あの練習試合以来監督からも勧誘を受けた。
断る理由もないのでOKしたが、この弱い野球部でどこまで勝ち進んでいけるのだろうか。

2時限目の授業中、そんなことを考えていた。
「ひろちゃん、隣のクラスに転校生が来たらしいよ」
春が楽しそうに言う。

転校生、転校生が珍しいのは解るが、騒ぐほどのものじゃない。

放課後グラウンドに出る、見たことない奴がグラウンドで素振りをしている。
「お前誰だ?」
無視。
「おい」
「名前を聞くときはまず自分からだろう」
もっともな意見だ。
「俺の名前は竹本宏和だ、ピッチャーだ」

「お前がピッチャーか、俺の名前は真田遼だ(さなだ りょう)」
「ちょうどいい、素振りに飽きてきたとこだ、俺に投げろ」
えらそうな奴だ、三振にして黙らせてやる。

真田がバッターボックスに立つ。
俺もマウンドに行く、初球全力で真ん中へ投げる。

カキーン、高い音が鳴りボールは遠くへ飛んでいく。

辛うじてファールになったが、距離は間違いなく場外だ。

「俺がホームランに出来ないなんて、驚きだ」

自信満々の顔、真田遼、こいつはいったい・・・