北マリアナ諸島サッカー代表監督の日記 -8ページ目

カメラマン

試合前にカメラマンの前でポーズ。




北マリアナ諸島サッカー代表監督の日記



よく見るとカメラマンはみんな友達。

国際親善チャリティマッチ

昨日4月10日サイパンにて「北マリアナ諸島女子代表対慶応大学女子サッカー部」のチャリティマッチが行われた。


試合に先駆けて、グランドで東北大震災のチャリティイベントを実施した。





はじめにU-6/U-8/U-10の各年代別ドリブルリレー。


参加費として一人3ドルを払っていただき、全額を寄付。



北マリアナ諸島サッカー代表監督の日記




つづいて、U-12(男女)とU-15女子の選手たちが、北マリアナ諸島代表GKと慶応大学のGKにPKを挑む。


北マリアナのGKは、普段は学校の先生をしているBecca。



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入ったか?





このPKチェレンジには、50名もの申し込み希望が殺到した。


一人1回ずつ蹴っていく。


GKは北マリアナと慶応で、交代交代行う。


1本目で見事ゴールを決めた選手が12名。


残った12名は、2本目をペナルティラインまで距離を伸ばし、再びチャレンジ。


見事2回目も決めた12歳の男子選手に、新品のサッカーボールをプレゼント。





つづいては、男子の4対4ミニゲーム対決。


U-15の選手1名+U-18の選手1名+大人2名でチームを編成し、8チームでトーナメントを行う。


1試合3分、GKなし、コーナーキックなし、タッチアウトはキックインで再開。





最後は女子の選手による4対4のミニゲーム。


優勝チームは、サッカーボールに加え、慶応大学と4対4の試合に挑む権利が与えられる。




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優勝チームは、今年チームが出来たばかりのシェーリーズFC。


慶応大学都の試合では、圧倒的なレベル差の中、なんとシェーリーズFCの選手が先制点を挙げる。


スタンドでは、地元の観客が大騒ぎ。




しかし、最後はきっちりと逆転され、慶応大学の勝利で終了。




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それでも慶応に挑んだ女の子たちは、負けても大喜び。






そして、いよいよメインの親善試合。







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入場ゲートにてエスコートキッズと入場を待つ慶応大学イレブン。





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島の各クラブから集まったこどもたちと手をつないで、FIFAアンセムが流れる中入場。





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両選手握手。両チーム左上腕には喪章。






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両チーム、審判で1枚。







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試合は、戦前の予想通り圧倒的にボールを支配され、前半0-4で折り返す。



「慶応大学は普段人工芝のフラットなグランドで練習しているため、サイパンのでこぼこの天然芝(雑草)でコントロールミスが狙えるであろう」


「北マリアナの体力が90分持たないであろう」


という予測から、


前半は少し高い位置で守備をして、ボールを奪ったら思い切ってDFの裏に飛び出していこうと企てていたが、

高い守備が裏目に出て、前半の2失点はディフェンスラインの裏にスルーパスをきれいに通された失点。



後半は、とにかくこれ以上失点をしないことを優先させ、少しディファンのブロックを下げる。


また、3-4-3のDFのサイドをうまく使われていたので、DFを4枚にして4-4-2変更。


サイドのマークをはっきりさせる。





後半は、粘り強く守り、残り5分まで失点なし。


しかし、最後は体力も集中力も限界に来ており、残り5分で2失点。


計0-6で負けた。



慶応大学は、就職活動でサイパンに来れない選手がいたり、ベストメンバーではないとはいえ、JFAアカデミー出身の元U-16女子日本代表選手がいたり、他にも技術に優れる選手がそろっていた。



日本の女子選手のレベルアップを目の当たりにし、正直感動した。


多くの女子サッカーの関係者の尽力の賜物だと思うが、特徴として日本人の女子選手は足首の関節が柔らかいのか、ボールタッチがとても繊細であると感じた。





試合後、慶応の選手が宿泊してるホテルのビーチで両チーム合同でパーティーをした。


北マリアナ女子代表は、慶応のみなさんに、ウクレレにあわせた地元の歌とボビーマクファーリンのDon't worry, Be happyをプレゼントした。


最後は両チームみんなで大合唱とダンス。


その後も、ビーチでアームレスリング大会、リンボーダンス大会の対抗戦が続き、ついには「サッカーとアームレスリングとリンボーダンスのトータルで北マリアナ代表の勝ち」と言い放っている北マリアナの選手たち・・・・・。


サッカーでは相手に圧倒されたが、夜のパーティでは見事に圧倒していた。



震災から1ヶ月が過ぎたが、依然として状況はおもわしくない。

寄付にご協力いただいたすべての皆様に感謝申し上げます。

また、このような状況にも関わらず、サイパンにて一緒にチャリティ活動に協力してくれ、サイパンの多くの子供たちに華麗なサッカーを披露してくれた慶応大学女子サッカー部の皆様に改めてお礼申し上げるとともに、今後も微力ながら東北の被災地の皆様に対し、今自分が出来ることを考え、実行していきたい。


※今回の義援金は、北マリアナ諸島サッカー協会から日本サッカー協会を通じて全額寄付を致します。

恐怖政治

火曜日と金曜日にU-15候補選手の練習会を実施している。


7月に台湾で行われるU-15東アジアユーストーナメントに出場する選手選考を兼ねている。



北マリアナ諸島サッカー代表監督の日記


彼らの辞書には、「時間厳守」「規律」「集中力」「予測」といった言葉はない。


語弊はあるが、こちらが黙っていれば小学校3・4年生の女の子の集団のように、おしゃべりをつづける子供だ。


あまり日本式に厳しくやると練習に来なくなってしまうかもしれないという怖さから、あまりうるさいことは言わずに、選手たちが「サッカーって楽しい!練習会に行くのが楽しみ!」と思ってもらえるよう工夫してきたつもりだ。


競技人口も少ないため、「監督がいちいちうるさいからサッカーは行きたくない」と思われ、練習に来てくれなくなるとチーム編成ができないため、自分自身が怖がっていたのだ。




しかし、その方針を変えた。




練習開始時に、「集合」と大きな声をかける。


10人くらいは小走りですぐに集まる。


ゆっくりと遠くから歩いてくる選手は待たない。


その日の練習の目的と内容を、すでに集まっている選手に伝える。


すぐにウォーミングアップに移る。


ゆっくり歩いてやってくる選手はあわてて駆け寄ってくる。



次にパスとコントロールの練習をはじめる。


手短にやり方を説明する。


全体の1/3は、私の説明を聞いていないでおしゃべりしてる。


やり方を理解していない選手がいても関係ない。


すぐに「笛」を鳴らし、練習を開始する。


練習を開始すれば、話を聞いていた選手と聞いていない選手が明確にわかる。


聞いていない選手でも、周りの選手のプレーを見て、ようやく理解しプレーする選手もいる。


練習開始してからも、みんながどのようにやっているかを観察せず、おしゃべりを続け、自分の順番になってから

初めて「どうやるの?」と聞いてくる選手もいる。


「説明した」としか答えない。



休憩をとる。みんな急いで水を飲みに行く。


次の練習は、ポゼッション。


3分後、笛を鳴らし「集合!」と叫ぶ。


さすがに、全員が小走りで集まってくる。


ここでも練習のやり方を1回しか説明しない。


2グループに分け、最初のグループの練習をはじめる。


2分後、1グループと2グループを入れ替える。


2グループの選手の半分はピッチにべったりと座り込んでおしゃべり。


入れ替えるにも時間がかかってしょうがない。


もたもたしてピッチになかなか入ってこない。


しびれを切らし、「2グループは練習しなくていい」といって、もう一度1グループのポゼッション練習をはじめる。


さすがに次は2グループの選手も立って練習を見ている。




1時間40分の練習が終わり、「今日は少し厳しかったかな?」と思いながら家に向かう。


このように、選手からすればすこし意地悪に見えたかもしれないが、しばらくこのスタイルでやってみようと思う。



サッカーは90分だが、ほんの一瞬の隙や油断が取り返しのつかない結果を招く。

ボールが遠くにあるほど神経を集中させなければいけない。


サッカーはチームスポーツなので、一人でもさぼっていたらチームが成り立たない。

ボールにかかわっていない選手でも次に起こるプレーを予測し動かなければいけない。


サッカーは、ボールが1cmでもラインの外に出たら、相手ボールである。

「少しくらいいいだろう」という甘い考えは通用しない。


大学時代の恩師、堀江忠男(当時)監督は、10mのショートダッシュをする際に、10m走り切る1m手前でスピードを若干落とす選手達を叱咤した。


「10mのダッシュといったら、10mを過ぎるまでスピードを落とすな。この1m手前でスピードを落としたら試合に負けるんだ」と。



次回の練習会には、何人の選手が参加するだろうか?