「どんな気持ちでこの作品を作っているのですか？」
先日SNS で投稿した私の陶芸作品制作風景。
これを読んでくれた方から質問されました。
今回は作品を作るときの気持ちについて
書いてみますね。
空想の化石を作る
私の作品シリーズの中には
化石を題材にした作品があります。
文字通りに化石を模造するのでははく
私が空想の中で仕立て上げたフェイクの化石です。
初めて手掛けたのは今から16〜7年前のはずです。
これを作るようになったきっかけは、
博物学という分野を知ったことが始まりです。
幼い頃から、無性に
化石とか伝説の不思議な生物に魅かれて
大人になった今でも、こんな本に出会うとワクワクして
手にとっていた私。その中で、
16世紀後半の博物学界は、
人魚の剥製を作ってみたり、
大航海で出会う世界の七不思議を唱えてみたり
今でいうエンタメの要素が
多く取り入れられていたことを知りました。
私は当時の人の遊び心と想像力に
魅了されたんです。
「博物学者になった気分で
空想の化石を作ったら楽しい！
そういうのを作品にしてみたいな。」
と思ったことがスタートでした。
表に出す機会を失くしてました
この空想の化石シリーズを初めて発表した頃、
制作していて本当に楽しかったです。
のめり込むように制作したことを覚えてます。
大好きだったのです。
でもね、
好きすぎる物はうまく付き合わないと
バランスを崩すのです。
もしかしたらそのままそこに
シフトチェンジすれば、
別の展開があったのかもしれませんが
当時の私にとっては難しかったのです。
求められていたものと、やりたいことが
別だったというか・・・。
だから常に、この作品シリーズと
もともと私が持っていた、ちょっと可愛さもある
動物をあしらった作品シリーズの融合点を常に探して
さ迷っていました。それがしんどくてね、
だからこの化石のシリーズは、
長い間、表に出す機会を失くしていました。
やっと融合点を見つけた！
あれからだいぶ時間が経ちました。
長い間、表に出す機会を失くしてた空想の化石。
このシリーズを４〜5年前から少しだけ、
小品に限り復活させた私。
やはり助走はつけておかないと、大好きなのに
本当にお蔵入りしてしまいます。
そして助走をつけることで
融合点も見つかるはず。
そう思っていると本当にそうなるものです。
昨年出会った一冊の絵本「THE GIFT」
この物語が大きなヒントになりました。
なぜなら、この絵本に中には
博物学、化石、その他もろもろ。
私がずっと好きだったものたちが
ギュッと詰め込まれた物語だったからです。
これからは、この絵本の世界を一つずつ
ページをめくりながら陶で綴って旅をしていこう。
そう決めた時から
どんどん私の中にあるそれぞれの作風、
作品シリーズとの融合点が見つかりだしました。
好きの中の好きを心から愉しむ
手捻りという陶芸の一番基本的な作り方で
一つ一つ作り、装飾も全て手作業で
細かく作り込む。
まるで遺跡発掘作業のような作業です。
でもね、とても愉しい。
そして愉しさで作り上げた作品を
表に出す場も与えられました。
それが今回、SAN-AIギャラリーで開催する個展
「アプロディアを探して」です。
今回、個展に向けた作品を目指す中で感じたことは、
好きなことをやる中でも
より好きなことは何か？やりたいことは何か？を
探求する。つまり自分の内側のことですら独自化を意識することの
大切さに気づかされました。
私のようなモノ作り作家業の方にとって、
好きなことを仕事にしている故に抱く葛藤に
直面することが時折あるはずです。
そんな時は、そきなことの中にも
心から愉しんで創作しているものは何だろう？
そんな視点を持つことも大切かもしれません。
こうして準備している個展「アプロディアを探して」は、
４月１６日から開幕します。
展覧会の案内は、このブログの下に掲載しています。
ぜひリアルに作品を感じてくれたら嬉しいです。
会場でお待ちしています！
陶芸家で陶芸セラピーカウンセラーの
辻本喜代美でした。
どんな場所なの？陶芸教室の見学も大歓迎ですよ！
個展のお知らせ
辻本喜代美 陶展 アプロディアを探して
2023年4月16（日）〜4月22日（土）・月曜定休
open 12：00
close 18：30／日曜18：00／最終日17：00
SAN-AI GALLERY
東京都千代田区東神田1−13−17 森ビル1F ▶︎ 展覧会の詳細
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アナタのお話を聞きながら土に触れ、やわらかな気持ちになりながら心を整理するレッスンです。
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