シングル9曲、新曲が実質4曲という色合いが懸念されたPerfumeのアルバム「JPN」。
その懸念は中田ヤスタカの新曲の色合いと絶妙な配置によって払拭されたというのが感想です。
それがどういうものなのかは曲を追いながら説明しましょう。
1、The Opening
1音目の入りが、アルバム最後の「スパイス」のそれと同じ。
多分ニヤニヤしながら作ってたんでしょうね。
全体的にアンビエントな所も似ています。
2、「レーザービーム(Alubum-mix)」
イントロを無くしてクラブMIXっぽく仕上げたんですが、次曲の「GLITTER」と較べると音に厚みがない感じ。
当初は予定がなかったが急遽ミックスを加えたか?
3、「GLITTER(Alubum-mix)」
まず曲の繋ぎだけで10,000ドル差し上げたいくらいの出来映え。
このアルバム中で「スパイス」と並ぶ最高の仕上がり。
「グリッタ!グリッタ!」のコーラスの上げ下げだけで、曲を繋ぐやり方も気に入りました。
ここまでがこのアルバムの第一章。
これから既存のシングルと新曲を織り交ぜる第二章が始まります。
4、「ナチュラルに恋して」
5、「MY COLOR」
メロディや曲調は違えど、どちらもブリブリのベースラインで下支えさせる似たような曲。
こうして並べる事によって既存曲の色褪せを抑え、アクの強さを目立たなくさせるのは、曲の配列の妙ですね。
5について言うと、元気のいいメロディはあ~ちゃんの声をメインに、マイナー気味の「マイカラー~」のコーラスでメロウさを出すのは、かしゆかをメインにする所は、すっかりヤスタカのお得意パターンになりましたね。
6、「時の針」
Perfume版の「おもちゃのマーチ」(笑)。
かしゆかのソロの直後にのっちのソロの歌声を聞くと、やっぱり「スッカスカ(本人談より)」だわ(笑)。
この曲はライブでやれるのかねぇ?
7、「ねぇ」
8、「微かなカオリ」
9、「575」
10、「VOICE」
ズラリと既存曲が並びましたが、この配列が一番聞いていて違和感ないでしょうね。
でもシングル全曲を持ってる人からしたら、1、2曲は外してと思うかも。
ただ、ヤスタカさんはちゃんとお色直しはしてくれてるので、シングルと聞き比べるのも1つの楽しみかと…。
11、「心のスポーツ」
メンバーのリクエストに応えて、ライブで盛り上がれる用に書き下ろされた新曲。
Aメロのバックで鳴るクラップ音。
サビの口ずさみ易いキャッチーなメロディ。
全てがライブ仕様の曲。
次のツアーでハンドクラップしたり、サビを大声を歌う皆さんの姿が目に浮かぶようです(笑)。
日頃の運動不足はこの曲で解消してくださいまし。
12、「Have A Stroll」
パッと聴いた感じ、キャリーぱみゅぱみゅの「ピンポンがなんない」に似てる感じがした。
「ピンポンがなんない」と、「ないの、ないの」の響きだけの問題かね?(笑)
次の2曲が音をたっぷり作り込んでいる為か、あっさりした造りに仕上げている所に好感が持てた。
このアルバムは全体を通して、こういうバランスの取り方に腐心しているのがよく解る。
13、「不自然なガール」
シングルで聞いた時はただただ強い音ばかりで聞いていて疲れるんで、あまり好きではなかった曲ですが、このアレンジは気に入りました。
合間に遊びの音が沢山挟まって、それがいい箸休めになってる感じがします。
アウトロで入るギターが一番好きですね。
この手法は「コンピューターシティ」でもやってました。
14、「スパイス」
同じ歌詞・メロディを、転調とアレンジのバリエーションだけで聞かせる今のJ-POPでは絶対に商品化されないであろうアンビエントサウンド。
そんな曲をこのアルバムの最後に持ってくる事に、今のPerfume陣営の楽曲に対する絶対的な自信を見た。
このような曲を堂々と世に出している限りは、今の地位は揺るぎないでしょう。そして、バックに流れる数々の和楽器の音色に、ヤスタカが「JPN(日本代表)」と名付けたこのアルバムへの強い意志を感じました。
以上、まとめると…
「ヤスタカの本気を見た!」
かな?
前作で受けた批判部分(既存曲と新曲のまとまりが悪い)を根こそぎ修正してきました。
そして、ますますPerfumeの生の歌声とコーラスワークを前面に押し出しているので、次のツアーでの歌唱形態が大きく変わるかも?
個人的には真ん中の既存曲を幾つか減らしてもらいたいですが、それでも素晴らしい出来映えだと言うしかないでしょ。