あのカフカの小説を映画化
「変身」
ある朝、グレーゴル・ザムザが夢から目を覚ますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。・・・という、有名な下りから始まるカフカの小説「変身」が、ついに映画化された。
ロシアの舞台出身の若手俳優・エブゲーニイ・ミローノフが、世にもおぞましい“虫”に変身してしまった男の、絶望と孤独を完璧に演じきる。
布地の外交販売員として各地を旅して商売するグレゴールは、働いて親の借金を返し、妹を音楽学校へやる計画を持った、心優しい男。翌朝、目を覚したグレゴールは、「虫」になっていた。立ち上がることも話すことも出来ず、驚いてジタバタと手足を動かすだけ。心配した家族や仕事仲間はグレゴールの姿を見て驚き、彼を部屋へ閉じ込めてしまう…。
周囲とコミュニケーションがうまく取れず、ひとり孤立する状態を「虫」に象徴させて描いたその内容は、90年あまり経った現代においての方がよりリアルに感じられる。
遠い昔の文学作品と取られがちだが、この作品が持つシュールなテイストは“何故、今『変身』を映画化するのか”という疑問をクリアにしているだろう。
(文/シネマアナリスト八雲ふみね)
【作品情報】
2004年11月13日より
ユーロスペースにてロードショー
監督:ワレーリイ・フォーキン
原作:フランツ・カフカ
出演:エヴゲーニイ・ミローノフ、イーゴリ・クワシャ、タチヤナ・ラヴロワ ほか
[引用元]