ピエモンテ州の友人Roberto (ロベルト)のところに遊びに行ったその帰り際、「野生の子鹿 (メス)のモモ肉いる?」と聞かれました。「ええっ!? 脚を丸ごと1本・・・?」骨つきです(汗)。思わずマウスと大きさ比較。
そう言えば、車で友達の家に向かう途中、いきなり私たちの目の前でシカが道路を横切ったのを思い出しました。「シカに注意!」の看板もよく見かけるので、このあたりにはたくさんシカがいるのでしょう。衝突事故も多いのだと思います。
しかし、私はシカを料理したことがないし、脚が丸ごと一本入るような鍋もありません。というか、そもそも、家にある冷蔵庫のフリーザーに入るのか・・・?
「『友人H』に調理方法を聞くといいよ。彼はアラブ人だよね? 彼らはヤギの料理の仕方をよく知っているから。ヤギもシカも同じだよ。シカ『Capriolo(カプリオーロ)』という言葉は、ヤギ『Capra(カプラ)』から来ているし」。
なるほど、たしかに語源は「カプラ」を意味するラテン語から来ているようなので、同じかも・・・と、すっかり納得。「友人H」はエジプト人のソムリエで、私の属しているAssociazione Italiana Sommelier(アッソチャツィオーネ・イタリアーナ・ソムリエ)「イタリア・ソムリエ協会」略してA.I.S.(アイス)ロンバルディアの同僚です。
さっそく冷凍保存したシカの脚を持ってミラノに戻り、彼に料理できるか聞いてみると・・・。ヤギは苦手で食べないから料理法がわからない、との返事。しかし、そこで終わらず、問題を解決してしまうのが「友人H」。ウチにシカを持ってきなさい、と、あっさり難題を引き受けてくれました。
翌日、興味深々で、シカ肉がどうなっているか早めに見に行ってみると・・・、モモ肉は骨付きで、すでにオーブンのなか。
その料理法は・・・?↓↓↓
オーブンに入れる前、まず、12時間マリネします。入れたものは、ローリエの葉、ミルトの葉、ローズマリー (香りが強いので控えめ)、カルダモン、マッジョラム、塩、黒コショウ、白コショウ、パプリカパウダー(辛み無し)、ニンニク、赤ワイン(サンジョヴェーゼ種とモンテプルチャーノ種の2種類のワインをMix)、ニンジン、タマネギ、ショウガ。それをそのままオーブン下段で焦げないようにアルミをかぶせて180度で6時間じっくり焼いたとのこと。
4時間たった時点で、いっしょに焼いていたニンニクを取り出して半分に切り、肉の3-4か所に詰め、新たにニンジン2本と玉ねぎ1個をざく切りにして加えています。
シカのお肉はけっこうパサパサしているので、焼いている途中で、なん回か、スプーンでスープをお肉にかけるのもポイント。
スパイスがほどよく調和した、バランスのいいおいしそうな香りが部屋中に漂っています。加えたワインはしっかりボディのあるもの。2種類にしたのは、サンジョヴェーゼ種だけだと、強いタンニンと酸味が出てしまうかもしれないと思い、モンテプルチャーノ種で丸みを与えたとのこと。さすがです!
出来上がり1時間半前に、「友人H」がポテトのつけ合わせを準備しはじめました。彼の「ポテト・オーブン焼き」はかなりの定評があり、これはだれも右に出る者がいないほど。「食べるたびに絶対おいしい」というのは、なにか秘密があるに違いない! というわけで、さっそくつくり方を見てみました。↓↓↓
まず、ジャガイモは皮もなかも白いものPasta bianca(パスタ・ビアンカ)を選びます。イタリアにはいろいろな種類のジャガイモがあり、なかが黄色っぽいものや、皮が赤いものもあり、料理の用途が違います。この白いジャガイモはデンプンが多く、ピュレやニョッキにも適しているポテト。
オーブン皿の大きさにもよりますが、10個前後のジャガイモの皮をむき、1cmくらいのサイコロ状に切ります。
すべてまんべんなく底が隠れるようにオーブン皿に敷き詰め、エクストラヴァージンオイルをまんべんなく回しかけます。
塩ふたつまみ程度を全体にかけ、同じくふたつまみ程度の乾燥ローズマリーを指ですり潰しながら、まんべんなくふりかけて、そのままオーブン上段に入れます。
180度で1時間から1時間20分程度焼いて、出来上がり! かなり簡単です♪
ポテトのフチは適度に焦げてカリッと歯ごたえがいいのですが、なかの食感はモチっとしています。ローズマリーもほんのりと香る程度で、主張しません。
そして、18時間以上かかったシカ肉の煮込みも出来上がりました!!!感無量!!!
さっそく、お肉を切り分けると・・・、ほろほろです。♥
小鹿でメスだったので、まったく臭みがありません! すべてのスパイスがいい仕事をしていて、お見事! 野性のベリー類でつくったジャムが合いそうです。
さて、このお皿に合わせたワインは・・・? 次回に続きます。
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