このコロナ自粛期間、たまたま見た「ルーシー」(DVD)

スカーレット・ヨハンソン主演は、非常に興味深いものがありました。

 

細胞の活性化によって人の脳の力が20%以上使われるとどうなるか?

(仮説ですが、劇中の博士は言います。)

人は痛みも恐怖も感じなくなりすべてを感じ、思い出すというような

ことが起こります。これは臨死体験した人があの世に行きかけた時の

話に共通するような話でした。

 

*劇中のルーシーは、友人に無理やり押し付けられた

「運び(麻薬)の手伝い」がきっかけで、韓国マフィアにつかまり、

気がつけば手術され体内に新合成麻薬を1Kg袋ごとお腹の中に

埋め込まれてしまいます。

 

彼女を麻薬の運び屋として世界の主要都市に送りこみ

現地に到着したらマフィアが彼女とらえ、お腹を開腹して麻薬を取り出す。

その後の命はたぶんない。・・というような状況に追い込まれたのです。

 

見張りの男に抵抗したことで腹部を蹴られ

麻薬が体内に広がり、そこから彼女はとてつもない覚醒をはじめます。

この麻薬は6カ月めの胎児が骨を作る時の細胞活性力を合成麻薬化

したものらしく、胎児にとっては核爆発的な力でそれは人間の能力、

細胞を100%まで覚醒させてしまうようなモノでした。

 

少量でぶっとんでしまうものを、体内での麻薬袋破裂で大量(500グラム)

摂取し始めたルーシーがどうなったか?自分の命はいつまで持つのか?

自分は何をすれば良いのか?覚醒し始め、まもなく命がなくなるルーシーの行動に

目が離せません。

 

一方で脳細胞の研究学者ノーマン教授(モーガンフリーマン)が研究発表を

しています。脳神経細胞のネットワークをニューロンと言いますが、

人間には1000億ものニューロンがありますが、動物はその神経ネットワークの

5%しか使っておらず、人の脳でも10%しか使われていません。

その10%でこれだけの文明を作ってきたといいます。

 

これらの細胞は何をしようとしているのか? 

その目的は「生きる時間をかせぐ」ことだと言います。

 

だから細胞は常に延命か(不死か)?繁殖か?を選んできたと言います。

過酷な状況下では細胞は少しでも長生きしようと時間を稼ぎます。

また恵まれた環境の中では繁殖することで、次の世代に遺伝子を残し

時を超えて生き続けるのです。

 

15%しか使われていない人間の細胞の情報伝達が20%に

なるとどうなるのか?人は完全に自分をコントロール

できるようになり、40%にもなると他人もコントロールできるし

あらゆるものをコントロールできるようになる・・という仮説を博士は

紹介していました。

 

ルーシーはドラッグの大量摂取により、細胞が活性化!

知能が活性化、街行く人の会話する中国語がすべて聞こえ、

理解でき、木を見ればその木が地球とつながり脈々と

生きているのがわかります。

 

そんな超能力を身に付けたルーシーはマフィアどもをほとんど手も使わずに

簡単に片付けた後は病院に行き、自分の体から麻薬を取り出すように

医者に命令します。痛みがないので手術に麻酔もいらないと。

その開腹手術中に彼女は母に電話します。

 

「今、自分はすべてを感じる事ができる、空間も大気も地球の鼓動も重力も

みんな感じる。そんな風に自分の体のあらゆる感覚が目覚めていることを

母に話します。生まれた時の記憶もおそらく、その前の記憶も。。

過去のすべてを思い出し感じることができると。

自分が赤ちゃんの時、母の愛を感じながらお乳を吸っていた感覚も

やさしいキスもすべて感じることができる。」

電話のむこうの母はそんなこと覚えているわけないでしょ?

何を言っているのだ?といいますが、

ルーシーは感動と感謝に満たされて、お母さんにありがとう!

愛している。と涙した。

 

(このような覚醒は人の臨死体験で語られる感覚(記録)と酷似しています。)

 

愛にあふれた覚醒はここまでで、痛みも欲望もなくなった彼女は

人間らしさがなくなっていきます。
 

覚醒した彼女は、自分の他の3人の運び屋が世界のどの都市に

麻薬が送り込まれたか?それを聞き出すために、マフィアのボス

ところに乗り込みます。

ボスの手にナイフを突き刺しながら

彼女が語るのは・・

 

わたしは、これまでどのように生きて良いのか

わからなかった。いつも不安で、自分が何をしていいのかわからなかった、

ところが、脳(細胞)が目覚めて、何の痛みも苦しみも

なくなっしまった今は「全てがわかる」とルーシーは言います。

人は「痛みや苦痛」にしばられているのだと。

その為に、「生きる目的を知ること」もできないのだと。

「生きる苦しみ」のせいで何も考えることができないのだという。

 

つまり、マフィアのボスにナイフを刺した状態。

この痛みの中では、何も考えることができないだろう?

それが我々人間の生きている状態なんだといいます。

 

彼女はまるで人が死後に体験することを生きながらに

体験しているように思えます。

 

のこりわずかの命をどう生きるべきか?

脳科学者のノーマン教授に連絡を取ったルーシーは

生きる欲望も喜びも苦痛も無くなってしまった

知識だけが鮮明になっている・・

このわたしはどうすればいいのか?と尋ねました。

 

そこでノーマン教授は言います。

生命の本質は「知識を伝えること」だと。

「伝えなさい!」そして、未来に生きるのだと

彼女に教えます。

この教授とルーシーの言葉にこそ、

この映画の面白さがあります。

 

最後にルーシーは悟ります。

細胞は語り合っている。連絡を取り合っている

それを自由に操れるようになると形さえ変えていまうことができる。

 

人は1+1が2という自分たちの作ったルールの中で生きている。

言葉もすべて人間が作った約束事だ。

しかし宇宙はそんなもので規定されていない。

「無限というものに恐怖を感じる」人間が規定したものだと。

ルーシーは語ります。

 

***

 

「時間を生きること」だけが確かなことで、

我々は知識を伝えることで未来に生きていくのだ・・

これはすごい事を描いた映画だと、ぼくは感じました。

 

★★★★★

 

ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)が

覚醒し別人の表情を見せていく様は見所です。

 

アフリカ、エチオピアで発見された最初の人類(320万年前)

と言われている猿人のニックネームがルーシーだそうです。

発掘中にビートルズのルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイヤモンド

が流れていた事からルーシーとネーミングされたとか。

この歌はビートルズを知る人たちから、ドラッグでトリップしている歌だと

言われてきました。(LSDの頭文字から)

ジョンとポールの語呂合わせの遊びでしょう。

 

ネアンデルタール人が40万年前~4万年前の出現だから

いかにルーシー(アファール猿人・320万年前)が古いか?ですね。

その後、ラミダス猿人(440万年前)が発見されています。

 

映画のラストでは細胞の記憶を辿って太古に

トリップするシーンが見られます。

 

これが人間の歴史だとしたら・・

私たちひとりひとりに長い歴史を生きてきた人類の叡智と

いうものが、生きているはずなんですが・・

 

***