こんにちは、弁護士の白木麗弥です。

さて、今日は手続と言うよりも、法律の中身のお話をしてみようかなと思います。

BさんとCさんの大事なお子さんAちゃんが交通事故で病院に搬送後まもなく亡くなってしまいました。
加害者は会社員のXさん。なんと酔っ払ったまま危険な運転をしたとのこと。

Aちゃんにはこれから夢も希望もあったに違いありません。
こんなとき、BさんとCさんはXさんにどのような請求をすることが可能でしょうか?

損害賠償には財産的な損害に対するものと精神的な損害に対するものがあります。
精神的な損害への賠償は巷で言う慰謝料というわけです。

BさんとCさんはAちゃんを病院に連れて行ったり、延命措置を施したりしていました。
そうなれば病院への費用もかかります。これは交通事故を原因とするものですので、財産的な損害として請求できるわけです。
また、親が子を失えば耐え難い悲しみにくれるのは言うまでもないことですから、お二人の精神的損害も請求することになりましょう。

さて、それで終わり、でしょうか?

Aちゃんはこのまま大きくなれば前途有望なキャリアをつんでいたかもしれません。
交通事故はそんなAちゃんの可能性の芽も摘み取って行ってしまったのです。
これはAちゃんが交通事故によって失ってしまった逸失利益ともいえます。
この財産的な損害も相続人であるBさんやCさんは相続しますので、相続人として請求することが可能になります。

では、Aちゃん自身の精神的な損害はどう考えたらよいのでしょうか?

無念な思いを相続する、と考えると認められないような感じを受けるかもしれませんが、実務上はこのような精神的損害についても相続を認めています。
瞬間的に発生すればそれは金銭債権となり、相続はできるよというわけです。
(その人にだけ属する一身専属的なものは相続財産に含まれませんが、金銭債権なら相続が可能です)
したがって、BさんとCさんはAちゃん自身の慰謝料も相続人として請求することができます。


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Aちゃんはもう戻ってはきません。
お金とAちゃん自身は比べられるものでもありません。

ですが、親御さんが前を向く一つのきっかけとして、また、加害者が自分のしたことの重みを理解するきっかけとして、この損害賠償請求をめぐる話し合いがあることも往々にしてあるのです。