鳶色の瞳① | たゆたう風のように(特発性拡張型心筋症でも負けない!)

たゆたう風のように(特発性拡張型心筋症でも負けない!)

心臓難病(突発性拡張型心筋症)身障者です。
基本、即興で、書き逃げですが、宜しくね!画像はお借りしたものです。

僕は賢一小学校4年
父さんが死んでから母さんが働きづめで
いつも夜遅くまで働いてる。



でも、僕はひとりでも大丈夫だよ!

母さんは僕を愛してくれるし!
休みの日は母さんと出掛けられる。





でもやっぱり
寂しいや!

下校していつも仲間と野球をするんだ。
けど
仲間は早くに帰ってしまう。

それから
僕はひとりで
壁に向かってボールを投げて遊ぶ。

ひとりには、慣れてるからさ!




ある日
いつものように
ボールを壁に投げていると


『おい!』って声かけるやつがいた。

夕闇に
そいつを見つめた。

栗色の髪がさらさらしてて
近くで見ると
瞳が鳶色なんだ。
こいつ!何処の国のやつ???




『一緒に遊ぼうぜ!』って、そいつは言って
キャッチボールをした。


妙に馴れ馴れしくて
でも、中学生くらい?
僕よりずっと、背が高かった。




それから毎日そいつは来た!


『なんで?来るの?』って
聞いたら
『僕もひとりなんだ』って


それから
色々話をしたよ。

『僕はギリシャと、日本のハーフなんだ』
って
そいつは『ヤニス』って、名乗った。

『ヤニスって、ミドルネームなんだ。

日本名もあるけどね』って
日本名は教えてくれなかった。



ただ、『ギリシャじゃギリシャ神話の神の名をつけるんだよ』って教えてくれた。

『おじいさんとかが、名前をつけるのが当たり前なんだよ』
って


『だから(笑)従兄弟とかさ!同じ名前のヤツが居たりする。
面白いだろ?』
愉快そうにヤニスは語った。




顔が大人っぽくて!
ハッキリした顔だった。
特に!鳶色の瞳が!素敵なんだ!






ふたりして
暗くなるまで遊んで話して!

何だか前からの友達のようで
嬉しかった。
ヤニスはとても暖かいこころを持っている!そんな気がした。

いつも僕を見つめる瞳がにっこり!微笑んでいたんだ。



ある日ヤニスが『僕の家に来ないか?』って!
嬉しくて!行ったよ!


それは古い西洋館で、ここ数年誰も住んでいなかった。
庭に薔薇の花が一面に広がっていた。


みんな『薔薇の屋敷』って呼んでたんだ。




『引っ越して来たの?』
うん!ヤニスは言った。

『でもさ、ここ
には僕ひとりが来たんだ』


???

ひとりで?来た??
どうして???

そして
どうやってヤニスは暮らしてるのだろう?
全部自分でやってるのかな?


『テッサロニキって知ってる?』
ヤニスは聞いた。

知らない。

『アテネって都市の北にあるんだけどね!
おばあちゃんとおじいちゃんが住んでいて、たまに行くんだ』
って



ヤニスは写真を見せてくれた!
海に面した!素敵な都市!

『田舎だよ』って
ヤニスは言ったけど、僕は大きくなったら!
テッサロニキに行きたい!と思ったんだ。









いつも
ヤニスは微笑んでばかりいるから、余計な事は聞けなかった。


僕は暗くなるとヤニスの家で過ごすようになった。
母さんが帰る時間までね。





それから
一年くらいして母さんは早く帰れる仕事に変わった。

ヤニスとはあまり会わなくなった。




でも、気になってヤニスの家に行ったのさ。

そこには
ヤニスは居なかった。
近所の人に聞いたら『もうお引っ越ししたみたいよ』って…(-_-;)


母さんが早く帰って来てヤニスに会わなかったのが…悔やまれた…(T_T)