冷え込んできた気がしたので
太市は 土間に降りて
外を見ました
絵 『日輪と太市』 希夙
少しの間に
雪がどんどん変わって
ぶるっと からだをふるうと
あわてて タンスから
赤い毛布(けっと)のズボンを
引っ張り出してきて 履きました
太市は
賢治の
愛してやまない生徒なのでしょう
一生懸命で
真面目で
でも生活は
よくなりません
よくなりません
太市の
褐色の毛布のズボン
賢治のこと
『赤色』には きっと意図が あるのでしょう
赤は燃えさかる煩悩の色
太市の怒りと 悲しみを表わしているのでしょうか
「業」と呼ぶには傷ましく
赤は燃えさかる煩悩の色
太市の怒りと 悲しみを表わしているのでしょうか
「業」と呼ぶには傷ましく
岩手の厳しい冬を
越えていくには
毛布のズボンは
あまりに小さな小さな温もり
「愛は けっとのズボン」
賢治の
太市を思うゆえの 悲しみと怒り
誰のせい
業を駆りたてるな
誰のせい
業を駆りたてるな
冬を恨むか
赤は 賢治の愛 と思うのです
赤は 賢治の愛 と思うのです
