2/1とかで分けます! 最終章^^w でわ( ^ω^)_凵 どうぞ
-六兆年と一夜物語-
夜。
真っ暗な夜だ。
もう、すっかり夕焼けも沈み、あたりを照らすのはわずかな月光のみ。
―――――好都合だ。
暗い方が、奴らの位置が分かりやすい。
見張りのそれぞれ一人一人がたいまつを持っていてそれで辺りを照らしているからだ。
そして、まず、僕はアイリのもとに行かなければいけない。
彼女は、僕と一緒に逃げてくれると言った。
そして、僕の事を・・・。
「ううん!ああ、今は考えるな!」
しかし、事前に教えてもらった逃げ道。
記憶力には自信がある。
・・・難しいなあ・・・。
途中で木に登らないといけないの?
出来るかなあ・・・。
失敗して、見つかったら殺されちゃうんだけどなあ・・・。
「まあ、絶対行くけどさ・・・」
ぶつぶつ文句を言いながら、僕は道を進む。
段々月が高くまで上がり、夜も深くなって、寒くなってきた。
そろそろかな、と思っていたら。
――――いた。
今日は――――日にちが変わってるかもしれないが―――高台にはいなくて、雑草が生い茂る、雑木林の真ん中だ。
ここが、僕たちの待ち合わせていた場所だ。
「ごめんね・・・寒かったでしょ?」
『ううん・・・全然平気よ』
とか言ってるが、なんか、足とか肩とか震えている。
『寒い』
「だから言ったじゃん・・・」
『まあ。ここまで来たら、あと少しよ』
「うん――――そうだね」
「なにがもう少しだって?」
『「―――――――!!!」』
振り向く瞬間に、殴られた。
「っっああ!!」
少し切れて血が味のする。
頬を抑えながら、顔を上げると―――――。
「―――――――っっ!!!」
そこには、もう二度と見たくないと思った顔があった。
僕に、死刑宣告をした、あの男だった。
『ナナシ!』
アイリが僕を呼んでいる。だが。
「なんだよ、テメェ。女いるじゃねえか」
男はニヤニヤしながら言った。
「やめろ!アイリに触れるな!」
「うるせえなあ・・・」
すると男は僕を睨み付けて、脇腹を蹴っ飛ばした。
「っぐああああ!」
『ナナシ!』
「はあ~あ。コイツもうるせえな・・・まあ」
男はそう言って、アイリを押さえつける。
「抵抗される方がそそるねえ・・・あとでたっぷり楽しませてもらうからな」
男は下品な笑い声でそう言う。
『っ!やめて!!』
だがアイリが男の力に勝てるわけもなく、連れ去られようとしている。
「く・・・アイ・・・リ」
「ふん・・・。テメエはそこで這いつくばって見てろ。いいもの見せてやるよ」
男はそう言ってアイリの体に手を伸ばし腹を、腰を、殴った。
『――――っ!やめ・・・て』
アイリは辛そうに、声を絞り上げて言う。
でも、男はアイリの言葉を無視した。
『――――っ!やめて・・・お願いだから・・・』
「そう言ってやめるとでも?」
また男はくつくつ笑う。
―――――――僕は。
「やめろよ・・・」
瞬間に脇腹あたりにするどい痛みが走る。骨でも折れているのかもしれない。
でも、構わない。
「ああ?なんだよ?」
「やめろっつてんだよ・・・・・・」
『ナナシ・・・』
立ち上がる事が出来ない。
どうにかなるわけでもない。
それでも。
「―――――やめろって言ってんだよクソ野郎!!」
シーン、と場が静まる。
そして。
「ふんっ!」
再び男が、僕の腹に蹴りをいれた。
「うおっっ・・・」
声にならない嗚咽が口からこぼれる。
『ナナシ!』
アイリが僕を呼ぶ。
でも、ちょっとそれが遠くなりそうになる。
―――――気を、強くもて!
自分に言い聞かせる。
でも。
「誰がクソ野郎だってえ!?ああ!?」
男は暴力をやめない。
蔑んだ目で、僕を見下ろしながら。
―――――はあ
ため息がでた
こんな時に
―――――――――どうして、こうなったのかな
―――――――――僕はただ、アイリといたかっただけなのに
あと少しだったのになあ