ザ・クルセイダーズ「スクラッチ」

 

ファンキーなフィーリングをどう伝えよう・・

ホントのファンキーというのは言葉で言えないものなのだ。。

と誰かが言っている。

こうなると聴いてもらうしかない。

 

というわけで、引っ張り出してきたのがザ・クルゼイダーズ。

音色、リズム、メロディー、すべてにファンキーなフィーリングは存在する。

それがメンバー全員に行き渡って醸し出している。

それがこのクルセイダーズだ。

 

この曲、スクラッチは70年代、当時の彼らのオープニングテーマだった。

日本初来日公演をぼくは生で見ているが、その印象を彷彿とさせてくれるのが

この演奏だ。

 

ファンキーな音、この演奏の最初にでてくるフェンダーローズの

エレキピアノ(エレピ)の音、これが濁っている。

濁りや歪み、それが含みを持たせる・・つるつるの音はだめです。

 

そして間、空間がないとファンキーにはならない。

そしてドラムのフィルイン(バスドラムとスネアの入ってくる間、タイミング)

ここからのドラムとベースと、エレピの関係、ファンキー以外の何モノでもない。

踏み込みが強くつっこみ気味のバスドラム。

このバスドラムのタイトなビートに押され曲はグイグイと進行していく。

やっとのこと、サックスのウィルトンフェルダーとトロンボーンの

ウエイン・ヘンダーソンがテーマを吹き始めるというオープニングだ。

 

これを生で見る、聴くと息を飲んでしまい・・オーマイガー!っとなる。

ファンキーなリズムというが、結局はドラムのスティックスフーパーが

超ファンキーなんで、彼のスウィングした(跳ねた)シンバル(ハイハット)

をヘビーなバスドラムとタイトなスネアが支える。

それが他に類のないクルセイダーズというバンドの

グルーヴを生み出している。

 

この頃から、のちにギターフリークに愛される

ラリーカールトンがこの真っ黒なクルセイダーズに加入している。

それまでのジャズクルセイダーズという名前をやめ、

カールトンが加入してからのクルセイダーズはあか抜けて

人気になった。

やがて ピアノのジョーサンプルもメロディアスになって

彼らは売れた。しかし同時にファンキーさは失われた。

 

バンドは売れるとファンキーさ(黒っぽさ)がなくなる。。

これは、ほぼ当たっている。

スライ&ファミリーストーン、

アース・ウィンド&ファイヤー、ミーターズしかり

同じメンバーでも何か薄まった感じがでてくる。

リズムも軽くなり、薄くなった感じがでてくる。

黒人奏者である感じが薄れて来る。

その薄れた感覚がファンキーなんだと思う。

 

アートブレイーキーのジャズメッセンジャーズが

モーニンなどのヒットを飛ばした頃、それをファンキージャズと

呼んだが、あきらかに黒人ピアニスト(ボビー・ティモンズ)の弾く

メロディーだと感じる熱い何かがあった。


ファンキーは血でありソウルであり文化なのだ。

このことを意識してこだわらないと失われていくだろう。

 

 

正面: ロバート”ポップス”ポップウェル(B)

中段左:最高のファンキードラマー、スティックスフーパー(Ds)

中央:  ラリーカールトン(Gr)

中断右:ジョー・サンプル(P)

上:ウィルトンフェルダー(Sax&Bs)

 

来日公演はベースがアルバムと同じ、マックス・べネットだった。

ポップウェルはチョッパーを多用するベーシストで音が軽くなった。

 

クルセイダーズはスティックスフーパーがやめてからも

さまざまなドラマーでつなぎながら、活動を継続したが

ドラムが変わって異質なものになってしまった。


スティックス・フーパーのリズム(ドラム)こそが

クルセイダーズだったのだ。