっとケースが異なりますが、

2010年に飼い主のいない猫への餌を与えることが問題となった事件がありました。

東京都三鷹市の戸建て集合住宅の居住者が、

自らの敷地内で複数の野良猫に長期間にわたって餌を与え続けました。

当然、猫たちはその一帯に住みつくことになりますが、

この猫たちの糞尿の臭いや鳴き声による被害はどんどん拡大してしまいます。


餌やりを止めない居住者に対し、

地域の他の居住者と管理組合は餌やり停止と損害賠償を請求して提訴したのです。

この裁判について東京地裁立川支部は、地域居住者と管理組合の請求を認めて、

猫の餌やり禁止と慰謝料200万円の支払いを命じるという判決をだしました。

この事件のポイントは、

「飼い主のいない猫に餌を与えることは違法であり禁止」されるわけではありません。

「飼い主のいない猫に餌を与えるという行為自体は、法的に禁止」されているわけでもありません。

飼い主のいない猫に餌を与えることが違法とされるのは、

その行為により生活環境被害が周辺住民の「受忍限度」を超える場合に限られるということです。

このような地域猫の話題は全国でも関心を集めていますので、一度は耳にしたことがあるかもしれませんね。

では、震災によって被害を受けた動物たちは、同じように対応するのでしょうか。

まわりに迷惑を与えない限りであれば、直接飼えないにしても餌をあげてもいい?

現地でやせ細った犬を見たら連れて帰ることができなくても、食べ残しの弁当をあげてもいい?

被災動物を地域猫と同様に扱うのは、ちょっと無理がありそうですね。


どう対応するのかというと、

災害時の動物救護対策については、

政府の動物愛護管理基本指針のもとで各都道府県が策定する動物愛護管理推進計画の中に、取り組みが明記されています。


具体的には、

獣医師会と自治体、動物愛護団体等の連携で動物救援対策本部を設けること。

所有者の発見に努めること。

避難生活のため同伴困難となった犬猫等を一時保護すること。

一時保護・収容等にかかる物資や費用の寄附を募ること。

・・・。

このような内容が盛り込まれています。

しかし、こうした対応でもどうにもならない場合は?

残された動物たちは、病気の蔓延や費用を抑えるために「処分」されることになるでしょう。

ちょっと相続というテーマとは大きくずれてしまいましたが、

所有者がいなくなったモノ(飼い主がいなくなったペット)はどのようになるのか、

考えてみる機会になればと思います。

動物に財産を残すことができても、そのペットの意思ではどうにもならないのが現状ですね。

現状では、一番よい、といえる対策はまだありません。

今の国会で動物愛護法の改正が予定されていますが、どうなるのか注目したいと思います。

*** *** ***


今日はバレンタインデーですね。

どなたかにチョコレートをあげましたか?

どなたかにチョコレートをもらいましたか?

暖かい気持ちになれる日になるといいですね。 ではまた。