「陶芸の作品、
これ１つ作るのにどれくらい時間がかかりますか？」
この質問は
陶芸に興味を持ってくれたかた、
陶芸教室に来てくれたかた、
私の作品に目を留めてくれたかた、
これら皆さんからいただく質問で
一番多い質問の１つです。
今回はこの質問に答えてみます。
まず、陶芸の工程を知ろう！
一つの陶芸作品が完成するまでの間
一体どれくらいの作業工程を経るのでしょう。
趣味で陶芸をされる人も
私の様に仕事で陶芸をしている人も
共通して言えることは
陶芸は、今日作って
今日持って帰れるものではない。
今日作って明日焼き上げるものでもない。
という手仕事だということです。
例えば、毎朝コーヒーを飲むカップを作るとします。
1.デザインを考える。
2.粘土を練り形を作る（成形）。
3.少し粘土の水分が抜けるように乾かす。
4.使いやすい器として機能するよう、削って
美しく、器らしく整えていく。
5.カップのボディーが出来たら取手を丁寧につける。
6.彫りものの装飾をつける場合は彫刻・象嵌・陶印、しのぎなどで
模様をつける。
7.ゆっくりお乾燥させる。
8.700度〜800度の温度で一度焼く（素焼き）
9.窯出ししたカップをサンドペーパーなどで整える。
10.表面のホコリをしっかり拭き取り、底面に撥水剤を塗る。
11.下絵付けをする場合は下絵の具で絵付けをする。
12.釉薬をかける。
13.窯に詰めて焼く。
14.冷まして窯出しする。
15.上絵付けがある場合は上絵の具で絵付けをする。
16.窯入れして焼く。
17.冷めたら窯出しする。
完成！
朝のコーヒーを飲むカップには
これだけの工程を経て
食卓で活躍するカップになるのです。
一番シンプルなものを作ったとしても
最少、黄色い帯 の作業は基本作業なので外せません。
これは趣味の陶芸の人も、陶芸家も同じです。
たくさんあるでしょ。
ちなみに1回だけの体験陶芸では
どの部分を体験しているのかといえば
私の陶芸教室の場合１と２となります。
趣味の陶芸と陶芸家の陶芸のタイムライン
では、
趣味と陶芸家ではどこが違うのでしょう。
今回は「どれくらい時間がかかりますか？」
の問いに対してなので
時間だけに着目します。
一番大きな差は
時間の〆切がないのが趣味の陶芸。
時間の〆切があるのが陶芸家
これが一番大きな時間の差です。
そこに窯の容量やサイクル、乾燥の時間帯など
様々な条件を加味して、私の場合は
お時間を平均２ヶ月、細工が細かく
緻密なものや大掛かりなものは半年内をいただきます。
さらに１つ注文されても１つ作るわけではないのです。
その１つが窯内で割れることだってある。
だからスペアも一緒に作ります。
ということで、
「陶芸の作品、
これ１つ作るのにどれくらい時間がかかりますか？」
の質問に対してはこれらのことから
想像してもらうといいですね。
気に入ったものを大切に扱う心が芽生える
陶芸のいいところは
これらの工程を全て体感すると、
自分自身に対しても
作品に対しても大切の扱うという心が芽生えます。
それは長年、陶芸を生徒さんに教えていて
感じることです。愛し愛されてできた作品には
愛らしさが漂ってくるものです。
逆に、その作品に丁寧に
向き合って来なかったであろう作品には
いくら隠しても、隠しきれない
無言で訴える言葉を発しているように
感じるのです。
ということで、今回は
「陶芸の作品、これ１つ作るのに
どれくらい時間がかかりますか？」
という質問からブログを書いてみました。
陶芸家で陶芸セラピーカウンセラーの
辻本喜代美でした。
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