*マネーゴーランドが廃止になったようなので、元原稿を掲載しています。
将来の収入の1つに親族からの遺産がありますが、果たして自分はどれくらいもらえるのでしょう。たくさんの人間関係に囲まれた光源氏を例にお話しします。
1.正妻は強し
奥さんは家族・親族の構成にかかわらず、常に相続人になります。ただし、正妻のみで、内縁の妻・愛人などは法定相続人にはなりません。
葵の上:最初の正妻ですから、もし生きていれば相続権がありましたが、残念ながら光源氏よりも早く亡くなったので相続できません。
女三宮:次の正妻なので、法定相続人です。相続人が奥さんと子供の場合、奥さんは財産の半分を相続でき、この範囲までであれば相続税はかかりません。
紫の上:事実上の妻でしたが、籍は入っていないので、法定相続人にはなれません。光源氏が遺言で紫の上にも遺す旨を言っておかないと、何ももらえません。(相続ではなく、「遺贈」といいます)
その他愛人の皆さんは、紫の上と同じ扱いで、相続はできず、光源氏が遺言を残さなければ何ももらえません。
2.子供にも違いがある
相続の観点から、子供はいくつかに分類されます。正妻との間にできた子(嫡出子)、愛人との間にできた子(非嫡出子)、養子です。
夕霧:彼は葵の上との間にできた子です。物語の上では葵の上とは死別ですが、たとえ光源氏と葵上が離婚だったとしても夕霧は実子なので、法定相続人になります。
明石の姫君:明石の上との間にできた子ですが、養女として迎え入れていますので、非嫡出子ではなく養子の扱いです。民法上、実子と同じ扱いです。
玉鬘:夕顔と頭中将の子であり自分の子ではありませんが、自分の子として迎え入れていますので、養子という扱いです。
秋好中宮:六条御息所と前坊の子であり自分の子ではありませんが、養子に迎え入れています。
薫:本当は女三宮と柏木の間にできた子で自分の子ではないのですが、事実を露呈できず自分の子とするしかないので、実子という扱いになるでしょう。
冷泉帝:薫とは逆に、藤壺との間にできた自分の子ですが、それは口外できず異母兄弟ということになっているので、法定相続人にはなりません。しかし兄弟なので、光源氏に子供も親もいなければ相続権が発生します。
源氏物語を読んでからこれを読むか、これを読んでから源氏物語を読むか、ぜひ相続の参考にしてください。
(2017年3月掲載)