「凶だったんですか」
黙って聞いておいた方がいいことを先に言ってしまいました。
周りからすごい!と思われたい自分の悪いところです。
4月から新たな人事異動があり、私の直属の上司が変わりました。
はるばる新潟から、単身赴任で初めての東京。
そんな上司が、先日の休日に自転車で浅草まで行ったというのです。
「で、浅草の有名なお寺に行ったの」
新潟の方なので、浅草寺(せんそうじ)という名前も知りません。
「おみくじ引こうと思って、シャカシャカ振ったら百が出てさ、百だ!と思って写真撮って、百番のところから紙取って見たらさ」
「凶だったんですか。」
冒頭の通り、先回りして答えを出すという悪手。
「そうなの!なんでわかったの!」
しかもしっかり当たった。
オチ潰し。
聞き手(しかも部下)として最低。
「浅草寺のおみくじは凶が出やすいって言われていますから。」
「へーそうなんだ。凶だったから悪いものは置いて帰ろうと思って、写真も消して、おみくじくくりつけて帰ってきたんだよね。」
そこで疑問スイッチオン。
確かに浅草寺のおみくじは凶が出やすいというのはよく聞くし、知っている人も多いと思いますが、なぜ凶が出やすいのか。
気になったらすぐ調べる、が自分の良さの一つとしてとして自信をもって挙げられるところ。
その場で調べる私。
考察を楽しみたい人は、なぜかを自分で考えてから読み進めください。
結果。
実は浅草寺は凶が多いわけではない。
だが浅草寺は凶が出やすいと言われている。
どういうことか。
古来からおみくじ100本の割合は、大吉17本、吉35本、半吉5本、小吉4本、未小吉3本、末吉6本、凶30本ということらしい。
つまり、10人に3人は凶が出る。
浅草寺はこの古来からの割合を守り続けているのだそうだ。
縁起が悪い、引いた人が嫌がる、というような理由から現在では凶の本数を減らすところが多かったり、最初から凶自体を入れていないところもあるとか。
浅草寺は凶が多いのではなく、他が凶が少ない。
そのため、古来の割合を守っている浅草寺が「凶が出やすい」となってしまうようです。
本来の内容がどうこうよりも、やはり人は他との比較で物を認知するのだなと改めて思いました。
人の認知は比較で決まる、ということを意識しよう。
話しのオチは最後まで聞こう。
自分に言い聞かせています。