今回は黒岩重吾氏の歴史小説「女龍王神功皇后」の感想です!
※上下巻に分かれてます。
古代史を題材にした作品を得意とする黒岩氏が、第14代天皇・仲哀帝(タラシナカツヒコ王)の皇后・神功皇后の活躍を描いた小説。
"倭の大王になる"という運命を神に授けられた神功皇后が、実質的な倭の支配者にまで上り詰めるまでのストーリーが描かれています。
以前の記事で神功皇后について触れていて、
田油津媛との闘いのシーン目当てで呼んでみたのですが、
この戦いは完全カットされていて、田油津媛も全く登場しませんでした(笑)
その代わり、個人的に本作で一番面白かったのは、タラシナカツヒコ王の人物描写ですね。
当初、皇后と出会う前の頃は
熊とタイマンで戦って勝つ
戦で、普通なら即死するような傷を負ってもしぶとく生き残る生命力
等々、屈強で勇猛な王として描かれていたのですが...
神功皇后と婚姻してからというものの、神の加護で人間離れした力を持つ皇后の力に気圧されて、徐々にヘタレ的な描写が増えていくのが良かったですね。
皇后のカリスマ性と対比されてしまい、配下の豪族達が皇后の味方になってしまう
神通力を持った皇后に、腕力で負けそうになる
皇后の神がかりした姿に恐怖して、全身の水分と塩分が汗として体外に出てしまう
といった感じで、当初の勇猛さから一転、皇后相手に散々な目に遭わされるギャップが可愛かったです(笑)
極めつけは、九州へ拠点を移すために船で海を渡るシーンですね。
内陸育ちで海に慣れていないタラシナカツヒコ王は船酔いで体調を崩してしまい、"尿意があるのに膀胱が固まって小便が出ない"という苦しみに苛まれます。
見かねた臣下達が膀胱をほぐすマッサージをするのですが、王は痛がって大騒ぎしてましたwww
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この小説、第一印象では若干硬めの歴史小説なのですが、↑の膀胱マッサージみたいな「ギャグなのか?」というような描写がちょいちょい挟まれていて、、、
ある時、タラシナカツヒコ王の寝室に家臣(穴門川魚)がやってきて、1回目のノックで王が起きず、2回目のノックで王が反応した時に
"できれば1回目で起きてほしかった"
と地の文で書かれていたり、
「それ要るか?」という感じの余計な一言がシュールでした
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ぜひ実際に読んで体感してみてください!