photo by oliver.dodd "salton sea wasteland"
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(以下、団体内でスタッフに送ったメッセージです。)
時代の変化やAIの普及に伴い、「仕事が変わっていく」といわれています。新しい仕事も生まれるでしょう。では「新しい仕事」とはどんなものでしょう?
説明できないはずです。「新しい」ということは「誰も知らない」「見たことがない」から、説明できない。
だから考えて、感じて、イメージしてみる。想像してみる。そしてぼんやりしたイメージの方向に、手探りで進んでいく。
そうすると、それまでただの荒地だったところに、少し「道」ができていく。作られたばかりの凸凹した道を、あとから来る人が少しずつ整えていく。そんなイメージ。
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僕は恐れています。今持っている知識や仕事観で判断して、「新しい仕事」の芽を見逃して潰してしまうことを。矮小化してしまうことを。
「新しい仕事」は、起業家が作り出すとは限らない。グローバル企業のビジネスパーソンが始めるとは限らない。
案外、僕らかもしれないのです。「新しい」とはそういうことです。「そんなことないだろう」とは誰もいえない。
「きずなメール」は、あるひとつのコンテンツ、本ならたった「1冊」の本だけを、持続可能な形で社会に役立てようとして現在、約3万人の人に届いています。「1冊の本」だけをこういうふうに展開して、事業としてやっているところは、他にないです。
(あればぜひ教えてほしいのです。一番早い普及の方法は、すでに成功したモデルを研究して真似ることなので、できればそうしたい)
僕は「新しい」ことが「素晴らしい」といいたいわけではありません。でもきずなメールの事業は、「新しい」としかいえない。そう位置付けないと、起こっていることを、古い物差しで切り捨ててしまいそうになる。
「新しい仕事」は、業務に答えもなく、不定形です。「これをやればうまくいく」なんてものはない。誰も示せない。考えて→形にして→投げかけて→反応を見て→また考える。これの繰り返しです。こんな仕事が価値を生むのが、今なのでしょうか。
答えを持っている人はいません。強いて言うなら「今も3万人の読者と日々つながっていて、事業として持続している事実」が答えででしょうか。それなら僕らはすでにかなりやっており、これからさらにもっとやっていく必要があります。
そのためには、「不定形で答えがない」状況を直視していく必要があります。
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事業を始めたばかりの頃、共同創設者である松本さんにこういいました。
「大事なのは①要件定義と②ロジックの開発の2つだ」
①要件定義とは、Missionから業務、スタッフの行動まで、貫くものがあるということ。身近なところでは説明責任だったり、ガバナンスだったり。
②ロジックの開発とは、要はストーリー。物語を「作る」というよりは「眠っているものを掘り起こす」感覚に近い。もっといえばブランディング。
当時はこんな言い方しかできませんでしたが、今でもこのふたつが大事、というのは変わりません。自分でも驚くほど、変わっていない。
自信や確信があったわけではないです。むしろその逆。自分でも何をわけのわからないことを言っているのだろうかと思いました。でも言葉にすると、こうなってしまう。「形がない」=「不定形」です。
僕らは、すでにこれをやってきたのです。具体例を上げればきりがないほど。そしてさらに、もっとスピーディーにやっていく必要があるので、やっていきましょう!