計量経済学における識別問題とはなにか(4) | 不動産鑑定、統計学、文系人間のための数学など

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上野山清久のブログ
 「不動産鑑定と統計学」(同名のホームページも公開中です。)、数学その他に関する日々の学習成果等について「学ぶ側の視点」で綴っていこうかと思います。

 私が同時方程式の識別問題の理解に固執しているのには実は理由があります。

 

 日本不動産鑑定士協会連合会が令和5年度に不動産鑑定に関する研究論文を募集していたのですが、大学時代の恩師との共同執筆で、下記の論文を応募していました。

 

    論文のテーマは、「首都圏と京阪神の地価の計量的分析-7大都市の発展パターンの解明-」です。

 

 選考結果は、連合会の広報誌「鑑定のひろば」No.223(2023年7月発行)の28ページに掲載されています(んー、応募したのは私たちだけだったとは驚き)。

 

 私は、主に各都市の地価について回帰分析を行った結果について執筆したのですが、恩師は地価というのは必ずしも原因(駅距離)と結果(地価)というふうに一方向のみで決定されるものではなく、各要因が相互に影響を及ぼしあっているはずということで同時方程式による分析をされました。

 例えば、人口の増減が地価の上下に影響を及ぼすとともに、逆に地価の上下が人口の増減に影響するというように、各変数の内生性を考慮すべきということです。

 

 残念ながら今回は選外という結果になりましたが、私は残念というよりも、同時方程式による分析について理解することもなく、しかも最後はバタバタで満足に見直しもできないままに応募してしまい、選考委員の皆様に多大なご迷惑をおかけしたという思いがあったので、内心ホッとしたというのが本音です。

 選考委員の皆様、本当にすみませんでした。

 

 ここに来て、同時方程式について少しは理解できてきたので、そろそろ応募論文を見直し、内容を検証し、できれば再挑戦といきたいところです(が令和6年度は無理かな?)。