皆様、こんにちは。

秩父市議会議員のきよの和彦です。

 

本日、3月13日に秩父市議会3月定例会は最終日をむかえました。

 

影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の工事請負変更契約について、変更契約の締結の前に、変更内容の工事が行われており、このことは地方自治法上、違反にあたると考えられ、さらには、市条例、社会倫理に照らし合わせてもコンプライアンス違反であり、不適切事案であると考えることから、

所属する、新政ちちぶを代表し、反対討論を行いました。

 

 

影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の工事請負変更契約についての議案は、市議会の賛成多数で可決されましたが、

本会議および総務委員会においての審議過程の中で、諸議員から指摘された当局による説明不足や、地方自治法に抵触する疑いがあるのではないかとの指摘があることなどから、議会として意見を付帯する、付帯決議が可決されました。

 

(写真は令和6年2月28日 影森グラウンド多目的グラウンド改修工事 現場付近より、きよの撮影)

 

以下、反対討論の内容です。

 

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9番 新政ちちぶの清野和彦です。

 

私は、議案第5号 工事請負変更契約の締結について、反対の立場から討論に参加させていただきます。

 

秩父市議会の最高規範である秩父市議会基本条例では、その前文に「二元代表制の下、市長と相互に緊張ある関係を保ち、その執行を監視し、評価」するという、日本国憲法で定められた議事機関である、地方公共団体における議会としての、決意が記されています。

秩父市をはじめとする地方公共団体は、法令、社会的規制、倫理に則って、住民の福祉の増進を図ることが求められており、議会は市民の代表として、その遵守を監視、評価する役割をもっています。

 

この度の議案第5号工事請負変更契約の締結についての対象となる、影森グラウンド多目的グラウンド改修工事については、明らかなコンプライアンス違反があると考えます。

この度の事案の経過と問題点について説明をさせていただきます。

 

まず前提として、地方自治法上、秩父市をはじめとする市においては1億5000万円以上の契約については、議会で議決をしなければなりません。

 

地方自治法第96条[議決事件]の第1項第5号では、「その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。」が普通地方公共団体の議会が議決しなければならない事件として定められています。

 

この「政令」とは地方自治法施行令第121条の2の2にて、

市(指定都市を除く。)においては1億5,000万円以上の契約とされています。

また政令の基準に従い、「秩父市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例」の第2条において、 

「地方自治法第96条第1項第5号の規定により議会の議決に付さなければならない契約は、予定価格15,000万円以上の工事又は製造の請負とする。」としています。

 

以上のようなことから、地方自治法上、秩父市をはじめとする市では、1億5,000万円以上の契約については、議会で議決をしなくてはなりません。

 

影森グラウンド多目的グラウンド改修工事については、 当初の契約として、令和5年9月定例会にて、議案第81号「工事請負契約の締結について」が可決され、

請負金額 2億5,249万1,800円  請負業者 秩父土建・斎藤組特定建設工事共同事業体 とする契約が結ばれました。

 

続いて、契約の変更として、現在開会中の、令和6年3月定例会に、議案第5号「工事請負変更契約の締結について」として、グラウンド改修工事の請負金額を、6,468万3,200円増額し、3億1,718万5千円に変更する契約を締結したいため、議決を求める議案が提出されています。

合わせて、その工期も

令和5年9月26日から令和6年3月22日までであったものを、

令和6年5月31日までに変更し、

変更契約の理由は、

◯河川管理者である埼玉県との協議により高さ1.2m2.5mL型擁壁を55mを設置すること、

◯影森グラウンド利用団体からの要望により、当初グラウンドの外周に設置予定だった転落防止柵を、高さ10mの防球ネット280mの設置へと変更すること、

◯ピッチ外の敷地について、人工芝布設(ミッドパイル)2390m2を新規追加すること、であります。

 

本定例会の会期中に、この変更契約の締結の前に、変更内容の工事が行われている事実が明らかになりました。

 

2月27日火曜日に開かれた秩父市議会総務委員会で、委員が影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の現地視察を行ったところ、すでにL型擁壁、防球ネットの設置は開始され、工事が進んでいました。

「工事請負変更契約の締結について」の議案は、まだ可決されておらず、変更契約は仮契約の状態であることが予想され、本契約は締結されていないはずでありますが、すでに変更契約の内容の工事が始まっている事実があります。

 

 

工事請負変更契約の締結の前に、変更内容の工事が行われていることが、地方自治法に違反していると考えられる理由の一つ目は、地方自治法上、普通地方公共団体の議会が議決しなければならない事件となっている契約にも関わらず、議決を経ずにその契約内容の工事が行われていることです。

 

先に述べた通り、地方自治法第96条第1項第5号において、秩父市をはじめとする市(指定都市を除く。)では、1億5,000万円以上の契約については、議会で議決をしなくてはなりません。

今回の事案のように工事請負変更契約後の金額が議決を要する金額である1億5,000万円以上である場合も同様であり、議決を経ずに変更契約の内容の工事を行われていることは、地方自治法上、法令違反にあたるのではないでしょうか。

 

地方自治法に違反していると考えられる理由の二つ目は、工事請負契約の本契約は締結されていないはずであるので、地方自治法上で定められている支出負担行為が行われていないにも関わらず、すでに工事が行われていることです。

 

地方自治法第232条の3[支出負担行為]では、「普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。」と規定されています。

支出負担行為は「支出の原因となるべき契約その他の行為」のことであり、支出負担行為を行わずに、支出手続を行うことはできません。

 

秩父市予算規則では、工事請負費を、支出負担行為として整理する時期は「契約締結」のとき、支出負担行為の範囲は「契約金額」となっています。

え 

つまり、この度の事案では、工事請負変更契約の本契約が締結されていないため、支出負担行為は行われていないということになり、支出負担行為は地方自治法上で定められていますから、それを行わずに、先に工事をやってしまうということは、地方自治法上、法令違反にあたるのではないでしょうか。

 

3月4日に登壇をさせていただいた私の一般質問では、以上のような、地方自治法上、法令違反に該当すると考えられる問題点について挙げさせていただき、北堀篤市長、石関千春副市長に、地方自治法上、違反にあたるのではないのかを確認したところ、法令違反ではない、という認識をお持ちであるということでした。

 

その理由や根拠として、一般質問へ答弁いただいた内容について検証します。

 

まず第一に、市民部長より

10月、11月の議員クラブ連絡会で議員に向け説明をし、その後の12月定例会での総務委員会委員による現地視察や委員会を含め、契約等に関しての質問や意見がなかったので、議会の理解をもらっていると認識している、という趣旨の答弁がありました。

 

議員クラブ連絡会は、市議会定例会の開かれていない月に、主に市からの情報提供の場として設営されているもので、地方自治法第109条にある委員会や第112条から123条にある会議などに規定されているものではなく、その場での質問も、説明された内容の確認をする程度のものであり、審議の場ではありません。

また、今回の3月定例会に上程されている影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の工事請負変更契約についての議案は、12月定例会には提出されていないので、質問や意見がないのは当然であり、そのことで議会の理解を得ているという解釈は、何ら根拠のあるものではありません。

そして先に述べた地方自治法第96条第1項第5号において議会で議決しなければならない事件にも関わらず、議員に説明をしているので、その法令上の手続きを省いても良い、ということには、通常の法令遵守の感覚を持っているならば、到底結びつかない論理であると云わざるを得ません。

 

 

第二に、副市長より秩父市では国が作成した「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」に沿った対応をしている、という趣旨の答弁がありました。

 

国土交通省による「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」は、公共工事、民間工事の発注者と受注者との間の取引において、建設業法に照らし、受発注者はどのような対応をとるべきか、また、どのような行為が不適切であるかを明示したガイドラインであり、この度、指摘している地方自治法上のコンプライアンス違反に関わる取り扱いについて記されたものではありませんので、論点がずれており、根拠にはならないと云わざるを得ません。

 

第三に市長より、当初予算は可決されている。その予算の中で、予算が余ったということの中でやっている。という旨の答弁がありました。

 

今回の工事請負変更契約の議案は、地方自治法上、議会で議決しなければならない事件である1億5000万円以上の契約であり、北堀篤市長、自ら議会に提出しているものです。ご自身で議案を提出しているにも関わらず、議会の議決を経ずに、予算が余ったからその中でやって良いという考え方が、どのような論理で成立するのか、大いに矛盾しているのではないでしょうか。

 

北堀篤市長は、市長就任以降、公共工事に関わる10万円以上の随意契約について、支出負担行為に係る書類、つまりこれは契約に関する書類と推測できますが、これを市長決裁とし続けてきています。

この件については、令和4年の6月定例会の一般質問で事実確認をしましたが、その理由は、公共工事に着目し、市長決裁することによって、さらなる経費の節減の視点として考えるということで、公共工事に係る随意契約、業者を市長決裁により決定をするという仕組みをとっているということでした。

そのように市長がご自身で公共事業の契約に関する書類を細かく決裁している中で、今回の影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の契約について、このようなコンプライアンス違反に該当すると考えられる事案が発生した理由はなんなのでしょうか。

 

冒頭に申し上げた通り、秩父市をはじめとする地方公共団体は、法令、社会的規制、倫理に則って、住民の福祉の増進を図ることが求められています。コンプライアンスとはまさに、法令、社会的規制、そして倫理を守ることです。

 

他の自治体では、今回の事案に類似するような、議会の議決に付すべき工事契約において、議決を経ることなく工事を進めたことが明らかになった事案を、「不適切事案」と判断し、住民の信用を失墜させる結果となったことにお詫びし、今後はコンプライアンス(法令順守)を徹底し、信頼回復に努めていくことを公表し、処分として、首長以下、副市長、教育長の減給、関係管理職の厳重注意処分などを行い、「いかなる事由があろうとも、今回のような不適切事案は当然あってはならないことであり、今後、こうした不適切事案の再発防止を図るため」として当該自治体が発注する各種工事について、契約担当部署、財政担当部署の関与を強化し、チェック機能の改善を図ること、全職員に対し、改めて法令順守の徹底を呼び掛けるとともに、コンプライアンス研修を実施することなどを再発防止策として実施しています。

 

なんらかの理由で、必要な手続きを踏むことができずに、法令に違反するような、不適切な事案が発生することは、ありうることです。重要なことは、その不適切な事案に真摯に対応し、再発防止に向けて取り組むことではないでしょうか。

 

そもそも、この影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の工事請負変更契約の締結は、法令に則った正当な手続きを持って行えば、問題はなかったはずです。このような不適切事案に該当するような対応となってしまったのは、どのような理由からなのでしょうか。その結果、市の職員の皆様も困惑しているのではないでしょうか。

 

以上、申し述べた通り、この度の影森グラウンド多目的グラウンド改修工事の工事請負変更契約については、変更契約の締結の前に、変更内容の工事が行われており、このことは地方自治法上、違反にあたると考えられ、さらには、市条例、社会倫理に照らし合わせてもコンプライアンス違反であり、不適切事案であると考えることから、北堀篤市長には、秩父市の責任者として、この度の不適切事案を認め、コンプライアンスを徹底し、正当な手続きを経て、市の諸事業を実施していただくことを強く求め、反対の討論とさせていただきます。