こんにちは。
今回の担当は行政書士の植松です。
今回は、先に亡くなる(可能性の高い)夫が、相続(争族)から妻を守るためのお話です。
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民法では、法定相続分を定めており、配偶者は常に相続人となっています。
世界一の長寿国の日本でも、女性が男性より7歳ほど長生きするため、相続における多くの場合では、夫が先に亡くなり、妻と子どもが相続人になるケースが多数みられます。
夫が年長で年の差がある夫婦であれば、妻がひとりで過ごす時間はさらに延びることになります。
配偶者が常に相続人としておかれているのも、自然なことでしょう。
夫が亡くなると、残された妻と子どもは助け合っていくことでしょう。
子供が親を敬い、残された妻(子の母)を支えていくのが望ましいのですが、現実社会では、精神的な支えを失った妻(子の母)の立場が弱くなることが見られます。
法定相続に不満を持つ者、遺言の内容に異議を唱える者がいると、被相続人の死を悼むどころではなく、欲が前面に現れた現実社会の醜いイザコザに巻き込まれてしまいます。
こうした親族のやり取りの中で、一番辛い立場に置かれるのは、
一番大切な人を失った妻かもしれません。
一緒に助け合い、何でも話してきた相手が居なくなり、その上で自分たちの子孫がいがみ合っているとしたら、やるせないでしょう。
夫は、妻を守らなくてはなりません。
確率的に先に亡くなる可能性が高い夫は、
自分の死後残された妻が安心できるようにする使命があります。
おそらく、ほとんどの夫婦が、結婚式で、神前で、人前で、仏前で、互いを守り、慈しみ、幸せを与えることを誓ってきたはずです。
結婚式というセレモニーにおける「誓い」には法的拘束力はないものの、自分自身の良心に従えば、この「誓い」はもっとも上位にある守るべきルールだと思います。
では、自分が亡き後に、争族から妻を守る最適な方法はなにか。
それは、遺言書を作成することです。
遺言書はなにも高齢になってから作成するものではありません。
遺言書は、妻を守るという自分の意思を明確にする最良の手段であり、
配偶者へのラブレターです。
さらに、このラブレターは、法的効力を持ち、妻を相続争いからしっかりと守ってくれます。
若いうちから遺言書というと、縁起でもない、といわれるかもしれません。
しかし、さまざまな年齢において伝えたいことは変わるはずです。
愛を述べてもよいでしょう。
遺言書に感謝の気持ちを述べてもよいでしょう。
相続分の指定から分割方法までを詳細かつ具体的に指定しておくのもよいでしょう。
その内容が確実に実行されるように遺言執行人を妻に指定しておくのもよいでしょう。
信頼できる専門家を紹介しておくのもいいでしょう。
遺言書は書き方次第で、文学作品にも、行程表にも、メッセージカードにもなります。
大切な妻を守るために、遺言書を活用することも考えてみてはいかがでしょうか。
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先日、今年の世相をもっとも反映した漢字として『絆』が選ばれました。色々な出来事があった今年は、『絆』の大切さが例年以上に心に染み渡りました。
また、私事ですが、2011年12月11日に大切な友人が結婚式を挙げました。大変なことがあった年でしたが、新たな『絆』がしっかりとつながりました。
今年うまれた『絆』が固く結ばれ、ずっと幸せでありますように。。。