こんばんは、不動産鑑定士の塚田です。


 実は、私は不動産鑑定士になる前は、税務署で、相続税の調査をしていました。今日はその相続税の調査のお話をしたいと思います。



 平成21年中に死亡した人は114万人、このうち相続税の課税対象となった人数は4万8千人、課税割合は4.06%でした。(3月8日の新井山先生のコラム でも書かれています。)


 このうち、平成22事務年度(平成22年7月から平成23年6月までの間)に実施した実地調査の件数は13,668件であり、相続税の申告書が出てきたうち30%弱は相続税の調査の対象になっています。


 このうち申告漏れがあった件数は11,276件で、その割合はなんと82.5%です。


 申告漏れ課税価格は3,994億円で、実地調査1件当たりでは2,922万円。追徴税額(加算税を含む。)は797億円で、実地調査1件当たりでは583万円となっています。


 申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等1,332億円が最も多く、続いて土地719億円、有価証券631億円の順となっています。


 このように相続税の調査があると、ほとんどの場合、申告漏れを指摘されます。


 なぜでしょうか?



 じつは、相続税の課税の為の情報収集は、亡くなった時から始まっています。


 市役所(区役所、役場)に死亡届が提出されると、税務署にも連絡が行きます。税務署ではこの連絡を受けてから、申告期限までの10ヶ月の間に、被相続人の財産について様々なデータを収集して、申告が必要かどうかを見極めます。


 申告書が出てくると、収集したデータと申告内容とを突合せします。そして、申告が漏れているか、怪しいところはないか、をチェックします。


 このようにして、調査対象を絞っていきます。


 調査のときには、1日がかりで被相続人の生前の生活ぶりや財産の管理状況を確認します。相続人の方には様々な質問を行い、申告漏れが無いかどうかを見ます。その後も金融機関などの調査を行い、申告漏れの実態をつかんでいきます。


 このようにして調査するため、亡くなってからあわてて相続税の節税をしようとしてもうまくいきません。また、納税資金を確保することも必要です。


 しかも、相続税対策は、1年や2年でできる事ではありません。



 大切な家族に少しでも多くの財産を残すために、相続税対策は、生前から、しかも若いうちから計画的に行う必要があります。


具体的な相続税対策は、税理士の先生や他の専門家に相談すると良いでしょう。