中東のデモは民主化運動なのか? | Perfumeとグルメの日記

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答えはノー。
正確に言うと中東各地でデモを起こしてる者たちは欧米型(日本も含めた)民主主義に自国の体制を変えたいなどとは微塵も思っていない。


彼らが口にしている言葉は、「(祖国に)神の意志を!」だ。


つまり自国の政権(独裁者)は、彼らが信ずるイスラム教唯一の神アラーの正しい意志を政治に反映させていないから、この国から出ていけ!
という事であり、30年前に東欧で起きた民主化運動のように、「自分たちの手で議会を開き、政権を選び、自分たちの意志を政治に反映させる」為に独裁者を倒す事を目的としたデモとは全く性質が違うのだ。


中東のデモ参加者たちが望んでいるのは、自国が「神の意志の反映された正しいイスラム教国家」に立ち戻る事であり、その意志に背く事を行い続けた独裁者や国王を国から追い出そうとしているわけで、決して我々が手にしている欧米型民主主義を望んではいない。


日本のメディアは「民主化」や「革命」が大好きなおめでたい人たちなので(最近の論調は大分変わってきましたが)、当初はデモ参加者に全ての正義があるように報じて来ましたが、よく考えてみてください。


もし、中東に正しいイスラム教国家が次々に生まれたらどうなるか。


指導者たちはイスラム教の歴史的な主張を繰り返す事によって、政権基盤を強める事を余儀なくされるでしょう。
そうなればイスラエルとの関係がまた先鋭化してしまうのです。


既に辞任したエジプトのムバラク大統領、政権維持が風前の灯のリビアのカダフィ大佐は共にアメリカ寄りでした。
(間接的にイスラエル穏健派)


その政権が吹っ飛んでバリバリのイスラム教国家が生まれれば、たちまち中東は世界の火薬庫に逆戻りです。
あのイラクにさえ手を突っ込んで無理矢理民主化させたアメリカでさえ、今回何も手を出さないのはとにかく中東の国民に反米意識を芽生えさせたくないからでしょう。
アメリカやイスラエルに穏健な政権が出来る流れになるのを待っている状態なはずです。


独裁者が大嫌いな日本のメディアは今日からリビアのカダフィがいつデモ隊の生け贄になるかを刻々と伝えるでしょうが、彼が政権を追われた後にリビアに何が生まれるのかは何も伝えないでしょう。
(決してカダフィがリビアに必要な人間だとは思っていませんが)


中東で起こっている事は我が国にとって、単に「石油の値段が上がって迷惑だ」だけの簡単な話ではない事だけは確かなようです。