こんにちは。松本です。

7月11日(土)の夜、東京都文京区の非営利団体「子どもを守る目コミュ@文京区」さんが開催したシンポジウムに参加してきました。

ルポライター杉山春さんの講演「地域で子どもを見守り、親を孤立させないために」を聞きたかったからです。
杉山春さんは、2000年と2010年に起きた2つの虐待事件の本を書いた方です。
子どもの虐待を深く取材してきた方が「親を孤立させない」というキーワードで
講演を行うということで「これは行かないと」と行ってきたのでした。
(小1の息子の預け先が見つからず躊躇っていたのですが、
保育コーナーあり、ということで安心して連れて行くことができました)。

講演では、2つの虐待事件の共通点や相違点、また、そうした事件を起こしてしまった母親たちの個人的背景、社会的背景、こうした痛ましい事件をなくしていくために何が大切なのか、といったことを、話してくださったのですが、私が印象に残ったのは次のような言葉でした。

・2人とも子どもが生まれてくることを喜んでいた時期があったし、子どもが生まれてからも
 子どもを一生懸命育てていた時期がある。

・周囲にSOSを出していた時期もあったけれど、伝え方が上手でなく、必要な支援に
 届くことができなかった。支援者は支援を届けられなかった。

・2人とも、自分自身が子どもの頃、頼れない母親を持っていた。そして、
 小さい頃から、周囲の大人に助けられた体験がなかった。体験がないと、
 大変な時には誰かに助けてもらう、社会に助けてもらうということを知ることが
 できない。知らないから、周囲にSOSを出せないというサイクルになる。

・「母親ならちゃんと子どもを育てられるはず」という社会通念は、自分に自信がない人、
 自尊感情の低い人たちを強く縛っている。ちゃんと育てられないと評価されないという 
 不安を抱いている。

・いまは育児について「悩み」ではなく「不安」のほうが大きい。

・「不安」を感じたら、それを誰かと共有する、ということはじつは大事ではないか。
周囲の人が「そうだよ、それおかしいよ」とか行ってくれたら、「不安」ではなく「事実」になる。
 2010年の事件で、同じマンションの住民の何人もが、置き去られた子どもの泣き声、
母親を呼ぶ声を聞いていたが、通報したのは1人だけだった。その1人は、自分が聞いた声の
 ことを職場の同僚に話して、その人が気にしてくれたから、通報という行動に移せた。

・社会には「助けたい」という思いを持っている人はたくさんいる。

・困った時は社会を頼る、だれかを頼ることが当たり前であることを、子どもの頃から
 学ぶ機会が必要。→そのためには、まわりの大人がこどもに関わっていく必要がある。
 親からそういうことを得られない子には、地域の大人が関わってあげる。

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 杉山春さんの話を聞いて、自分自身も子育て中であることから、
とても頷けることが多かったです。
「ちゃんと子どもを育てられないと、だめな人間と思われてしまう。評価されない」という
気持ちは、おそらく多くの母親が、たぶん無意識に持っているものではないかと
感じました。「悩み」というより「不安」に包まれて子育てしているということも、
本当にそうだと思います。
そして、自分が感じている不安は誰かに伝えることで、「不安」ではなくなっていく、という
ことには、はっとさせられました。

「きずなメール」は、少しずつ利用してくださる自治体が出てきて、
その自治体の子育て情報、支援情報を入れての配信ができるようになってきましたが、
「大変な時は誰かを頼るが当たり前」ということをくり返し、
少しずつ伝えていけるような工夫をまだまだ考えていきたいと思いました。

子どもを守る目コミュ@文京区さん、貴重な勉強の場をありがとうございました。