夏から、うちにご飯を食べに来ているシマシマの野良猫。

先週からパタッと姿を見せなくなった。

それでも、エサを置いておくといつの間にか無くなってる。

でも、姿は見えない。

ある日、遂にエサを食べている猫に遭遇。

それがハチワレの白黒猫で、あのシマシマ猫じゃなかった。

シマシマ猫を最後に見た時は、なんか元気がなく病気っぽかった。

猫は死ぬ時に姿を消すというから。嫌な予感がした。

猫の姿が消えて一週間、お隣の奥様から声をかけられた。

あのしめ飾りをくださった方だ。

「猫ちゃん、ご飯食べに来てます?この頃姿が見えないので主人と心配してるんです」

私も姿を見ていないと伝えると落胆していた。

野良猫なのに、こんなに心配される猫って、いったい。

お隣は保護猫を3匹飼っているし、猫愛に溢れ過ぎてる。

もし猫が現れたら連絡しますね。と、伝えた。

そして翌日の夕方、同じく猫の心配をしてくれる犬の散歩中の知り合いとガレージの前で立ち話をしていると、向かいの道を横切ってシマシマ猫がやって来た~!

「生きてた~!」

声をあげてしまった。

早速、エサをてんこ盛りに。

カリカリ、煮干し、ちゅ~る、のトリプルトッピングの豪華ご飯を見事に平らげた。

相変わらず、近づくと逃げるし、全然なつかないが良かったよ~。

慌ててお隣に報告に行くと、ご主人が出てきた。

猫の帰還を伝えると、心底安心した様子。

うちの勝手口はお隣の玄関脇に向いていて、そこの階段に猫が時々寛いでいる。

姿が見えなくなる前日の夜に珍しく猫がそこに居て、ご主人が声をかけるとニャアとないたそうだ。

「あれは別れを言いに来たんでしょうか」

と、ご主人はしんみりとした。

いやいや、帰って来たんですよ。

「いやあ、トロちゃん帰って来て良かったあ~」

勝手に名前つけちゃってるし。

「猫が階段にいる時に、時々うちでもエサやったりしてたんです。すみません」

いやいや、うちの猫じゃないし、全然エサやってくださっていいです。

そんな話をしてると、猫が勝手口にやって来た。

「帰って来て良かったね。後で妻に伝えておきます」

ご主人嬉しそうに家に入られた。

一匹の野良猫にこんなに関心を持ってるこの街の人は、猫愛に溢れてるわ。

雄猫は春になると、新しい出会いと縄張りを求めて、ちょっとした旅に出るらしい。

また、どこかに行ってしまうかも知れないけど、実は結構な人気者だった。

人には全然なつかない猫だけどね。