皆様、こんにちは。

秩父市議会議員の清野和彦です。

 

新型コロナウィルス感染症の社会経済的な影響が長引く中で、自治体の財政はどのように運営されることが望ましいでしょうか。

 
 

令和4年3月定例会では、コロナ禍が長引く中で、市の財政にどのような影響を与えているか、その影響はどのように変化をしているのかを確認しました。

 

今回の市の説明で重要な点を要約すると、

「令和3年度はコロナ感染拡大の影響により、市税等の減収を見込んでいたが、令和4年度は回復基調を見込んでいる。歳出面でも、感染症が市財政に与える影響は昨年度よりも縮小していると考えている。」とのことでした。

 

また合わせて、北堀市長の掲げる「財政の健全化」について、

・令和4年度の当初予算は市の中期財政計画と照らし合わせたときにどのように評価ができるのか。

・現状の秩父市において、市長が主張している「歳入に見合った適正な歳出規模」とはどのような規模と考えられるか。

・今後、中長期的に秩父市の財政をどのように運営していくことが望ましいと考えているか。

を質問させていただきました。

 

市の説明を要約すると

◇中期財政計画と令和4年度予算を比較するとほぼ同規模となった。歳入の内容も大きな開きはなく、歳出でも、全体としては計画に近い内容となった。

◇現状の当市における「適正な財政規模」については、経常収支比率などの各種財政指標も、おおむね健全な数値を維持し、基金残高もこの数年間は同程度で推移していることから、現状の財政規模は適正でないかと捉えている。

◇中長期的な財政運営としては、今後、歳入面では生産年齢人口の減少による個人住民税の減収、歳出面では高齢者人口の増加に伴う社会保障費の伸びが懸念され、自主財源の確保と経常経費の削減を併せて進めていく必要がある。常に事務事業の見直しを行い、歳入とのバランスを取りながら、将来の市の発展につながる政策的な分野に配分できる財源を捻出し、投資していくことが最良である。ここ数年は災害やコロナ禍など予期し得なかった歳出が発生しているが、一定規模の基金残高を維持し、突発的なリスクに備えていきたい。

とのことでした。

 

清野からは

■コロナ禍が長引き、先行きが見通せない不安が広がり、今まで見えてこなかったテーマが顕在化してくるのではないか。

平時ではないという認識の下で、財政調整基金などを弾力的に使えるような心構えを持ち、迅速に必要な措置をしていただきたい

■予算全体については、今までの市の予算編成は、なるべくスリム化し後年度に負担を残さないようにする「積立て重視型」であったが、まちに活力を与えるためには積極的に市民サービスで還元していく、「市民満足度重視型」の予算に変えていくことが望ましいのではないか。

といった意見を述べさせていただきました。

 

コロナ禍と合わせて、物価高騰など、市民の皆様の生活に直結する社会経済的な事象が立て続けに起こっています。

そのような中で、市民の皆様の暮らしを支えるために、どのように財政を運営することが望ましいのか、どのよな具体的な事業を実施するのか。より一層の見極めと決断が重要と考えます。

 

 

以下、一般質問の詳細です。

 

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質問 清野

1番、令和4年度当初予算及び施政方針について。こちらの質問につきましては、大きく2つのテーマについて質問をさせていただきます。

 まず、令和4年度の予算編成における秩父市の財政状況についての市の認識を伺います。

 本定例会に付議されている秩父市にお住まいの皆様の日々の暮らしを支える様々な事業を行うための令和4年度の一般会計の当初予算案は、総額280億5,000万円となっており、前年度比1.6%の減額となっています。

 市の財政運営についての1つ目の質問ですが、令和4年度の当初予算案は、秩父市の中期財政計画と照らし合わせたときにどのように評価ができるのか、市のお考えを伺います。

 2つ目の質問ですが、本定例会の開会日、市長から発表された令和4年度施政方針では、コロナの影響で市の財政状況も一層の厳しさを増していく中と述べられていますが、令和4年度当初予算案において、新型コロナウイルス感染症による影響はどのように受け取れるか、市の考えを伺います。

 3つ目の質問ですが、市長が挙げられている令和4年度の取組の基本方針の2項めには、行政改革による、さらなる財政の健全化があり、その中で、歳入に見合った適正な歳出規模にすることにより政策的経費の財源を捻出し、秩父市の将来のために投資していくことが最良と考えていますと述べられています。質問ですが、現状の秩父市において適正な歳出規模というのはどのような規模を想定されていますでしょうか。その考え方も踏まえてご説明いただきたく存じます。

 最後に4つ目の質問ですが、今までの質問へのお考えも含めて、今後、中長期的に秩父市の財政をどのように運営していくことが望ましいと考えているか、教えてください。

 

答弁 財務部長 

 ご質問の1のうち、令和4年度当初予算に関するご質問にお答えさせていただきます。

 まず、中期財政計画と比較して、令和4年度予算の評価はとのご質問でございますが、昨年3月に策定いたしました中期財政計画と令和4年度予算を比較いたしますと、計画では令和4年度に278億9,000万円の歳出規模を予測しておりましたが、実際の予算額は280億5,000万円と、ほぼ同規模となりました。歳入の内容を見ますと、市税は計画よりもプラスとなった一方で、地方交付税はマイナスとなるなど、若干の差異はございますが、大きな開きはございません。また、歳出面においても、会計年度任用職員の任用増に伴う人件費のプラスや、普通建設事業費のマイナスなどがありますが、全体としては計画に近い内容となったと考えております。

 次に、新型コロナウイルス感染症が令和4年度当初予算に与えた影響でございますが、まず歳入面では令和3年度はコロナ感染拡大の影響を考え、市民税をはじめとした市税等の減収を見込んでおりましたが、令和4年度は回復基調を見込んでおります。歳出面でも、令和3年度当初予算では、コロナ対策関連経費で全体で2億3,800万円程度計上しておりましたが、令和4年度予算では5,400万円程度となり、新型コロナウイルス感染症が市財政に与える影響は昨年度よりも縮小していると考えております。しかしながら、現在も感染が拡大しておりますので、対策が必要となった場合には、国の交付金等を活用しながら予備費や補正予算等により迅速に対応してまいります。

 次に、適正な財政規模はとのご質問でございますが、投資的事業をはじめとした実施事業により予算額は変動いたしますので、具体的な金額での明示は難しいところです。財政規模を判断する一つの指標として全国の類似団体の決算額がございますが、令和元年度における類似団体平均の住民1人当たり歳出決算額は43万3,000円でございました。これを当市の人口を乗じますと265億円程度となりまして、280億5,000万円である令和4年度予算額はやや規模が大きいと感じるかもしれませんが、市の面積が広大であるなどのコストアップ要因が当市にあることを考慮いたしますと、適正規模の範囲内であると考えております。また、経常収支比率などの各種財政指標は、おおむね健全な数値を維持し、基金残高もこの数年間は同程度で推移していることから、現状の財政規模は適正でないかと捉えております。

 次に、中長期的な財政運営でございますが、今後、歳入面では生産年齢人口の減少による個人住民税の減収、歳出面では高齢者人口の増加に伴う社会保障費の伸びが懸念されるところでございます。このような状況を踏まえた上で望ましい財政運営でございますが、中期財政計画に記載しましたように、まずは自主財源の確保と経常経費の削減を併せて進めていく必要がございます。また、常に事務事業の見直しを行い、歳入とのバランスを取りながら、将来の秩父市の発展につながる政策的な分野に配分できる財源を捻出し、投資していくことが最良であると考えております。また、ここ数年は災害やコロナ禍など予期し得なかった歳出が発生しておりますが、一定規模の基金残高を維持し、突発的なリスクに備えていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、中期財政計画や財政健全化計画に盛り込んであります具体的な手法を着実に実行していくことが重要であると考えております。以上でございます。

 

清野 各般にわたり、ありがとうございました。それでは、順番どおり1番から順次再質問などさせていただきたいと思います。

 まず、令和4年度の当初予算につきまして、詳しくご答弁ありがとうございました。ちょっとどういう答弁だったかということを確認しますと、中期財政計画、これが秩父市の財政規律を維持するために、とても重要なわけですけれども、この令和4年度の当初予算についても、現在のところ大きな中期財政計画からの逸脱はないというようなことで認識させていただきました。

 当初、新型コロナウイルス感染症の影響もありまして、どういう財政の影響が出るかということが懸念されておりましたし、様々予測されておりましたけれども、令和3年度よりは令和4年度のほうがその影響が弱まっているのではないかというところで、当初予算をつくっていただいているということで了解をいたしました。

 1点伺って、これは意見なんですけれども、やはり令和3年より令和4年のほうが、例えばコロナ対策に関する予算というのは、現在のところ計上は減っているということですけれども、この感染症というのは想定よりも長く、今の現状でも多くの方が思ったよりも長く影響が続いているということもありますし、またこれは変異とかによって、かなり社会経済的な影響が、一度また収まっても突発的に上がってくる可能性もあるという案件でして、一種災害に近いようなものかと思います。

 そんなとき、先ほど財務部長からは、対策が必要となったならば、基金、予備費など活用して、もちろん国の交付金というのが取れればいいんですけれども、なかなか国もどこまで全ての自治体をサポートできるのかというところはちょっと疑問もありますので、そういう自治体独自の財源も使って、対策が必要となったならば迅速に対応していただくという形の答弁をいただきました。私も全くそのとおりだと思っていまして、もちろんある程度の基金残高は残しておくということは、市の財政運営のためには有用でありますけれども、また違う災害が起こったりとかする可能性もありますけれども、やはり今はなかなか平時ではないというような認識の下で、ある程度、例えば財政調整基金とか、そういうものも弾力的に使えるような心構えをしていただきまして、やはり私が懸念しているのは、新型コロナウイルス感染症が長期化する中でだんだんと、最初は短い時間だったら、皆さん我慢して頑張ろうというような気概というものがあると思うんですけれども、やっぱり長くなってきますと、だんだんと先が見えない感じで、不安であったりとか、今まで見えてこなかった課題がだんだん顕在化してくるんではないかなと思っているんです。そういうときにぜひ、これは本当に災害と同じような状況だと思いますので、迅速に必要な措置をしていただけるような弾力性のある財政運営をしていただければと思いました。これは意見です。

 そして、先ほど財政規模、どういう財政規模が秩父市にとってふさわしいかということですけれども、おっしゃるとおりだと思います。例えば全国の類似団体、秩父市は類型Ⅱ―2に入るわけですけれども、類型Ⅱ―2で見ても、秩父市は比較的面積が大きくて、結構、広域合併を経験した自治体なのかなと思っています。

例えば埼玉県内ですと、同じ分類というのは羽生市と東松山市と幸手市です。あと行田市だと思いますので、そう思うと、やっぱり市域がかなり広いですから、やはり類似団体との比較というのは一定の参考になりますけれども、ちょっと歳出に関して言うと、市民サービスの面からするとあまり、そこだけに寄ってもなのかなと思っています。なので、もしでしたら、考えられるのは全国的に、例えば富士吉田市とか、たしか同じような分類ですけれども、そういう同じような地勢的な状況を持ったところと比較するというのもいいのかなと思いました。ただ、先ほどありました政策的な内容によって年度ごとの予算は変わりますので、縛られることはないと思うんですけれども、財政規律を保つために、そして市民の皆様にも秩父市の財政状況、財政運営がどうなっているかということを伝えていただくためにも、目安としていろいろなものを示していただけるといいのかなと思いまして、こういう質問させていただきました。

 そして、最後、中長期的なお話がございました。これは秩父市がずっと持っているテーマということで、個人住民税の減収や社会保障費の増大というところで、決して秩父市の財政、楽ではないなというふうに聞いていて本当に思いますし、これは秩父市だけじゃなくて、全国どの地域も同じような課題を持っているところが多いんじゃないかなと。一部地域はそういうところでないですけれども、全国、山間地域とかを持っている地域は、こういう課題を持っているのかなと思います。

  そんな中で、どうやって政策的な経費を捻出するか。そしてまた、そのお金をどういうところに投下するかということが、今までよりも難しい判断に迫られると思うんですけれども、ここが財政運営の肝だと思いますので、ぜひ見直すべきところは見直し、ただ、市民の皆様の暮らしを後退させることがないような、市民の皆様の満足度を著しく下げることがないような財政運営、または事業の整備、事業の見直しなどを行っていただければと思います。こちらにつきましては、私からは意見ということで述べさせていただいて、終わりにさせていただきます。

 そして、予算全体のことなんですけれども、一つ、これは全体への要望なんですが、私、実は感じたのは、今までの秩父市の予算編成、予算の使い方というのは、どちらかというと、やっぱり積立て重視型だと思っているんです。なるべくスリム化して、後年度に負担を残さないようにしようとか、例えば公共施設を整備するためのお金に充てよう、減債基金に充てよう。もちろん大事なんですけれども、やはりまちに活力を与えるためには、ある程度の市民サービスで還元していく。つまり先に基金でためていくだけでなくて、やっぱり今の暮らしている方々に還元していって、それである意味では元気に働いていただいたり、元気に暮らしていただいて、そしてまた納税をいただいて、それを市民サービスに還元していくという、前向きな投資も必要かと思いますので、ぜひ、積立て重視型も大事ですけれども、市民の満足度重視、それこそ市長室長も今度市民満足度調査、またやるわけですけれども、そういう内容を含めて、ぜひこれやってもらって秩父市よかったなと、こういうところ助かるなという市になるようなお金の使い方をしていただくと、秩父市に住んでよかったな、秩父市でこれからも頑張っていこうという意欲が上がっていくと思いますので、そういう市民満足度向上型の予算に変えていただきたいというのが私の要望です。ぜひご検討いただければと思います。